三菱商事の給与水準でも実現できない生活水準とは?

1. 商社、特に三菱商事のボーナスの水準が凄いことになっているようだが…

高給で知られる商社、特に三菱商事の給与水準が高いことは以前から知られていたが、近年の資源高による好業績で、三菱商事のボーナスの水準が凄いと噂になっている。

この動画を見ると、三菱商事のこの夏のボーナスは、35歳位で1200万円以上だという。
冬のボーナス水準は夏とは同水準では無いとのことなので、年収でみると、35歳で軽く2千万円を突破するという。
https://www.youtube.com/watch?v=_oi390-BEYU

コロナ前までは、三菱商事の大雑把な年収水準は、35歳で1800万、40歳で2000万超えというイメージであった。ポイントとしては、1000万は入社3年目位で到達するが、そこからの上昇ペースが遅く、特に2000万円が遠いという印象であった。しかし、現状では、35歳で2300~2500万、40歳では2500~3000万という水準だろうか?もちろん、資源市況が悪化すると、これより下がることになるだろうが、外資系の様に大幅に業績に連動して下げられることは無いというのが国内系企業の魅力だ。

2. しかし、それでも、外資系企業に憧れる?

非常に安定しているが、2千万円の壁は厚く、さっさと実現したければ外資に行くしかないという風に考えられていたが、30代で2000万を余裕で突破できるとなると、あえてリスクを取ってまで外資に行く必要は無いのではないかと考えられる。

三菱商事の社員(特に若手)が憧れる外資系としては、MBBがあげられるが、戦コンの給与水準は外資金融と比べるとそれほど高くは無い。非常に厳しい競争をくぐりぬけて、30代でマネージャーになったとしても年収は2千万円台である。近年、コンサル業界が業績好調で年収水準がアップし、マネージャークラスで3千万円位のケースもあるかも知れないが、福利厚生を加味し、さらに、WLBを考慮するとリスクを取って行く意味があるのかどうかよくわからない。

外資系金融でも、外資系アセマネの場合も同様で、戦コンより若干年収水準は高いかも知れないが、それでも、30代で年収3000万円くらいあれば結構頑張っている方で、30代で三菱商事の倍以上稼いでいる人は結構少ないはずだ。

そうなると、外資系企業でも三菱商事を遥かに凌ぐ年収を実現できるのは、外銀ぐらいだろう。外銀の場合、上手く行くと、30代で5000~7000万、さらにMDになると1億円以上も可能である。ただ、そこまで到達できるのは一部に過ぎない。

このように考えると、「三菱商事とモルガン・スタンレーから内定をもらい、三菱商事を選ぶと数年後に後悔する」などと言われてきたが、現状の給与水準を考えると、状況は変わって来ているのではないだろうか?

上で紹介した動画でも言及されているが、外資系といっても、ちらほら転職者のいるアマゾンやその他の外資ITだと、生涯賃金ベースで見ると、三菱商事には勝てないのではないだろうか?

3. 三菱商事の年収レベルでも実現不可能な生活水準とは?

三菱商事の年収レベルは、安定性を加味すると、外資系企業と比べても非常に恵まれている。
しかし、三菱商事の社員(特に若手)は、自社が最難関企業であることを認識しており、自信も意欲もあるので、更なる上を見ていることは理解できる。

ただ、三菱商事の年収レベルでも実現できない生活水準とはどういったものだろうか?

①港区タワマン生活

昔から、「物件価格は年収の5倍位まで」と言われている。
実際は、低金利の住宅ローンによって、年収の6-7倍の物件でも物理的に購入可能になっているのだが、ここでは5倍を基準に考えよう。

そうすると、三菱商事の35歳での年収が2300万円とすると、買える物件の目安は1億1500万となる。

コロナ前であれば、これぐらいの予算があれば、港区内のそこそこの地域のタワマンでも購買可能な物件があった。しかし、現在では、港区の一等地の新築物件はほぼ倍増しているので、2億円以上が必要となる。

そうなると、高給の配偶者や太い実家のサポートが無いと、買うのは厳しい。

②軽井沢の別荘

港区のタワマンが無理なら、せめて軽井沢に別荘でも買うかと考えても、軽井沢の物件もコロナ以降、かなり高騰している。この地元の不動産屋のホムペを見ると、新築の建売物件で1億以上がごろごろある。土地を買って、建物を建てるにしても、軽井沢は寒冷地仕様が必要で建築コストが非常に割高なので、最低でも7千万位は用意しないといけないようだ。
もちろん、中古別荘となるとピンキリなので、2千万円位の物件もあるが、おそらく三菱商事の社員が求めるのはその手の物件では無いだろう…
https://www.royal-resort.co.jp/karuizawa/

③新車のフェラーリ

港区タワマン、軽井沢の別荘と来ると、次は新車のフェラーリである。
港区のフェラーリの正規ディーラーで聞くと、フェラーリのオーナーの年収水準は4~5千万クラスが結構多いとのことである。(興味があれば、このブログ記事をご参照下さい)。
https://career21.jp/2018-10-04-160210/

そうなると、フェラーリやランボルギーニクラスはやはり難しい。

4. でも、心配しなくても、他の外資でも港区タワマンもフェラーリは買えない…

港区のタワマン、軽井沢の別荘、新車のフェラーリ、どれも買えないと書くと、寂しい気がしないでもないが、気にする必要は無い。何故なら、それらを実現しようと思っても、他の外資系(MBB、外資系アセマネ、外資系IT)でも実現できないからだ。

実現できるとすれば、一部の外銀の成功者だろうが、リーマンショック以降、外銀の年収(特にボーナス)水準は下がって来ているので、その確率は高くは無い。

基本的に、上の生活水準を本気で実現したければ、サラリーマンではなく、起業し経営者を目指すべきだろう。

また、港区タワマンやフェラーリは無理だとしても、それ以外のそれなりの一等地に住んで、ポルシェマカンやベンツには乗れるのだから、決して悪い暮らしではない。

5. さらに、副業と運用をコツコツ頑張れば、将来もっといい暮らしができる

なお、上で実現は難しいと書いたのは、30~40代での話である。
副業と運用をコツコツと若い時から頑張れば、50~60代では実現できる可能性はある。

というのは、例えば、20代半ばから、毎月20万円を積立運用し、5%で回すことができたと仮定すると、30年後にはそれだけで、1.66億円になる。それだけで、軽井沢の別荘と新車のフェラーリが買えてしまう。「20代半ばから毎月20万円は厳しい」と感じる人もいるかも知れないが、三菱商事の場合、駐在によるアップサイドがあるし、充実した退職金・企業年金もある。

さらに、エリート商事マンであれば、本気でやれば副業で月10万稼ぐことなど簡単ではないだろうか?

<積立運用シミュレーション>
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html

人生百年時代、70歳まで働く時代と言われているが、商社の強みである安定性・終身雇用を活かせば、50代で凄い生活を実現することは十分可能なのだ。
そのためには、副業で運用原資を捻出し、金融リテラシーを磨いてコツコツ積立投資を継続するだけでOKなのだ。

私はTwitterを運営していて、毎年、金融専門職志望のハイスぺ学生に就活アドバイスをしているが、今のところ、三菱商事に憧れる学生は意外と少ない。しかし、5年後には金融専門職が滑り止めで、本命が商事という学生が増えても、私は驚かない。

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