1. そもそも就活メディアのテンプレート通りの志望動機が必要か?
就職活動における「志望動機」はESや面接における定番項目であり、重要性も非常に高い。しかし、現在の就職活動においては、就活メディアに掲載されている過去のES事例やその解説に沿った似たり寄ったりのものが溢れているようだ。
就活メディアのテンプレート通りのESを書いたり、面接で対応すると他の学生と似たり寄ったりし、差別化が難しくなってしまう。また、テンプレート通りの対応を企業が求めている訳ではない。
他方、テンプレートから離れた全く独自の志望動機を作成すると、他の大部分の学生のものとは異なったものとなるので、それは不安にもなる。
<銀行の志望動機、自己PR、ガクチカについて>
https://career21.jp/megabankes/
この点については、ある程度、採用企業側も認識しているようで、就活メディアのテンプレートに沿った志望動機や自己PRでもある程度許容されるようだ。だからといって、それを強く推奨する訳でもないし、テンプレート通りの作文ではなく、内容のあるESを見たいという意向もある。
そこで、ある程度は就活メディアのテンプレートを意識しつつ、内容的には自分自身の頭で考えた内容にしてエッジを効かせて差別化を狙うというのが現実的な対応であろうか。
2. 銀行(メガバンク)の専門職コースについて
メガバンクの場合、総合職のオープンコースと専門職コースとでは難易度に大きな差がある。専門職コースは採用枠数がオープンコースよりも大幅に少なく、かつ、外銀、国内系証券会社専門職、アセマネ志望者であるハイスぺ学生が併願するため、難易度が大幅に高まるのである。
もちろん、リテール営業関連の仕事を目指していたり、中小企業営業のスペシャリストになって将来、M&A仲介等の歩合系職業で大きく稼ぎたいという様な狙いがあるのであれば、総合職のオープンコースでも問題は無いだろう。
今回は、メガバンクの専門職コースの内、みずほ銀行のマーケット・運用関連のGMAMコースを想定して、以下志望動機を考えてみることとした。
3. みずほ銀行のGMAMコースの志望動機のサンプル
以下、みずほ銀行GMAMコースの志望動機について、考えてみた。字数は400字である。面接に備えて、別途、短めのバージョンと長めのバージョンを用意しておくとよいだろう。
<みずほ銀行GMAMコースの志望動機の例文 400字>
コロナという特殊な状況下ですが、グローバルESGファンドやグローバル・プロスぺクティブ・ファンドには1年間で1兆円を超える個人投資家の資金が流入しています。これは、金融機関の組織的な販売能力の高さと日本固有の状況に応じた商品開発能力の高さに起因するものと思料されます。
他方、課題もあると思います。上記の2ファンドは、実質的な運用は海外の運用会社が行っています。国内系運用会社のグローバルでの運用能力の向上が課題と言えるでしょう。また、投資商品は非常に多様化しています。株式や債券だけでなく、この1年間は金や原油、更にはビットコインでも大きな投資チャンスがありました。その点を踏まえた適切なアドバイスを販売部隊がどこまで可能なのかという販売面の課題もあるでしょう。
しかし、これらの課題が解決されると、約2000兆円の金融資産を対象とした資産運用ビジネスには非常に明るい未来があり、その現場で是非働いてみたいと思います。
GMAMコースはGM(グローバル・マーケッツ:市場部門)とAM(アセット・マネジメント:資産運用部門)の双方を包含しているので、ここでは主としてAM分野に焦点を当てて書いてみた。
ここでのポイントは、「業務」と「具体性」に拘った点である。実際の売れ筋の投資信託の具体的な名称を取り上げ、それに対する自分の考え方を述べてみた。そうすると、具体的な業務について十分な調査をしていることを示せ、モチベーションの高さを示すことが狙いである。また、他の就活生の中でも、具体的な注目投資信託名を知っている者は少ないだろうから、そこで差別化を図ることも考えてみた。
専門職コースについては、競争率も高く、当たり障りの無いテンプレートに沿った志望動機では勝ち抜くことは難しいと考え、なるべく自分自身の頭で考えてオリジナリティを発揮した方が戦略的に望ましいのではないだろうか。
4. 自己PRとガクチカについて
ESでも面接でも、志望動機と同様に、自己PRとガクチカも定番の項目だ。志望動機を用意する際には、併せて自己PRとガクチカも用意する必要がある。
志望動機というのは自分が「将来」やりたいことである。これに対して、自己PRというのは自分が「過去」にやってきたことである。「将来」やりたいことと「過去」にやってきたこととは一貫性が無いと説得力を欠く。
このため、両者の間の論理性・一貫性を考慮した内容に仕上げる必要があろう。ガクチカというのは、自己PRの一環であるが、ガクチカは「現在」やっていることという考え方も可能である。このため、ガクチカを考えるにあたっては自己PRにおける過去の行動や経緯の流れを踏まえて、現在(大学入学後から現在まで)の活動を考える必要がある。
最後に
メガバンクの中でも専門職コースは非常に人気が高い。そして、ここ数年では更に難易度が上昇していると思われる。その中で抜け出すには何か光るところが求められ、テンプレートから離れた独自性を発揮することが重要では無いだろうか?
また、中途採用の場合には、そもそもテンプレートが存在しないので全て自分で考えるしかない。その意味でも、他の就活生が知らないような情報を収集し、OB訪問等で業界の中の人の話を聞くことによって、独自性がある実務に即した視点からの志望動機を考えることはお勧めである。