1. TwitterのTLでこの種のツイートを見掛けたが…
具体的にどのツイートだったかは覚えていないが、
「みずほのオープンだったら、ベイカレに行くよね」という旨の内容だったことを記憶している。
私はこのツイートを見た瞬間、自分もその2つならベイカレだろうと直感したが、よく考えてみるとそうとは言い切れない気がしてきた。
2. 背景にあるのは、メガバンクにおけるみずほの位置付けの低下と、コンサル業界におけるヒエラルキーの存在…
なぜ、このような両社比較が出て来たのかという背景であるが、
要は、それぞれの属する業界で相対的に下位にある2社の比較ということだろう。
みずほは銀行全体で見ると、問題無く最上位のメガバンクに位置するのであるが、メガバンクの中では最下位で、しかも、上位2行とは、みずほの度重なるITシステムの不具合の問題もあり、定量的にも定性的にも話されつつある。
他方、ベイカレ、ベイカレントコンサルティングであるが、こちらも、今や早慶の就職ランキングの上位を占める人気のエリート企業である。企業全体で見ると、ベイカレも間違いなく上位企業なのだが、「コンサル」という業界に限ると、必ずしも上位ではない。私はコンサル業界で働いたことが無いので、特にこの業界に詳しいわけではないが、MBBに代表される戦コン>総合コンサルという位置づけがあって、総合コンサルの中でも、Big4系コンサル>アクセンチュア>ベイカレ、アビームというヒエラルキーがあるようだ。
両社ともに、一流企業であることは間違いないが、ただ、それぞれが属する業界の中ではトップではないという複雑さが絡んでくる選択ということだ。
さらに、みずほの場合は「オープン」というのがポイントだ。
GCFとかGM、AMといった専門職コースであれば、話は違うが、オープン(基本的にリテール)コースというのが、両社の選択において考えるポイントを与えてくれる。
3. 将来性やスキルの面で、ベイカレを選択したくなったが…
両社であれば、将来性やスキルの面で、ベイカレがいいだろうと私は直感した。
メガバンクに限らず、大手金融機関は国際競争力が無く、収益の中心は国内市場からとなっている。しかし、特にリテールの場合、少子高齢化によって国内市場の縮小は不可避である。また、習得可能なスキルについても、銀行のリテールであれば、そこからIBDとかGMとかAMに転身するのは難しい。
他方、ベイカレの場合は、何と言ってもITコンサルである。
ITというのは全業種共通のカギとなる部分であり、少子高齢化になると、かえってIT面が重視される面もある。従って、日本では数少ない将来性が期待できる業種と言える。
また、スキルという面に関しても、ITコンサルというのは汎用性がある。
転職という点については、総合コンサルの同業他社があるし、さらに最近では総合コンサルでも社内で上位に入れば戦コンへの転身も不可能ではない。社内で出世して、マネージャー以上になると、外資系や国内系事業会社のIT部門等の幹部社員になることも可能だ。
それから、給与水準については、メガも総合コンサルも同水準というイメージであったが、初任給は総合コンサルは600万円~スタートとメガよりも多いし、マネージャー手前のシニアコンサル層でも年収1300万、マネージャークラスになると2千万円も可能となっているようだ。最近のIT需要を背景に、年収面でも総合コンサルであるベイカレの方が、優位になってきているようである。
4. しかし、それでも単純にベイカレを選択できない理由
業界の将来性、スキル習得の可能性、年俸水準、どれを取っても、ベイカレが有利で、簡単に決められそうだが、実はそうもいかない。
その理由は、ベイカレは、仕事がハードで、年功序列・終身雇用ではない厳しい世界だからだ。総合コンサルも、新人の時から「バリューを出せ」とのことで、労働時間、社内競争、ストレスの面で厳しい。合わない人だと1年も持たないだろう。
もちろん、ベイカレに就職して、仕事がハード過ぎて耐えられず、転職しようと思えば仕事は見つかる。ただ、問題はベイカレ、或いは、みずほと同水準の待遇やステータスの会社に転職できるとは限らないということだ。
実際、総合コンサルで2-3年いただけでは、ITコンサルとしてのスキルは十分につくとは思えないし、国内系企業の場合には年功序列なので、総合コンサルで数年いただけの若手を管理職のポジションで採るわけには行かないからだ。
待遇を維持しようと思えば、同業他社に行くのが手っ取り早いが、それでは抜本的な問題解決にはならない。
出来ればマネージャークラス、最低でも5-6年の経験を積めるぐらいまでは働けないと、そこから先は、みずほのオープン組より良いキャリアを歩むことは難しい。
みずほであれば、20年後は今の給与水準は維持できないとしても、おそらく、50歳過ぎで出向になるまではそれなりの高給と、メガバンクというステータスを享受することは可能だろう。
結局、最低でも5年間はベイカレ(或いは総合コンサル業界)で働き続ける自信が無いと、ベイカレを選択するのは危険だろう。総合コンサルでやっていける自信があればベイカレ、そうでなければ、みずほ(オープン)ということだが、本当にやっていけるのかどうかは入社してみないとわからない。そう考えると、実は、結構難しい選択である。
5. 総合コンサルを選択する場合、その後のキャリアプランは明確か?
早慶等の有力校の就職先上位企業には、多くの総合コンサルがランクインしている。
例えば、慶應経済の23/4卒の場合、上位20社に、EY、PwC、アクセンチュア、ベイカレント、デロイトトーマツ・コンサルティングの5社が名を連ねている。この5社だけで慶應経済の全就職者957人中、89人と約9.3%を占める。
将来性、スキル、給与水準の点で、総合コンサルは非常に面白いと思うが、最大の問題点は仕事がハードで厳しい(年功序列・終身雇用じゃない)ことだ。
ここが、金融、商社、大手IT業界等とは全く異なる点であり、もし、入社しても合わなかった場合のキャリアプラン(バックアッププラン)までしっかり考えているのか、気になるところである。