【資産形成】サラリーマンは年収1000万円の他、貯金1000万円も目指したい

1. サラリーマンは年収1000万円を目標としがちだが…

サラリーマンにとって年収1000万円は1つの憧れだ。
大企業の場合、終身雇用と年功序列型賃金によって、長く働けばいつかは年収1000万円に到達可能だが、中小企業やベンチャーの場合には難しい。その場合は、いかにして大企業に転職できるかが1つの課題となろう。

また、大企業の場合においては、入社何年目で大台の1000万円に到達できるかが気になるところである。就活生を含め、特に若い人達は昇給ペースも気にするので、商社・金融・コンサル・大手マスコミ・デベロッパーといった昇給ペースの早い業界・企業を好む。

<サラリーマン、年収1000万円までの到達速度>
https://career21.jp/nenshuu1000/

年収1000万円というのは、非常に注目度の高い指標と言えるだろう。

2. あまり意識されない貯金1000万円

ところが、同じ1000万円でも、あまり意識されないのが貯金1000万円ではないだろうか?なお、ここでいう「貯金」というのは厳密な預貯金だけではなく、株式や公社債、投資信託等の有価証券を含んだ「金融資産」と考えても良いだろう。

年収はフローで、貯金はストックであるが、サラリーマンも年収だけでなく、貯金も重視するべきであろう。同じ年収水準でも貯金額によって、実現できる生活水準は違ってくるし、また、将来の年収を増やすことを目的とした投資(金融商品、事業投資、留学等の自己投資)を実行するにも貯金が必要だ。

3. 貯金1000万円を達成すべきタイミングは?

サラリーマンの年収1000万円の到達速度については、ある程度目安がある。
外銀とかの特殊なケースを除くと、早くて30歳位であろう。35歳くらいで年収1000万円に到達すれば、相対的に十分エリートと言えるだろう。

他方、貯金1000万円については、達成すべき年齢というものがあまり指揮されていない。それは、実家の資産状況、配偶者の年収レベル等の外部条件によって、同じ年収でも達成可能な時期が異なるからであろう。

また、支出をどう管理するかによって、同じ年収でも達成可能時期は全く異なってくる。
例えば、最近流行りのFIREの達成者のケースだと、手取り25万円のうち月5万円で生活し、残りの20万円を全て株式投資等につぎ込む。(実家暮らしか寮くらしじゃないと無理だろうが…)。そうすると、運用益はゼロと仮定しても、年間20万×12か月=240万円。そうすると、約4年で貯金1000万円を達成できる。就職時点で貯金ゼロだったとしても、26歳時点で達成できてしまう。

他方、商社や電通・博報堂は高給だが、家賃、クルマ、スーツ・靴・時計、デート代等にお金を掛けがちなので、そうすると、30歳時点(年収は千数百万円)でも貯金は数百万円しか無い場合もある。

映画のマルサの女であったように、年収400万円でも200万円しか使わないと貯金は200万円、年収1億でも全額使ってしまうと貯金はゼロだ。貯金をするには、支出のコントロールが非常に重要になる。

4. サラリーマンがとりあえず目標とすべき貯蓄金額は?

上記の例はいずれも極端なケースかも知れない。
現実的には、FIRE狙いの人達の様な質素な生活は耐えられないし、反対に、高給サラリーマンでも贅沢し過ぎて年間貯金ゼロという生活はやりたくない。

そこで、どれくらいの貯金を目標とすべきかが気になるところだ。
これについては、もちろん、決まった答えというのはないが、ファイナンシャル・プランニング的には額面年収の2割というのが1つの理想だ。

しかし、額面年収の2割というのは、結構ハードルが高い。年収が高い人は累進税率によって、手取りに対する貯蓄額の比率が高まるからである。

例えば、年収1000万円の場合、手取りが約720万円。額面の2割を貯金しようと思うと、手取りの約28%を貯蓄に充当することになる。

それでは、年収が低いと税率も低いから額面年収の2割の貯金は達成しやすいかというと、実はそうでもない。例えば、年収400万円の場合の手取りは約320万円。額面の2割を貯金するには、80万円÷320万円=25%。ただ、光熱費、医療費、消耗品費、最低限の食費等の最低限生活していくには必要は費用は年収水準に関わらず生じるので、年収が低いと実質的にコントロール可能な金額は相対的に少なくなるからだ。

このため、額面年収の1割は貯金に回すことを目標とした方が現実的だろう。
年収1000万円のケースだと、100万円÷720万=14%。これぐらいは何とか実現したいところだ。

なお、大企業のサラリーマンの場合、年収に占めるボーナスの割合が結構高いので、月々は額面月収の1割、ボーナスのある月はボーナスの額面の2割の貯蓄を目標とすれば良いだろう。

額面の1割の貯金を目標とすると、30歳で年収1000万円でも、30歳時点では貯金1000万円は無理と言うことになる。20代(22~29歳)の8年間の平均年収を700万円と想定すると、70万円×8年間=560万円。この場合、貯金1000万円到達は34歳頃になってしまう。こう考えると、貯金1000万円というのは結構楽じゃないことがうかがえる。

他方、額面の2割の貯金を続けていると、この想定だと、29歳のうちに貯金1000万円を達成ということになる。

やはり、支出のコントロールは貯蓄をする上で非常に重要なことがわかる。

5. とは言え、若手は年収アップにも拘りたい

大企業のサラリーマンの場合、いくら頑張って人事査定を上げたところで、年収は大して増えないと言われている。例えば、ボーナスの評価が1ランク上がっても、金額は数万円しか違わなかったという話を聞く。そうなると、貯金をするには節約しかないということになってしまう。

しかし、それは収入は本業のみ、かつ、終身雇用を前提としたケースである。
副業が緩和される方向になるので、副業による年収アップは目指したいところだ。
また、ジョブ型制度が注目され始め、国内系大手企業でも転職が一般化していくと、転職によって大幅な年収増も可能となる。

従って、若手サラリーマンは年収アップと貯蓄率の向上とをバランスよく実現していくことが理想だ。

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