1. 天下のマッキンゼーだが、数年働いただけでは幹部としてスカウトされない…
マッキンゼーというとサラリーマンの本当の最高峰である。
転職・就活市場においては、あの三菱商事よりも格上とされる超エリート企業である。
学歴的にも東大理系が非常に強く、よほど優秀じゃないと転職でも就活でも内定は取れない。
しかし、マッキンゼー等の戦コンは数年で辞めてしまう人が結構多い。
いくらマッキンゼーに在籍していたからといって、数年だけでは、さすがに外資系・国内系を問わず、事業会社から幹部級のポジションを用意してもらえる訳ではない。
他方、マッキンゼーから内定を取ることができる人材なので、その後、ショボいキャリアになってしまうとも思えない。
私はずっと金融畑なので、身近にマッキンゼーの知人はいないので、この謎はわからないままとなっていた。
2. ブログが縁で、元マッキンゼーの起業家と会う機会が…
私は将来の独立等を漠然と考え、このブログを2018年8月に始めた。
当時は、ワードプレスではなく、はてなブログだったのだが、このブログが縁で、元マッキンゼーの方とお会いする機会を得た。確か5年位前の話なので、詳しい経緯は忘れてしまったが、パレスホテルか丸の内ホテルでお茶をした記憶がある。
その元マッキンゼーの方は、東大理系院卒で入社したが、激務でパシリの仕事も多く、薄給(確か当時は年収600万円程度だったらしい)だったのですぐに辞めたそうだ。
ただ、その方は学生時代から起業もやっていて、とりあえず好奇心からマッキンゼーで働いてみるかというノリだったそうだ。ちなみに、彼は複数のビジネスを展開していて、結構羽振りは良さそうだった。
せっかくの機会なので、私の謎について、聞いてみることとした。
3. 数年でマッキンゼーを辞めてしまった人達の行方
①PEファンド
当時は、中途も新卒も、今ほど積極的な採用をしていなかったので、マッキンゼーの社員数は今よりも少なかった時代である。このため、今よりも若干、マッキンゼー出身者の市場価値は高かったかも知れないということだ。
このため、これは今でもそれなりにいるかと思うが、1つのパターンとして、マッキンゼーを数年で辞めてPEファンドに転職するという人達は一定数いたそうだ。他方、外銀とか外資アセマネとかは、非常に少なかったのではないかという話だ。
②外資系IT、外資系消費財企業等の外資系企業
元マッキンゼーの彼が言うには、GAFAM等の外資系IT企業に行く人達も一定数いたようだ。もちろん、管理職では採ってもらえないので、ジュニアスタッフとしての採用である。
また、これも多くはないそうだが、外資系消費財企業に転職する人もいたそうだ。
こういった外資系企業は、マッキンゼーブランドを十分に評価してくれるので、転職すること自体はそれほど難しくは無いという。もっとも、こういった外資系企業で長く働くのかどうかはわからないという。
③ベンチャー企業
2018年当時は、今よりもベンチャーが盛り上がっていたので、マッキンゼー在籍者なら、CXO待遇でそこそこのベンチャー企業から迎えられたという。このため、多くは無いが、ベンチャー企業にCXOとして転職する人達も一定数はいたという。
今でもマッキンゼーからベンチャー企業に転職する人はいるようだが、マッキンゼーの採用者数が増えたのと、ベンチャー市場が当時よりも冷めていることから、当時の方がベンチャー市場ではもてはやされたのではないだろうか。
④起業・独立
元マッキンゼーの彼によると、上記①~③と比べて、結構あったのが、この起業・独立パターンだそうだ。
起業・独立にもいろんなタイプがあって、IPOを真剣に目指して数十億円の資金調達を目論むケースもあれば、こじんまりとした1人起業まで様々である。
もちろん、IPOを目指した派手な起業の数自体はそれほど多いわけでは無いので、結構、自分1人だけの起業・独立が多いようだ。
1人だけで営む起業・独立の中味(業務内容)が気になるところであるが、プログラミング周りが得意な人は受託開発をやったり、戦コン就活塾をやったり、コンサル(といっても企業の研修講師等)を地味だが手堅くやっているそうだ。
プログラミングの素養があり受託開発を手掛けるのであれば、そこそこ稼げそうな気がする。しかし、その他のスモールビジネスで果たしてどれくらい稼げるのかが気になるところであるが、彼によると、数年後には千数百万位は稼げているのではないかということだ。
この点、さすが元マッキンゼーだと思った。会社に頼らなくても、自力で銀行員位は稼ぐ能力があるということだ。ハイスぺの商社マンや金融マンでも、会社の看板無くして、自分だけの力で千数百万稼げる人は少ないのではないだろうか?
4. 但し、お金が目当てであれば外銀一択…
ただ、元マッキンゼーの彼が言うには、お金が軸であれば、「外銀一択」だという。
マッキンゼー内でマネージャークラスまで生き残っても、或いは、外資系IT企業に転職しても、起業・独立しても、基本的に年収水準では外銀に適わないという。(もっとも、外銀である程度勝ち残れたケースを想定しているので、外銀に入りさえすればいいという訳ではない。)。
従って、年収重視の人は、無理してマッキンゼーを目指して消耗することは避けた方がいいのではないだろうか?
そうであれば、外銀に入って、ハードワークと厳しい競争に耐えて、VP以上になることを狙った方が良い。
また、起業・独立と言っても、派手な成功を収めることができるのはごくごく一部である。
自分のペースでやりたいことをやるために起業・独立したいというのであれば、楽天、アマゾン、CA、ヤフーあたりでECやウェブ系のビジネススキルを磨いた方が、よほど簡単である。
もちろん、「元マッキンゼー」という肩書がカッコいいのは間違いないので、サクッと内定を取れるくらい優秀であれば、一度マッキンゼーで働いて見るのもいいだろう。