専修大学の進路と就職。学歴フィルターには、どう立ち向かうか?

1. 専修大学の概要

専修大学は大正11年に大学として認可され、平成26年に創立135年を迎えた歴史のある大学である。

新入生総数は約4000人で、日東駒専の中では、駒澤大学よりも少し大きく、東洋大学(新入生総数約7300人)の半分強位の規模感である。

キャンパスは千代田区神田神保町のメインキャンパスと、神奈川県川崎市の生田キャンパスの2キャンパス制である。

2. 専修大学の進路

19/3卒業生については、卒業者総数は3882人であり、うち63人が大学院に進学し、42人がそれ以外に進学している。
https://www.senshu-u.ac.jp/albums/abm.php?d=1961&f=abm00002293.pdf&n=%E5%8D%92%E6%A5%AD%E7%94%9F%E4%BF%AE%E4%BA%86%E8%80%85%E3%81%AE%E9%80%B2%E8%B7%AF%E7%8A%B6%E6%B3%81_H30.pdf

進学率は2.7%でありごく一部である。

就職者は3421人であり、全卒業者における就職率は88%と高水準である。

3. 専修大学の就職

①業種別の就職状況

専修大学は公式HPで各学部の業種別就職状況を開示している。
https://www.senshu-u.ac.jp/albums/abm.php?d=1961&f=abm00002289.pdf&n=%E5%AD%A6%E9%83%A8%E5%88%A5%E6%A5%AD%E7%A8%AE%E5%88%A5%E5%B0%B1%E8%81%B7%E7%8A%B6%E6%B3%81.pdf

例えば、商学部の場合は、以下の通りである。

卸・小売り 23.2%
情報通信 13.1%
金融 12.2%
製造 8.9%
運輸・不動産 8.8%

他学部の場合も、卸・小売りが多いのが特徴で、MARCHと比べると金融機関の割合は特に高くない。

なお、ネットワーク情報学部は学部の性質上、情報通信が50.2%と極端に高くなっているのが特徴である。

②主な上位就職先

専修大学の場合、具体的な卒業生の就職先については学部別に上位25社を開示している。
しかし、各社毎に人数は開示されており、あまり開示状況は良くない。
https://www.senshu-u.ac.jp/albums/abm.php?d=1961&f=abm00002288.pdf&n=%E4%B8%BB%E3%81%AA%E5%B0%B1%E8%81%B7%E5%85%88_%E5%AD%A6%E9%83%A8.pdf

このうち、社会科学系4学部の就職先25社については、以下の通りである。

<経済学部・法学部>

経済
JUKI 日鉄住金鋼板
富士通 エフピコ
日本ケミコン ジョンソンエンドジョンソン
ルネサスエレクトロニクス バンダイ
曙ブレーキ みずほFG
ニプロ 横浜銀行
青山商事 ゆうちょ銀行
千葉銀行 第一生命
広島銀行 東京海上日動火災
常陽銀行 JTB
神奈川県信連 国立病院機構
みずほ証券 労働者健康安全機構
富国生命 日本赤十字社
住友生命 地域医療機能推進機構
全労済 全国農業協同組合連合会
JR東海 日本司法支援センター
京王電鉄 日本中央競馬会
ソフトバンク 高齢・障害・求職者雇用支援機構
NTT東日本 国際研修協力機構
東京都医療保険公社 日本年金機構
横浜農業協同組合 法務省
厚生労働省 国税専門官
金融庁 法務省専門職員
労働基準監督官 東京都(事務Ⅰ類)
東京消防庁 警視庁警察官

<経営学部・商学部>

経営  
大和ハウス工業 亀田製菓
ヤマザキビスケット クリナップ
雪印メグミルク タカラスタンダード
国立印刷局 キッセイ薬品
JFEスチール ライオン
東芝機械 日本電気
リコー 三菱食品
THK レナウン
ミネベアミツミ 因幡電機産業
太陽誘電 アマダホールディングス
本田技研工業 そごう・西武
りそな銀行 セブンイレブン・ジャパン
十六銀行 りそなホールディングス
静岡銀行 三菱UFJ銀行
SMBCコンシューマーファイナンス 足利銀行
クレディセゾン 山梨中央銀行
王子ホールディングス かんぽ生命
野村證券 三井住友海上火災
三菱UFJモルガンスタンレー証券 あいおいニッセイ同和損害保険
日本生命 東京ガス
損保ジャパン トーカイ
JR西日本 有限責任監査法人トーマツ
東京地下鉄 楽天
バンダイナムコエンターテインメント SMBCファイナンシャルサービス
神奈川県警察事務職員Ⅰ種 東京都特別区Ⅰ類

