序. 年収1000万超えでも必ずしも楽ではない40代サラリーマン
年収1000万円というのは、1つの憧れであり、40歳時点でこれを達成しているサラリーマンは勝ち組と言えるのではないだろうか?しかし、東京の様な家賃が高いエリアでは、40代で年収1000万円といっても、それほど贅沢な生活ができる訳ではない。税金や社会保険料の負担が高く、交友範囲も拡がるし、ある程度の見栄も張らないとなると、出費も大きい。
年収1000万超えのサラリーマンが、将来金銭的に余裕のある暮らしをしていこうと思うと、お財布が給料の財布1つだけだと難しい。
この点、富裕層は複数の財布を持つという。4つの財布、5つの財布といろいろなパターンがあるようだが、少なくとも給与以外にも複数の財布を持っている。この点、サラリーマンも40歳になると、真似できるところは参考にしていきたいものだ。
1. まずは給料の財布
まずは誰でも持っている1つ目の財布、これは給料の財布だ。サラリーマンの場合、給料からは税金と社会保険がごっそり引かれる。年収1000万円の手取り額は、ざっと720万円程度。
これを増やしていくには、頑張って社内で出世を目指すか、或いは、転職による年収アップを目指すしかない。
ただ、出世というのは外部的な運の要素にも左右されるし、40歳時点である程度、役員候補については選別がされてしまっている場合もある。また、日本の大企業の場合は、終身雇用を採用している企業が多く、40歳以上の管理職のポストが詰まり気味である。したがって、転職によって年収増を図るのはそれほど簡単ではない。
そうなると、出世や転職による給料の財布を大きくすることを狙いつつも、以下に述べるような、複数の財布を意識するのがお勧めだ。
2. 有価証券投資の財布
日本の場合、諸外国と比べて、個人金融資産に占める預貯金の比率が非常に高く、預貯金のシェアは現在でも半分以上を占めている。株式、債券、投資信託といった有価証券の比率はまだまだ低い。
年収1000万円以上のエリートサラリーマンの場合も、証券会社に口座を持っていない人も少なくないだろう。このため、学歴や知性と、金融リテラシーが一致していないケースがしばしばみられる。
年収1000万円では、潤沢な証券投資資金を作ることは難しいかも知れないが、毎月数万円程度をコツコツと累積投資をしていくことは可能だろう。
例えば、毎月3万円の投資を3%で回せたとしたら、10年後には約419万円にもなる。毎月5万円の投資を5%で回せた場合には、10年後には約776万円にもなる。
投資方法としては、外国株式や外国債券をETFや投資信託を利用して行うのが便利であろう。もちろん、最近流行りのロボアドバイザーのサービスを利用しても構わない。
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このようなシミュレーションのソフトを利用して、いろいろ計画してみてはどうだろうか?
3. 収益不動産の財布
3つ目の財布は、収益不動産の財布である。あえて「収益」とつけたのは、家賃収入を伴う不動産に限定する意図である。別荘やリゾート案件の場合には、収益を生まないので、ここでは除外する。
先ほどの2つ目の財布、有価証券投資の財布については、月々数万円から投資が可能なのでサラリーマンの場合も簡単に実行できる。
他方、不動産の場合は何といっても単価が高いので、サラリーマンにとってはこちらの方が持つのが難しい財布であろう。
もっとも、長期間非常に金利水準が低い状況が継続しており、収益不動産へのローンは借り易くなっている。また、不動産は身近な資産でもあるため、有価証券投資よりも不動産投資を好む人達もいる。物件の価格帯にもよるが、40代で年収1000万円以上のサラリーマンが収益不動産投資を行うことも十分可能だ。そうすると、3つ目の財布として、不動産からの賃料収入を得ることができるようになる。
4. 会社の財布(経費が使える)
最後、4つ目の財布が会社の財布である。ここでいう会社とは、自分自身が設立した会社である。自分が会社を設立し、自らが社長になると役員報酬が得られるが、ここでの狙いは会社を持つことにより経費が使えるようになる点である。
経費が使えるようになれば、税制の観点から非常に有利だ。
例えば、ベントレーという諸経費込みだと3000万円を超える超高級車があるが、オーナーの年収は2000万円代が多いという。ただ、オーナーは年収2000万円といっても、それはサラリーマンの給与収入と同じではない。オーナーは自分が経営する会社からの役員報酬が2000万円ということで、ベントレーの購入資金はこの役員報酬から支払われるものではない。それは、自分が経営する会社名義での購入であり、購入費用(多くは残価設定ローンかリース)はその会社の経費として支払われるからである。
この点、サラリーマンであれば年収が5000万円だったしても、税金・社会保険控除後の手取りは2800万円弱である。そして、その手取りの中からベントレーの購入資金を払うことになるのである。このように、サラリーマンであれば年収5000万円でも購入が難しいベントレーも、会社の財布があればもっと低い年収でも買えてしまうということになる。
<ベントレーを買う人の職業と年収>
https://career21.jp/2019-10-10-102941/
もっとも、経費が使えるといっても、売上が立たないことには経費が使える以前の問題である。長年給与所得一本のサラリーマンからすると、別途売り上げを生み出す会社を作るのはハードルが高い。
ただ、優良企業の場合でも、20年後も安定高給が継続することは保証されないし、終身雇用制度がいつまで続くのかもわからない。また、お金の問題だけではなく、生きがい、人脈、肩書、自分の居場所を会社と離れても持ち続けることができるのは非常に大きい。
今は、ネット・SNSを使った集客が可能であり、また、今回のコロナの状況でZOOM等を用いたリモートでのビジネスが拡がり、そうなると物理的なオフィス・店舗がなくても自分でビジネスを始めやすくなった。
そうなると、販売が得意な人はECで稼いだり、何か得意分野がある人はコンサルや塾の様なビジネスを始めることも可能である。いきなり、株式会社を立ち上げられる様な売り上げを作る必要はなく、とりあえず月数万円レベルからスタートすればいいだろう。
40代で年収1000万円以上のサラリーマンであれば、上記4つの財布を全て持つことは難しくても、3つの財布までは持つことは十分可能であろう。人生100年時代と言われる中、今40代のサラリーマンは70歳くらいまでは働くことを想定すべきではないか。まだまだ時間はあるので、少しずつ、得意な分野から財布の数を増やしていくことを考えたいものだ。