メーカー勤務の文系サラリーマンが年収アップを実現するための転職プラン

1. メーカー勤務の文系サラリーマンの悩みは年収?

文系の有力校の学生に人気の業種は、商社、金融、コンサル、マスコミ、デベロッパーあたりでメーカーはあまり人気が無い。例えば、ONE CAREERの東大・京大生の人気企業ランキングを見てもその傾向がうかがえる。

メーカーでは、味の素、ソニー、富士フィルムも上位にランクインしているが、これは理系も含んでいるからであろう。

<ONE CAREER 東大・京大就職人気ランキング>
https://www.onecareer.jp/articles/2628

有力校の文系の学生からメーカーの人気が高くないのは、昔からの傾向であるが、その理由は単純で年収が金融や商社等と比べて見劣りするからである。

確かに、特にメーカーで働きたいというこだわりが特になければ、年収という客観的な基準で業界を選択するのも悪くないかも知れない。

ゼミやサークルの先輩の誘いや、周りが金融志望ばかりであえてメーカーを選ぶケースはあるだろう。ただ、入社後3年、5年と経つにつれ、金融・商社との年収格差は開くばかりだ。

そうなると、現在はメーカー勤務だが、途中で「やはり年収だ」という考え方に変わり、年収アップを目的としたキャリアに転換を希望したい人はいるだろう。

2. 年収アップについて考えておきたいこと

年収アップといっても、いろいろな方法があるが、希望する年収の程度やそれに要する時間によって打ち手は変わってくる。このため、①希望する年収の程度と②実現するための時間軸について先ずは考える必要がある。

①年収の程度

年収1億円以上欲しいと本気で考えれば起業して自らが経営者になるしかないだろう。また、年収3000~5000万円を希望するのであれば、外資系金融やMBBを目指すことになる。そのためには、メーカーから直接転職することはほぼ不可能なので、お金を貯めて私費でMBAの有力校に留学することを検討することが必要だ。

そこまでは希望しないが、せめて大学の同期が行ったような大手金融機関並みの年収が欲しい。これはある程度現実的な希望かも知れない。そうであれば、大手金融機関に転職するのが最も単純であるが、メーカーからの業界超え&業務経験無しでの転職は非常に難しい。ただ、経理や人事などのバックオフィスであれば、まだ可能性は無くはない。国内系金融の場合はフロントとバックの年収格差が非常に小さいので狙い目とも言える。

金融機関への転職を目論む場合には、リクルート等の大手の他、JACや、金融機関に強いコトラやアンテロープなどに登録して広く情報を収集することが望ましい。

<コトラ>
https://www.kotora.jp/

<アンテロープ>
https://www.antelope.co.jp/

また、大手金融機関並みの年収ということであれば、今であれば総合コンサルという選択肢もある。もっとも、大手メーカーや金融機関とは違って、総合コンサルは年功序列ではなく、終身雇用が保証されている世界ではない。入社後も厳しい競争を勝ち抜く覚悟が必要だ。その代わり、給与水準は良いし、優秀であればその後に転職による更なるアップサイドも期待できるので、ITにどっぷりつかるのが得意でハードワークに耐えられる自信があれば悪くない選択肢だろう。

<アビームコンサルティングについて>
https://career21.jp/abeamconsulting/

総合コンサルに転職を希望するのであれば、コンサルに強いエージェントに登録すれば、十分チャンスはあると思われる。上記のアンテロープは金融だけでなくコンサルにも強い。また、コンサルメインであれば、アクシスコンサルティングやムービンあたりが有名だ。

<アクシスコンサルティング>
アクシスコンサルティング

<ムービン>
https://www.movin.co.jp/

金融、コンサル以外の国内系企業で、広く中途採用を募集しているところとしては、リクルートがある。ここは人材系ビジネスとメディア系ビジネスとがあるので、自分のキャリアの方向性を考えた上で応募する必要がある。新卒採用時においては、何故かハイスぺの文系学生からはあまり人気がないようだが、給与水準は良く、将来のキャリアという観点からも魅力的な企業だと思われる。ただ、年収という観点については、30歳で1000万円位に到達することは可能であるが、そこから先は上がりにくいという傾向はあるようだ。もっとも、そこから先は起業・独立や転職によって実現することが求められているのかも知れない。

