名古屋大学法学部【22卒向け】の就職と進路。法科大学院進学が人気?

1. 名古屋大学法学部の基本情報

名古屋大学法学部は1949年に設置された、いわゆる旧帝国大学の法学部であり、難関大学法学部の1つとされている。

現在の定員は150人であり、法律・政治の1学科体制である。
少人数教育を4年間通じて受けることができるように配慮されており、1年次には「基礎セミナー」が用意され、2年次以降は演習(ゼミナール)が開講されている。

地元出身者の比率は約6割程度である。

2019年入学生に関して、男女比率は61:39と、経済学部と比べると若干低いものの、男子比率が高くなっている。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/0490/department.html?department=015

2. 名古屋大学法学部の就職状況

名古屋大学法学部の就職先に関する公式HPの開示はあまりよくない。学部別の主要な就職先が10社ほど紹介されているだけで、各社の就職者数の記載も無い。

概要としては、卒業生158人のうち、25人が大学院に進学する。そして、就職したのは123名であり、うち公務員が28人となっている。民間企業への就職者数は95人(就職者の77%)である。

このように、民間企業就職者数は100人を切る少人数であり、名古屋大学法学部生の稀少性は高いと言える。

民間企業の具体的企業名は、大学のHPでこのように紹介されているのみである(平成30年度卒業生)。
http://syusyoku.jimu.nagoya-u.ac.jp/data/H30shushokusaki.pdf

これをベタ打ちしてみると、以下の通りである。

鹿島建設
大和証券
東海テレビ放送
東邦ガス
豊田自動織機
ニトリ
日本ガイシ
日本生命保険
三井住友銀行
ヨシタケ

これは人数順ではなく、あいうえお順であろう。

これを見る限り、かなりローカル色が強いことがうかがえる。
東海テレビ放送、東邦ガス、豊田自動織機、日本ガイシ、ヨシタケと上位10社のうち、半数が地元銘柄である。ちなみにヨシタケとは、名古屋を本社とする自動弁(バルブ)の総合メーカーである。

金融機関については、大和証券、日本生命、三井住友銀行が上位10社入りしており、大手金融機関には一定数の者が就職していることがうかがわれる。

ただ、いわゆるIT系が1社も入っていないことは少々意外である。
楽天、ヤフー、サイバーエージェントといった大手のネット系企業にはあまり就職しないような気もするが、KDDI、ソフトバンク、NTTグループなどはある程度就職者がいてもおかしくは無さそうである。もっとも、上位10社までの開示なので、詳細は不明である。

3. 名古屋大学法学部の就職における課題

①法曹志望者のサポートをどう考えるか?

名古屋大学法学部からの大学院進学者数は25人で、比率で言うと、約15%と文系学部にしてはかなり高い進学率である。これは、おそらく法科大学院への進学者が大半ではないだろうか?

有名大学法学部からの法科大学院進学率は、予備試験に流れる者もいるため、東大・京大法学部で2割程度なので、名古屋大学法学部の法科大学院進学率の15%というのは十分に高い部類と思われる。

この点、2019年度以降の入学者を対象として、法曹養成のための「5年一貫教育」である「法曹コース」が新設された。入学後に所定の手続きをとってこのコースに登録し、必要な条件を満たせば、早期卒業制度を利用して3年間で法学部を卒業し、法科大学院の既修者コース(2年間)に進学することができるという。

http://www.law.nagoya-u.ac.jp/

司法制度改革に伴う弁護士数の増大によって、弁護士や法科大学院の人気は低下傾向にあるということだが、まだまだ弁護士のステイタスは高いと思われる。

従って、逆バリ的に、名古屋大学法学部が法曹志望の学生へのサポートを厚くすれば、魅力は高まる可能性があるだろう。

名古屋大学法科大学院は、司法試験において、合格者数及び合格率の双方でベスト10に入っているので、法曹重視の戦略には合理性があるだろう。
https://www.legalnet-ms.jp/topics/11710.html

②民間企業への就職における課題

名古屋大学法学部の場合、民間企業への就職者数が100名を切る位少なく、母集団が小さいため、就職力でプレゼンスを表すことは難しい。

そして、ローカル色が強いので、東海地域以外の学生に対する訴求力はますます厳しくなる。

外銀、外コン、総合商社、大手マスコミ、財閥系デベロッパーという、いわゆる最難関企業への就職者を増やさないと、早慶はおろか、MARCHと比較しても就職力をアピールすることは難しいのではないだろうか。

③名古屋大学法学部の就活における対応法

名古屋大学法学部の学生自体が、外銀、外コン、総合商社といった人気企業に興味が無ければ、それは問題がない。しかし、情報が不十分なために、そういった企業の魅力がよくわからない、或いは、応募をしても落とされてしまうのであれば相応の対策が必要だ。

そのためには、東大や早慶の学生と戦うための前提として、情報を十分に収集する必要があり、ONE CAREERや外資就活を日々チェックすべきだろう。

また、積極的に東京に出向いて、東京のトップ学生のレベルを把握することも重要だ。名古屋大学の場合には、地理的には他の地方旧帝大よりも東京へのアクセスが良いので、なおさら、積極的に東京の就活イベントに参加してみるべきだ(今は、コロナ問題のため、オンラインでの開催が多くなっているので、地理的な不利益が解消される面もある。)

感想

名古屋大学法学部は定員150名の少人数制の学部である。
そして、司法試験で実績を出しているので、法曹コースを強化するという方向性は興味深い。

公務員になる者も2割以上いるので、民間企業への就職者はますます少なくなる。
したがって、稀少性は高いので、人気企業においても十分な対策を取れば内定を取れるチャンスはあるはずだ。

そのためには、十分な情報収集をし、積極的なOB訪問をしていくことが望まれる。

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