就活【企業選び、自己分析、就活準備】を始めるに際して、やっておきたいこと

序. 早くから就活の準備を始めただけでは内定を取れない理由

「私は3年生の春から就活準備を始めたのに内定がまだ取れないのに、同級生は4年生から就活を始めて大手の内定をすぐに取った。何で?」という就活生の愚痴を時々聞く。気持ちはわからなくもないが、理由は明らかだ。

第1に、企業選びが適切ではない可能性がある。難しい企業ばかりに少数応募をしたところで、簡単に内定まで辿り着けない。憧れの企業、本命企業、押さえ(滑り止め)企業と、大学入試と同様にバランスよく応募をする必要がある。

第2に、自分自身や競合となる学生のスペックに対する分析が不十分な可能性がある。就活は、学歴だけでは決まらない。学歴に加えて、スペック(グローバル経験、体育会、学業、資格、ビジネス経験他)、就活対策、プレゼンテーション能力も非常に重要な決め手となる。このため、後から就活を始めた同級生の方が早く大手の内定を取ったと言っても、その同級生が自分よりもスペックが高いと、当然内定はし易くなる。

第3に、就活対策を早くから始めていたとしても、その内容が不十分だと、当然良い結果には繋がらないものである。業界/企業研究をIR資料を十分に読込み、OB訪問で検証しているか?また、面接で頻繁に聞かれる質問事項を想定し、事前に準備ができているか?GDのテクニックは身に着けているか?そして、話す中味は良くても、話し方、要するにプレゼン能力が低いと内定は遠のく。

少なくとも、上記の3点を適切に押さえておかないと、早くから準備を始めても良い結果には繋がらない。

1. 適切な企業選びを考える

企業選びをするにあたっては、難易度を考慮する必要がある。難関企業ばかりに応募すると、いくら頑張ったところで全落ちするリスクは高い。

企業の難易度については、いわゆる就職偏差値が参考になる他、自分の大学からの就職実績を調べてみると良い。採用実績がほとんど無い企業から内定を取るのは非常に難しい。

また、ESの提出企業数は15-20社位を考えたいところであるが、「多分ダメだろうけど、内定を取れる可能性がゼロではない」憧れの会社を数社、「過去の採用実績や自分のスペックから十分内定の可能性がある」と思われる本命10社、「少なくともここなら内定を取れるだろう」と思われる押さえを5社程度、バランス良く選びたい。

そして、重要なのが、憧れ、本命、押さえの適切性である。就活は大学受験と違って模擬テストが無く、自分の客観的な就活能力というのがわかりにくい。そこで、信頼できる社会人に相談して検証してもらうことが重要だ。OB訪問は必要なので、その際に、他業界のOBだったとしても内定可能性と志望企業のポートフォリオについて相談をしてみるべきだろう。

2. 自分のスペックを適切に把握し、早くからスペック上げを実行する

同じ大学・学部であったとしても、就活においては非常に大きな差が開く。その要因の1つがスペックである。グローバル経験(帰国子女/留学)の有無、学業ガクチカ(強みとできる学業実績やGPA)の内容、体育会か否か、資格(TOEIC、簿記2級、証券アナリスト、USCPA等)、ビジネス経験(長期インターン経験、ビジネススキル、起業経験等)が、スペックの構成要素である。

求められるスペックは、業界や職種によって当然異なる。もっとも、グローバル経験は非常に多くの業界から評価されることが多い。学業については、20世紀はそれほど重視されなかったが、近年では商社が学業/成績を見るようになり、重要性は高まって来ているようだ。

体育会については、以前ほどは就活における力は無くなったと言われているが、マナー、規律、忍耐強い、組織的な行動が得意という要素があり、一般的には加点材料となることが多い。但し、難関企業においては、体育会しかアピール材料が無いと落とされることが多くなったようだ。語学や企業研究等も軽視できない点については留意が必要だ。

こういったスペックは短期的に揃えることが難しい。普遍的に有用性が高い語学力や財務会計系の資格については、大学入学後早い段階から準備を始めておくことが望ましい。

注目したいのは、ビジネス経験である。日本の大企業は少子高齢化により国内市場が縮小化するので、海外で稼ぐか、新規事業で稼ぐしかない。このため、新規事業を創造できる人材に対するニーズが強い。また、こういった人材は既存の社員の中で見つけることは難しい。このため、起業体験、ネットビジネスでの収益実績等で実績を作っておくと非常に面白い。ネット、SNSをユーザーとして利用するだけの学生が多く、自ら発信する側に立てる学生はまだまだ少ないからだ。こういった分野を攻めて、スペック上げが出来ると就活における強力な武器になり得るだろう。

3. 適切な就活対策の準備(企業研究、ES/面接対策、プレゼンテーション)

高学歴で、語学堪能&体育会幹部というハイスペックな学生であったとしても、人気企業においては、これだけだと内定はまだ出ない。ESは楽勝で通過するだろうが、そこから先の面接が大変で、面接における質問に上手く答えられなかったり、プレゼンが下手で伝わらなかったりすると内定まで辿りつかない。

このため、業界/企業研究をしっかりと行い、志望動機・自己PR・ガクチカをきっちりと仕上げてES・面接を上手く切り抜けなければならない。そして、自分では意外とよくわからないのがプレゼンテーション能力である。話す内容が良くても、マナーや身だしなみ、声の大きさや速さ、視線などの広義のプレゼン能力が低いと高い評価は付かない。

プレゼン能力については、就活仲間と練習する他、多くの社会人と話してみることが重要である。また、自信を持つことが重要なので、選考が早いベンチャー企業で内定を取っておく経験をしておくという方法もある。

以上の様に、就活で志望企業から内定を取るには、越えなければならないハードルがいくつもある。この点、間違った方法でいくら長期間努力をしても結果は出ない。また、就業経験の無い学生が自分の頭で考えても、限界がある。

従って、なるべく早い段階でOB訪問を実施し、適切な志望企業の選定や準備法を把握し、計画を立てることが必要である。

  • ブックマーク