他に中途採用の可能性がある業界としては、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIといった通信キャリアがある。もっとも、給与水準については、大手金融機関には及ばない。他方、安定性は高いので、現在のメーカーの給与水準によっては、選択肢となり得る場合はあるかも知れない。

②年収アップの時間軸について

20代で業界超えの転職を行い、金融、コンサル、リクルート等で年収アップを図るという手もあるが、時間軸をもう少し長めに取れば、メーカーの中で年収アップを図る手もある。

それは、経理、人事、法務、営業という専門職としてのスキルを追求しつつ、経営職を目指すという方法だ。経理財務であればCFO、人事であればCHRO、法務知財であればCLOを目指すという方向性である。

海外では一般的なキャリアであるが、ゼネラリスト志向が強く終身雇用型の日本ではあまり見られないキャリアかも知れない。ただ、経理や人事のスペシャリストとして、転職によって年俸とタイトルを少しずつ上げて行き、最終的にはCXOを目指すというのは将来的には魅力的なキャリアプランではないだろうか。

そうすると、英語力があれば外資系企業をキャリアに挟むことも可能となり、メーカーでもDirectorクラスだと年収1500~1800万円位も可能となる。また、国内系企業でも、CXO(執行役員)クラスであれば転職時の年収は経営者の裁量で結構柔軟に決めてもらえることも可能だ。

要するに、最終的にはプロ経営者を目指すというキャリアプランである。もっとも、このCXOプランを狙う前提として、現在就職しているメーカーにおいて、経理、人事、法務といった部門で働けるということが必要である。現在別の部門であるが、将来希望をすれば異動できるのであれば良いが、そうでないと私費留学や、希望の職種を実現するための転職を考えなければならない。

なお、留意しなければならないのは、職種やタイトルに惹かれて安易にベンチャー企業(メガベンチャーではない狭義のベンチャー企業である)に転職しないことである。将来大企業や外資系企業でCXO的なポジションを目指すのであれば、ベンチャーでの肩書や実績は評価されないと考えた方が無難だ。また、ベンチャーは失敗することの方が多く、そうなると、レジュメが汚れるだけの転職となってしまうからである。

3.まとめ

メーカーの若手が年収アップを実現する方法については、年収1億超であれば起業、年収3000~5000万円を目指すのであれば私費MBA留学で外銀を目指すといった大技が必要となる。

現実的な路線では、給与水準が高い業界に転職することであり、大手金融、総合コンサル、リクルート等がターゲットとなる。ドコモ、KDDIといった通信キャリアも対象となり得るが年収の上昇の程度は金融・コンサルと比べると劣ってしまうので、それ以外のメリットも現職と比較の上でよく考える必要があろう。

時間軸を長い目で見られるのであれば、経理、人事、法務等のスペシャリストの途を目指し、社内での出世やメーカーへの転職によって、将来CXOを目指すという途もある。ただ、現職のメーカーでこういった職種に就けないとこのシナリオは描けない。

こういったキャリアチェンジは若ければ若いほど実現しやすい。25歳以下であれば第二新卒カードが使えて業界超えの転職も可能な場合もあるが、30歳になると未経験での業界超え転職はほぼ無理になってしまう。このため、キャリアチェンジをすると決めれば、早期に複数のエージェントに相談したり、行きたい業界の先輩や友人に相談するなど、行動を起こしたい。

なお、メーカーでのキャリアプランや、年収アップのための転職に関して興味がある方は、有料記事となりますが、こちらもご参照ください。

https://note.com/takatsu2019/n/nbb1ae19226c7

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