(出所:専修大学HP 「平成30年度 学部卒業生の主な就職先一覧25社」より抜粋)

上記の主な就職先については、各社何名かがわからないので、評価することは難しい。ある程度の就職先のイメージを掴むための参考程度だろうか。

4. 専修大学の就職の課題 ~学歴フィルターはあるのか?~

①有名企業400社への就職率を見ると、全般的な就職力は掴みやすい

専修大学の就職力の評価に当たっては、情報開示も十分とは言えず、また就職先企業の評価を定量化することも難しい。

そこで、参考になるのが、東洋経済社が集計をしている「有名企業400社へ就職率」がわかりやすいのではないだろうか。多くの学生が就職を希望する大企業への就職者割合が掴めるのと、他の大学との比較が可能だからだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/237539

ここから、日東駒専の有名企業400社への就職率を抽出すると以下の通りである。

日本大学 8.9%
東洋大学 9.8%
駒澤大学 9.0%
専修大学 9.1%

(出所:東洋経済オンラインの2018年9月14日の記事(井沢秀 大学通信情報調査部部長著より抜粋)

日東駒専については、ほぼ横一線であり、1学年4000人規模の大学としてはまずまずなのではないだろうか?

他方、MARCHと比較すると、MARCHの中で最も「有名企業400社への就職率」が低い法政大学が21.8%なので、その差は大きい。

課題があるとすれば、1ランク上の学校群であるMARCHとの差が大きい点であろうか。

②人気企業程、「学歴フィルター」が効く?

学歴フィルターという明確なものは存在しないのだが、人気企業になればなるほど大学名での選別は存在すると考えられている。

例えば、もっとも人気が高いとされる五大商社の場合、早慶からだと大学全体でそれぞれ100名以上就職している。ところが、MARCHとなると、各校からの就職者数は10~20名程度と、早慶と比べると激減する。

さらに、日東駒専となると、ほぼゼロである(19/3については、日大から丸紅に1名就職者がいたのみ)。

また、メガバンクについては、例えば、三菱UFJ銀行の場合、早慶からは各校70~80名が就職している。ところが、MARCHとなると各校20~30名に減少する。特に、総合職という括りでみると、差は更に大きくなると言われている。

そして、日東駒専となると各校1桁(日大7名、専修6名)と更に減少する。

以上の様に、人気の業界・企業になればなるほど、いわゆる学歴フィルターの影響を受けるので、その点を踏まえた上での対応を採るべきだと思われる。

5. 専修大学の就活生が採るべき対応法

専修大学の場合、ある程度の「大手」という切り口であれば、適切な就活対応をすれば、十分就職することは可能であろう。しかし、有名企業・人気企業になればなるほど、早慶、MARCHとの差は拡大していく。このため、就職活動においては戦略的な対応が必要となるだろう。

この点については、同じ学校群の日大の対応法をご参照下さい。

<日本大学の就職と就活生の対応法>
https://career21.jp/2019-09-05-145624/

①メリハリを付けた現実的な業種選びをする

就職の場合は学歴フィルターという壁が現実的に存在する以上、チャレンジするのは自由であるが、内定をもらえる確率を踏まえた上で行動する必要がある。

外銀、外コン、商社、金融コース別、大手マスコミあたりになると、日東駒専からだと採用実績がほぼゼロなので、新卒で入社することは諦めるというのも選択肢である。その代わり、中途採用となると、入れる余地はあるので、転職・中途採用を踏まえた企業選びという選択肢もある。このあたりは十分に検討した方が良いだろう。
また、人気企業については本選考ほど学歴フィルターが効くという意見もあるので、3年の夏のインターンで勝負をした方が確率は上がるかも知れない。

