双日と三菱UFJ銀行(オープン)ならどちらを選ぶか?

1. 双日と三菱UFJ銀行、業種も業界順位も全然違うが…

両社は銀行と商社、業界6位(定量的には7位?)と業界トップと、全く異なるのであるが、この2社の比較で悩むケースはあるだろう。

パターンとしては、5大商社が本命だったところ、全落ちしたがかろうじて総合商社である双日の内定を獲得できたケースだ。

或いは、メガバンクが本命で総合商社を記念受験したところ、たまたま双日の内定を取れば場合だ。(まあ、このケースはあまり無いだろうが…)

両社とも一般的には就職難易度は高い企業であり、就活において上位校の学生は、「就職偏差値」を基準に、複数の業界を受けるので、このような悩みが生じ得るのだろう。

2. 異なる業界の2社を比較するのであれば、就活の「軸」の明確化が必要

総合商社とメガバンク、業界も業務内容も全く異なるので、単純比較はできず、結局、就活・将来のキャリアの「軸」を明確化する必要がある。

ここでいう「軸」としては、年収水準(生涯賃金)、スキル、WLB、勤務地、自分のやりたい仕事等があげられる。

ところが、こういった一般的な「軸」を基準に考えても、明確に答えは出ないかも知れない。

まず、「年収」「生涯賃金」というお金の面を基準に両者を比較した場合、それほど大きな差は無いからだ。両者共に、30歳位で1000万に到達し、40歳では1500万円位が見込まれる。そして、2000万を突破するのは両社とも部長クラスに昇進する必要があり、これは一部の社員に限られてくる。そして、両者ともに退職金や企業年金といった福利厚生も充実している。違いがあるとすれば、双日の場合は海外駐在によるアップサイドがあるのと、三菱UFJの場合は50歳を過ぎると出向になり、50代10年間の給与額は若干双日の方が多いかも知れないという点である。

スキルについても、どちらが有利とは言い切れない。
双日の場合はグローバル経験は付くものの、同じレベルの待遇の他業界への転身は難しい。他方、三菱UFJ銀行も、業種別採用ではなく、総合職(オープン)であれば、市場系やIBD、アセマネといった転職可能なスキルを習得できる部門への異動は容易ではない。

WLBについても同様で、総合商社もメガバンクも、いずれも外銀やコンサルほどではないが、それなりのハードワークが見込まれ、決して「ゆるふわ」系の業種とは考えない方がいいだろう。

また、ステータス、見栄といった視点においても、総合商社>メガバンクと言えるかも知れないが、業界順位がトップと6位ということを加味すると、どちらが上とか下とか言いきれないだろう。

そうなると、結局は、自分自身の各業界に対する好き嫌いや、カルチャーといった主観的なものを基準に判断するしかないだろう。

3. 20~30年将来を見据えると、若干、双日が良いか?

さて、ここからは私自信の考えである。
私としては、双日の方が若干良いのではないかと考えている。

その理由としては、20~30年先を見据えると、グローバル経験とスキルをより重視した方がキャリアとしては安全だと考えられるからである。

確かに、企業としては三菱UFJの方が双日よりも安泰かも知れないが、リテール部における個人という立場では安泰とは言い切れない。何故なら、数十年後は少子高齢化に伴い、日本のリテール金融市場の縮小リスクがあり、加えて、ITの進化に伴うオンライン化によって、リテール部門の人員が余剰化する可能性があるからである。20年後というスパンで見ると、給与水準が2割程度下げられる可能性はあるだろう。

そうなると、双日で海外駐在をし、グローバル経験によって揉まれた方が、先行き不透明な将来において生き抜く力を得られるのではないかと思われる。

もっとも、「インドやアフリカは絶対無理」等、海外生活に抵抗感の強い人はいるだろう。
そういった場合には、さすがに双日を選択することはお勧めできないが、三菱UFJに行くにしても、英語力を磨くとか、系列の証券やアセマネへの異動を狙うとか、長期的に生き残れそうなスキル習得に注力すべきであろう。

  • ブックマーク