神戸大学経済学部の進路と就職について

1. 神戸大学経済学部の基本情報

①旧三商大の流れを汲む名門大学

神戸大学経済学部は旧三商大の流れを汲み、一橋大学経済学部がライバルである経済系の名門学部である。難易度は、パスナビによると、偏差値が62.5~65.0と大阪大学経済学部(65.0)とそれほど難易度は変わらない。

立地・環境が良いことから、関西における評価・人気度は非常に高い。

定員は270名であり、2020年度(2021/3卒)の卒業生は298人、進学者が12人、就職者が243人、その他43人となっている。
http://www.career.kobe-u.ac.jp/images/various_data/2020_shushoku_data.pdf

②関西と首都圏における評価のギャップが大きい?

神戸大学経済学部の評価は、関西と首都圏では大きく異なる。
首都圏では、神戸大学というと、横浜国大、筑波大学、千葉大学と同列に扱われ、早慶と同列の評価はしてもらえない。

他方、関西では、「京阪神」という括りが明確にあり、一般的に国立大学の評価が高い。
京阪神は関関同立よりも高く評価され、神戸大学経済学部の場合、早慶と同等の評価をされることが多い。

2. 神戸大学経済学部の具体的な就職先について

神戸大学の就職先に関する情報開示は大変良く、京都大学と同様、1名でも卒業生が就職している企業については、学部別に全開示をしてくれている。

神戸大学経済学部の就職先企業については、結構分散化されており、2名以上のところを以下、抜粋してみた。

それに加え、恣意的になってしまうが、いわゆる人気企業は就職者1名のところも多く、これらについても抜粋してみた。

13名 三井住友銀行
6名 日本生命、関西電力
5名 三菱UFJ銀行
4名 東京海上日動火災、神戸市役所
3名 みずほFG、損保ジャパン、大和証券
2名 タイズ、JR西日本、伊藤忠商事、旭化成、SMBC日興証券、オリックス、みずほ銀行、みずほ証券、滋賀銀行、肥後銀行、明治安田生命、近畿経済産業局、厚生労働省近畿厚生局、NTTドコモ、ENEOS、四国電力、ダイキン工業、三菱電機
1名(抜粋) JFE商事、丸紅、住友商事、双日、AGC、P&G、富士フィルム、アクセンチュア、日本総合研究所、JCB、楽天証券、三井住友海上火災、三井住友信託銀行、住友生命、信金中金、第一生命、野村證券、大和ハウス工業、経済産業省、freee、Speee、サイバーエージェント、ジーニー、ソフトバンク、マネーフォワード、リーディングマーク、リクルート、電通、コカ・コーラ、サントリー、日清食品、東レ、大阪ガス、東京電力、三井不動産

 

(出所:神戸大学HP、「主な就職先一覧について」より外資系金融キャリア研究所編集。2020年度卒業生対象)

3. 神戸大学経済学部の就職先に関する評価

①大手金融機関、商社、メーカー、ベンチャーまで幅広く就職

上記の通り、神戸大学経済学部の就職状況は概ね良好であり、希望すれば、ほぼ大手企業への就職は可能と思われる。

特徴としては、上位は三井住友銀行、日本生命、三菱UFJ銀行、東京海上日動火災、みずほFG、損保ジャパン、大和証券、SMBC日興証券と、最大手の金融機関がズラリと並ぶ。滋賀銀行、肥後銀行と地銀も見られるが、地方旧帝大と比べてその割合は低い。

また、ダイキン工業、三菱電機、大日本印刷、AGC、富士フィルム、大和ハウス工業、日清食品、サントリー、東レ等、大手メーカーにも広く就職している。

それから、意外な点としては、ベンチャー企業にそれなりに就職している点である。LITALICO、freee、Speee、ジーニー、マネーフォワード、リーディングマークとネット系ベンチャー企業への就職実績があり、立地が関西である点と、就職者数が243人しかいない点を考えると、結構ベンチャーへの関心度が高いことがうかがわれる。

②意外に少ない総合系コンサルティング・ファーム

早慶等の東京の有力校の場合、総合系コンサルへの就職者が非常に多い。
他方、神戸大学経済学部の場合は意外と少なく、アクセンチュア1名のみで、ベイカレント、アビーム、Big4系コンサルは2020年度についてはゼロである。

③気になる総合商社はどうか?

就活生の間で最も人気がある業種は総合商社であろう。総合商社の入社難易度は非常に高いので、ここの就職実績を見ると、ある程度その大学・学部の就職力の参考とすることができる。

2020年度(2021/3卒)の神戸大学経済学部の総合商社の就職実績は、
伊藤忠2名、丸紅1名、住友商事1名、双日1名の合計5名である。就職者数が243名と非常に少ないので、比率で見ると約2%であるが、思ったよりは多くない印象である。
また、三菱商事、三井物産への就職者数はそれぞれゼロ名なのが少々寂しい気がする。

なお、2020年度(2021/3卒)の神戸大学経営学部の総合商社の就職実績は、
丸紅2名、双日1名の合計3名である。

商社への就職者については、年次による差もある程度大きいと思われるので、来年以降も注視したい。

④その他注目企業への就職実績

P&G、電通、コカ・コーラボトラーズジャパン、サイバーエージェント、三井不動産に各1名ずつ就職している。

地方旧帝大と比較すると、地元の電力・ガス・鉄道、地銀、公務員への就職割合は低く、ローカル色は薄いと思われる。

感想

①外銀、戦コン、商社の実績を高めるには京大経済学部が参考になるか?

神戸大学経済学部の就職状況は良好であるが、外銀、戦コンについてはほとんど実績が無く、総合商社への就職者についても課題は残る。

東大、一橋、早慶の様な東京にある大学と比べると、立地的に不利ではあるが、京大経済学部は外銀、戦コン、総合商社で非常に素晴らしい実績がある。

コロナによってリモート就活の比率が高まったので、このような超難関企業も積極的に挑戦すると、内定を取れるチャンスはあるのではないだろうか。

②東京で就職をする前提であれば、首都圏在住者が神戸大学経済学部に進学するのも悪くない?

東京の一極集中が顕著であり、一般的には、首都圏在住者はわざわざ関西の大学に進学したいと考えるものは多くないだろう。

しかし、横浜国大や筑波大学が志望校であれば、神戸大学経済学部への進学を考えても悪くないかも知れない。就職については、横国や筑波よりも神戸大学経済学部の方が良好だと思われるし、地元における評価が神戸大学の場合は高いからである。

関西には国立優位のカルチャーがあり、早慶に該当する私大は無い。
また、神戸大学の瀬戸内海を見渡せるキャンパスは美しく、環境は良い。従って、4年間の大学生活は神戸で過ごすという選択肢も悪くないだろう。

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