メーカーの社員が大手金融マン(銀行/証券/保険)に貯金額(金融資産)で勝つ方法

1. メーカーと大手金融、年収では大手金融の圧勝だが…

文系の場合、有力校の学生は一般的に、メーカーよりも大手金融(或いは商社、コンサル)を好む傾向にある。

その理由はシンプルで、大手金融の方がメーカーよりも遥かに給与水準が高いからだ。
例えば、メガバンクや大手生損保、大手証券の場合は30歳で1千万に到達するが、メーカーの場合は大手でも早くて30代後半~40歳にならないと大台には到達しない。

40歳以降の最高到達点や、退職金等においても、基本的に大手金融の方がメーカーよりも好条件のことが多いので、年収という点においては大手金融が有利である。

2. しかし、貯金額(金融資産)においてはこの限りではない…

しかし、貯金額(金融資産)においては、必ずしも、大手金融機関の社員の方がメーカーの社員よりも多いとは限らない。当然であるが、給与がいくら高くても、全部使ってしまうと貯金はゼロだし、反対に、給与が少なくても、FIRE達成者のような節約生活をすれば毎月10万、20万の貯金も可能である。

また、貯金額(金融資産額)は節約の度合いだけでも決まらない。
というのは、節約したお金をキャッシュだけで貯め込んでおくのと、毎月積立投資を行うのとでは、今の様な低金利の時代でも、数十年というスパンでは全く違って来る可能性があるからだ。

月10万円で生活するという、FIRE達成者のような極端なケースは再現性に欠けるので、ここでは、大手メーカーの管理職と、大手証券会社の管理職の、2人の40代後半の人達のケースを紹介したい。

①大手メーカー管理職、40代後半のケース

ある大手メーカーの管理職のAさん(40代後半)の年収は1200万円。
メーカーでは悪くない部類だ。彼の貯金(金融資産)額は約4千万である。終身雇用で定年まで安定した収入が期待でき、退職金も考慮すると、非常のゆとりがある。

彼の貯蓄の成功要因は極めてシンプルで、節約と積立投資だ。
まず節約についてであるが、メーカーの場合、地方の工場勤務や営業所で働く期間が長い。
その場合、家賃負担(社宅や家賃補助等)が低くなり、また、外食や贅沢消費を低減できるので、ケチケチしなくても、毎月ある程度の貯金を作ることが可能だ。

彼の場合、25歳頃から32歳位までは、毎月5万円を積立投資に充当し、32歳で年収が増えてからは毎月10万円を積立投資に充当できた。そして、年2回のボーナス時には、毎回10万円以上、貯蓄に回すことを目標とし、ほぼ毎回達成できた。

なお、彼は個別株投資とか仮想通貨はやらないので、たまたまラッキーなキャピタルゲインに恵まれたわけではない。(もっとも、彼の積立の投資対象は米国株インデックスだったので、その点ではラッキーな点はあったと言えるが)

節約においても、積立投資においても特段のスキルがあるわけではないが、勝因は20年以上続けることができたことであろう。(例えば、毎月5万円の積立投資を5%で回せた場合、20年後に運用資産は2千万円を超える)。

②大手証券会社の管理職、40代後半のケース

ある大手証券会社の管理職(40代後半)、Bさんの年収は約1700万円。
彼の貯金額は600万円程度しかない。そして、その600万円は100%銀行預金だ。

彼の場合、バツイチという事情もあるが、敗因は先ほどのメーカーのAさんと真逆で、節約も積立投資も全然ダメなことである。

節約については、飲み代とか贅沢消費を好むという証券マン的なところはある程度仕方が無いかも知れないが、高給にも関わらず、赤字の月もあるようで全く管理がなされていない。

それと、更に問題なのが運用術、積立投資を全く行っていない点である。
当然、運用に関する知識は持ち合わせているのだが、証券マンの場合、自己投資の規制が厳しいので個別株投資はやらない人も少なくない。もっとも、普通の公募投資信託については特に不自由なく投資が可能なので、面倒くさがってやらないというのは問題である。

実はこういったBさんの様なケース、大手証券マンには珍しくはない。周りの大手証券会社の同期とかも似たようなタイプの人はいるのではないだろうか?

3. ポイントは、ちょっとした工夫と継続

上記のメーカー管理職のケースの、「40代、4千万」という数字には特段の意味はない。
ただ、毎月ちょっとした工夫をして、積立投資を継続すれば20年後には結構な金額になる。

金融リテラシーの醸成という点においては、たとえ少額であっても、早くから始めた方がいい。例えば、20代前半は毎月1万円、20代後半は毎月3万円というペースでも構わない。日本の大企業は安定しているので、長期投資をするには非常に恵まれた環境である。

さらに、今後は副業が徐々に大企業サラリーマンにも浸透していく可能性がある。
副業も月数万円であればそれほど難しくは無いだろう。そうして、副業収入からも積立投資に振り向けることができるようになれば、更に大きな金額の金融資産形成も可能となろう。

少子高齢化、日本企業の国際競争力低下の外部環境においては、給与収入の増大は見込みにくい。そうであれば、金融リテラシーを磨いて自力で資産形成していく他なく、上手く実行すると金融資産面において逆転をすることは十分可能だろう。

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