東北大学法学部の就職と課題について

1. 東北大学法学部の基本情報

東北大学法学部は1949年に設置された、いわゆる旧帝国大学の法学部であり、難関大学法学部の1つとされている。

現在の定員は160名であり、法学科の1学科体制である。
政治関係の学科は無いが、講座に政治学を十分に取り込み、公法や私法と同じように力を入れ、法学・政治学の教育・研究機関としてバランスの取れた編成となっている。

2019年入学生に関して、男女比率は67:33と、男子学生の比率が高くなっている。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/0100/department.html?department=015

2. 東北大学法学部の就職状況

東北大学法学部の就職先に関する公式HPの開示はあまりよくない。
業種別に、過去3年分をまとめて掲載し、しかも各企業・団体への就職者数は開示されていない。

概要としては、2019/3卒業生の場合、卒業者数は165名であり、そのうち25人が大学院に進学する。そして、就職者の内65名が公務員になっている。

民間企業への就職者数について、業種別のシェアは以下の様になっている。

金融業、保険業 13.2%
製造業 11.6%
情報通信業 7.8%
卸売業、小売業 3.1%
学術研究、専門・技術サービス業 3.1%

(出所:東北大学HP「産業別就職者数」より外資系金融キャリア研究所が抜粋)

民間企業への就職者数は100名未満であり、東北大学法学部生の稀少性は極めて高くなっている。

大学の公式HPにおける、過去3年分の業種別、主な就職先は以下のようになっている。

公務員

 

法務省、国土交通省、経済産業省、総務省、厚生労働省、農林水産省、特許庁、林野庁、金融庁、公正取引委員会、衆議院事務局、参議院事務局、東京国税局、仙台法務局、東北財務局、横浜税関、裁判所、検察庁、警視庁、東京都庁、新潟県庁、静岡県庁、宮城県庁、仙台市役所、盛岡市役所、郡山市役所

 

建設業

 

鹿島建設、大林組、清水建設、竹中工務店
製造業・鉱業

 

村田製作所、川崎重工業、住友化学、新日本製鉄、ソニー、東芝、デンソー、トヨタ自動車、マツダ、日本たばこ産業、パナソニック、オリンパス、三菱重工業、三菱電機、ブリヂストン

 

電気

 

東北電力、日本瓦斯、JXエネルギー
運輸・情報通信業

 

NTT東日本、NTTドコモ、JR東日本、東日本高速道路、日本放送協会、日本テレビ、讀賣新聞、楽天、東北放送、宮城テレビ、仙台放送、東日本放送

 

銀行・証券・保険・不動産

 

日本銀行、日本政策金融公庫、国際協力銀行、農林中央金庫、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、七十七銀行、岩手銀行、日本生命、三井住友海上火災、明治安田生命、東京海上日動火災、大和証券、野村證券、住友不動産、三菱地所

 

商業

 

三井物産、三菱商事、豊田通商、カメイ、兼松
サービス業・その他

 

仙台進学プラザ、JR東日本企画、オリエンタルランド、ビッグボーイジャパン、マイナビ、虎ノ門病院、日本新聞協会、日本原子力研究開発機構

 

(出所:東北大学HP 「卒業生の進路」)

このリストは、過去3年分であり、各企業・団体ごとの就職者数が記載されていないので、ネームバリューの高い企業を中心に抽出されている可能性もあり、なかなか評価が難しい。

もっとも、全体的に見ると、思ったよりもローカル色が薄く、比較的就職偏差値が高めの人気企業に就職していることがうかがえる。

例えば、トップシェアの金融業については、七十七銀行とか岩手銀行といった地方銘柄があるが、日本銀行、国際協力銀行、農林中央金庫、メガバンク、大手信託銀行、日本生命、東京海上日動火災、野村證券といった政府系や大手金融機関が多い。

製造業についても、村田製作所、新日本製鉄、ソニー、トヨタ自動車、JT、三菱重工といった各業界トップクラスの製造業に就職実績がある。

それから、意外とメディア関係も多い。
日本放送協会、日本テレビ、読売新聞の他、東北放送、宮城テレビ、仙台放送、東日本放送とローカル局もあるが、実績がある。

さらに、三井物産、三菱商事、豊田通商と人気の総合商社の実績もある。

データが不十分なので、何とも断言しにくいが、同じ地方旧帝大法学部の北海道大学法学部や名古屋大学法学部と比べると、民間企業への就職状況はより良好であるように見える。

<北海道大学法学部の就職と課題>
https://career21.jp/hokkaido-law-shuushoku/

<名古屋大学法学部の就職と課題>
https://career21.jp/nagoya-law-shuushoku/

3. 東北大学法学部の就職における課題

①法曹志望者のサポートをどう考えるか?

東北大学法学部からの大学院進学者数は25人で、卒業生の内、約15%に該当する。この中には、法科大学院以外に進学する者も含まれている可能性があるが、この数字は、早慶、その他有力国立大学の法学部と大体同程度である。

近年では予備司法試験経由で法曹を目指す者も増えているようなので、約2割程度は法曹を目指すというイメージだろうか。

この点、東北大学法学部において、法曹養成のための5年間コースが設置されたことは注目される。入学後に所定の対応を採れば、早期卒業制度を利用して3年間で法学部を卒業し、法科大学院の既修者コース(2年間)に進学することができるのである。
http://www.law.tohoku.ac.jp/education/3plus2course/

東北大学法学部の場合、いわゆる旧司法試験時代から、司法試験における一定のプレゼンスを有していた。東大法学部においては、弁護士の人気は低迷しているようであるが、まだまだ弁護士のステイタスは高い。従って、法曹養成の強化という点は、大いにアピールできる点ではないだろうか。

②公務員における存在感

東北大学法学部の場合、公務員になる者の比率が非常に高い。
北海道大学法学部と同様に、公務員になる者の比率は1/3以上であり、国立私立を問わず、全国の法学部の中でも最も高い部類であろう。

東大法学部においては、官僚人気は低迷しているという話も聞くが、だからこそトップ省庁に他大から就職するチャンスは増えているという考え方もある。

従って、公務員の中でも、国家公務員総合職を目指す学生をサポートするという路線は採りうるだろう。

③民間企業への就職における課題

東北大学法学部の場合、民間企業への就職者数がかなり少ないので、人気企業・難関企業の就職において実績を上げることは難しい。

確かに、商社、大手マスコミ、人気メーカー、政府系金融等である程度の実績はあるものの、外銀、外コン(総合系ファームも含む)、電博、外資系(GAFA、消費財系)等での実績はうかがえない。

この点については、在京のOBのサポートも必要になるだろうが、学生としては頑張って十分な情報収集をし、東大や早慶のトップクラスの就活生の友達を作る必要があるだろう。

今では、ONE CAREER、外資就活等の就活メディアの他、YouTubeやTwitter等のSNSからも情報収集が可能となっている。また、コロナウイルス問題に伴い、リモートでのイベントに参画することも可能である。

ある程度、東京に足を運ぶとなると、お金や労力も必要となるが、これについては何とか頑張ってもらいたいものだ。

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