②ベンチャー、中小企業等で優良な企業を探す

企業名や待遇ではなく、いかにスキルを付けるかに主眼を置く就活もある。その場合、ベンチャーや中小企業もターゲットとなる。

もっとも、非上場のベンチャーとか中小企業の場合には、情報開示が十分ではないため、優良なところを探すのは至難の業である。

そこで、最近拡がりつつある、スカウト型の逆求人サイトを利用するという手もある。OfferBoxとかキミスカあたりが有名どころである。こういったサイトも試してみる価値はあるだろう。

<Offer Box>

https://offerbox.jp/

<キミスカ>

https://kimisuka.com/

また、最近では上記のスカウト型に加え、いろいろなタイプの就活サービスが登場している。例えば、Meets Companyは内定に結び付きやすい就活イベントを展開しているし、キャリコネは転職エージェントの様な個別的な採用情報とアドバイスを提供していたりする。こういったところも、ベンチャーに強いので、一旦内定を取ったり、面接の練習をして本命の大手への対策として有用である。従って、上記サービスと併用するのも良いだろう。登録はこちら(Meets Com@anyの公式サイト)

 

③視座を高め、良い刺激をうけるために、東大や早慶の優秀な学生と交流を持つ

日東駒専の場合、同級生よりもいい会社に就職したいと思えば、東大や早慶の優秀な学生と交流し刺激を受けるのが良い。ベンチャー企業で長期アルバイトをしたり、中高時代のツテを頼れば、そのような機会もあるだろう。

④何か1つコアな強み/ガクチカを持つ

人気企業を目指す場合には、何かしら、コアとなる強みを持ちたい。
アルバイト体験とかゼミで勉強しました程度では、差別化できないだろう。

従って、海外留学でTOEIC900超を獲得してグローバル対応力をアピールするとか、会計関連でも簿記2級ではなく、簿記1級とか、簿記2級+証券アナリストという深度のものが求められる。

この点、お勧めなのが海外短期留学とベンチャー企業での長期アルバイトだ。単なる飲食店とのバイトと違って、ベンチャー企業で働くと得るものが多い。自分と年齢が近い人達が頑張っている姿を見るのは良い刺激にもなるだろう。また、企業の採用担当者も外食と塾のバイトは食傷気味なので、ベンチャー企業での面白い体験を話した方が好印象だろう。

そして、そのベンチャー企業でのバイトでの資金を元に、短期海外留学をできたらベストである。英語の点数が上昇するだけでなく、海外にいくと日本では見られないものが見えるし、感じるところは多いはず。コロナが収束すると、短期でもいいので海外語学留学はお勧めである。

あるいは、ネット関係が得意なのであれば、ブログ、SNSでの実績を作るというのもアリだろう。Twitterのフォロワー数やブログのPVがある程度に達すると、十分な差別化要因になるのではないだろうか。

最後に ~卒業後にもいろいろな打ち手はある~

2020年初頭にコロナウイルスの問題が発生し、22卒以降は就職が難化するのではないかという見方もあったが、22卒及び23卒については、依然と比べて大きく就活事情が悪化したことは無さそうだ。しかし、コロナウイルスの影響を受ける業種は新卒採用においても大きな影響を受けているし、就活生も保守化するので特定の安定大手企業に人気が集中するという事態も生じているようだ。

そうした中、4-5学年上の好況期の先輩達と同じことをやっていても内定は難しくなる。他とは違う学生になるという観点から、早いうちから就活準備、スキル磨きを始めるべきではないだろうか。

もっとも、キャリア形成というのは新卒採用の段階で終了する訳ではない。たとえ新卒段階で思ったような企業に就職できなかったとしても、卒業後にいろいろな方法でキャリアアップを図ることができる。

例えば、早稲田、慶應、一橋の国内MBAコース(但し全日制が前提)に進学すれば、それなりの大企業に就職することは十分可能である。国内なので、進学費用は海外のMBAと比べるとそれほど高くはない(もっとも、全日制だと昼間に働けないので生活費が必要になるのが問題)。

もちろん、海外留学することが可能であれば、グローバル要員に対する大企業のニーズは非常に高まっているので、大きなチャンスが生じる。

或いは、web系のスキルを磨くと、独立・起業の途も開ける。日本の大企業でも副業は緩和されていくだろうから、そちらの方向に興味や自信があるのであれば就職後も磨き続けるべきだろう。

以上の様に、いろいろなキャリアアップの手段はあるので、興味があれば検討すればいいだろう。

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