横浜国立大学経営学部【22卒向け】の就職と課題について

1. 横浜国立大学経営学部の基本情報

横浜国立大学経営学部の定員は287名である。
地元占有率は低く、2割を切る水準である。
2019年入学者における男女比については、男性が65%、女性が35%と男子の比率が高くなっている点が特徴である。

経済学部と同様に、後期試験が存在し、後期で合格に必要な偏差値はかなり高くなっている。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/0340/department.html?department=015

2. 横浜国立大学経営学部の就職状況

2018年度の卒業者総数317名のうち、進学者はわずか2名(0.6%)である。
就職者は289名であり、そのうち11名(3.5%)が公務員として就職した。
このため、民間企業への就職者数は278名(87.7%)となっている。

横浜国立大学経営学部の就職先については、大学の開示が非常に良い。
学部別で、1名でも就職している企業があれば全て開示してくれている。

https://www.ynu.ac.jp/career/support/data/

とりあえず、2名以上の就職者がいる企業・団体を抜粋すると、以下の様になる。

人数 企業・団体名
7 アクセンチュア
5 大和証券
4 野村総合研究所 アビームコンサルティング
3 日立製作所 富士通
三菱電機 ソフトバンク EY新日本有限責任監査法人
2 オリンパス 帝人フロンティア 清水建設
SARAH ランドスケイプ 日本IBM
福岡銀行 横浜銀行 三井住友信託銀行
三菱UFJニコス 三菱UFJモルガンスタンレー証券 有限責任あずさ監査法人
ランドマーク税理士法人 JTB サーキュレーション
パーソルホールディングス 東京国税局

(出所:横浜国立大学HP 「卒業生の就職状況」より外資系キャリア研究所作成)

2018年度においては、アクセンチュアが7名と突出しており、大和証券、アビームコンサルティング、野村総合研究所が続く。

業種別で見ると、情報通信業がトップシェアとなり、22.5%である。
かつてのトップシェアの金融業は、シェア17.3%の2位である。
その次は、学術研究、専門・技術サービス業が10.7%と続く。

ここ数年間で、かつて大量採用をしていたメガバンク等の銀行が、超低金利に伴う収益悪化や実店舗と人員の余剰感によって新卒採用者数を大幅に削減したため、銀行への就職者すうが減ったのがうかがえる。

これは、横浜国立大学経営学部に限らず、早慶やMARCH等の有力校においても見られる傾向である。銀行から、大手証券、大手生損保にシフトした学生が一定数いると推察されるが、金融はどこも楽では無いので、中長期的には更に、IT系のシェアが高まっていく可能性があろう。

情報通信業では、KDDI、NTTドコモ、ソフトバンクといった通信キャリアの他、野村総合研究所、日本IBM、ヤフー、楽天などが見られる。

金融機関においては、メガバンク、大手証券、大手生損保の他に、群馬銀行、中国銀行、福岡銀行、東邦銀行、横浜銀行といった地銀が比較的多くみられるところが特徴である。

その他、やはり人気の総合系コンサルティング・ファームが目立つ。
アクセンチュアは就職者が7名、アビームコンサルティングは4名となっている。また、公認会計士試験関連かも知れないが、Big 4系の監査法人への就職者も見られる。

その他の業種については、幅広く分散しているように思われる。

なお、総合商社については、2018年度は、伊藤忠、住友商事、丸紅、双日の就職実績がある。

3. 横浜国立大学経営学部の就職における課題

①ライバル校との就職力の比較

国立大学という観点からは、地方の旧帝国大学、要するに地帝が気になるところである。
「旧帝」というステイタスでは劣るかも知れないが、首都圏という地の利では勝っているので、気になるところだ。

高就職偏差値企業、就職人気ランキング上位企業への就職力、就職率という観点からは、横浜国立大学経営学部は、若干、地底経済学部よりも勝っているのではないだろうか?

他方、慶應義塾大学商学部と比較すると、明らかに、慶應義塾大学商学部の方が就職力は高そうだ。

<慶應義塾大学商学部の就職と課題>
https://career21.jp/2019-02-14-064610/

明治大学商学部と比べると、若干、横浜国立大学経営学部が若干有利というところだろうか?

<明治大学商学部の就職と課題>
https://career21.jp/2019-03-28-192345/

②ライバル校との比較をした上での課題

全体的に大手企業への就職は可能の様に見えるが、業界トップ、或いは、外銀・外コン、総合商社、大手マスコミといった超上位企業での存在感にやや欠けるというのが課題では無いだろうか?

この点は、横浜国立大学経済学部と同様であろう。

例えば、金融機関で見ると、銀行、証券、生保、損保において、メガバンク、野村證券、日本生命、東京海上火災あたりのトップ企業のシェアが低い様に思われる。

また、首都圏に存在する有力国立大学の経済系学部であるにも関わらず、キー局、電博、大手デベロッパー、外資系(消費財、GAFAM)あたりの就職者が見られないところが、地味目な印象を与えている。この点も、経済学部と同様の課題かも知れない。

もちろん、それは学生が志望しないからだというのであれば問題はない。
しかし、大学の評価は中長期的には就職力が大きく反映されるはずなので、少子化が避けられないとすると、優秀な学生を入学させるためには、学校やOB会は協力して就活をサポートした方が良いのではないだろうか。

③学生の対応策

横浜国立大学経営学部は、横浜市内にあるのだが、地理的には都心からそれなりに離れたところにある。従って、何もしなければ、東大、早慶といった東京のトップ校の優秀層の状況が見えなくなってしまうおそれがある。

このため、東大や早慶の友人と意識的に情報交換すべきである。

また、民間企業就職者数は280名程度と少ないが、それなりに学部内格差があるように見える。

総合商社、野村総合研究所、総合系コンサルティング・ファームなどから内定をもらった学生がいる反面、比較的小規模な企業に就職している者もいるようなので、このあたりは学校やOB会のサポートが望まれる。

それから、首都圏にある経済系学部であるが、ベンチャー起業関係の支援があまり見えてこない。ヤフー、楽天、サイバーエージェントへの就職者は見られるので、起業を含めたニュービジネスのサポート体制が充実すれば魅力は増すのでは無いだろうか。

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