1. 大手金融機関でも将来に不安?
メガバンク、大手生損保、大手証券等の大手金融機関と言うと、安定・高給のイメージが強い。確かに、現時点では基本的に終身雇用(銀行の場合は出向があるが…)で、退職金・企業年金も充実しており、下手に転職は考えない方が良いという見方もある。
しかし、20年後、30年後も安泰かどうかについては何とも言えない。
その不安の原因としては、少子高齢化とIT化の進展が挙げられる。
日本の大手金融機関は基本的に国際競争力が無いので、国内で稼ぐしかない。ところが、少子高齢化が進展すると、国内の顧客基盤はどんどん先細りしていくことになる。
また、IT化の進展も特にリテール部門の社員にとっては切実な問題だ。
既に店舗やATMが余剰化し、その削減計画が進捗している。オンライン取引化が進むと、10年後、20年後は現在の1~2割の店舗数でも対応可能になるかも知れない。そうなると、店舗で働いていた社員は余剰化することになり、日本企業なのでクビにはならないかも知れないが、昇格やボーナスで厳しい扱いをされると、現在想定しているよりも低い賃金しかもらえなくなってしまう。
さらに、大手金融機関のリテール部門では、外資金融、他の国内金融機関、事業会社に転職することは非常に難しいし、副業や独立をしようと思っても、そのための有用なスキルは付きにくい。
2. コンサルは大手金融機関の若手の有力な転職先の1つ
①何故コンサルか?
以上の様な問題意識の下、大手金融機関の若手がコンサルへの転職を考えても不思議では無いだろう。
何故コンサルかというと、最大の理由はスキルだろう。
コンサルというと終身雇用とは真逆の世界で、同業他社や事業会社への転職、或いは、起業・独立と、汎用的なスキルを持ち、将来「プロ経営者」を目指せるという夢がある。
また、スキル以外の理由として、給与水準の高さが指摘できるだろう。
大手金融機関は一般に高給で知られ、30歳時点で年収1000万の大台に到達するペースである。このため、大手金融機関から事業会社に転職すると大幅な年収ダウンになってしまうため、スキル習得の点で魅力があったとしても、なかなか転職を考えにくい。
この点、コンサルの場合は、一般的に給与水準が高い。
アクセンチュアに代表される総合コンサルの場合、初任給が約600万円と高く、20代後半では700-800万、マネージャーだと1000万円以上になるので大手金融機関と比べて遜色がない。これは、大手金融機関からの転職において魅力的である。
②大手金融機関の若手であれば、十分、コンサルへの転職は可能性がある
コンサルと言ってもいろいろある。
最高峰はマッキンゼーやBCGに代表される戦コンである。MBBも幅広く中途採用を行っているが、難易度は非常に高く、MBA無しでの大手金融機関からの転職は非常に難しい。
他方、アクセンチュア、アビーム、ベイカレント等の、いわゆる総合コンサルについては、大手金融機関からの転職も可能であり、実際、大手金融機関から総合コンサルに転職する若手は少なくない。
その背景としては、DX要員に対する需要が、どの業界においても非常に強く、総合コンサル各社は今でも優秀な人材を求めていることが挙げられる。
大手金融機関の社員は、一般に真面目で学歴が高く、ハードワークにも耐えられるイメージがあるため、総合コンサルの需要とマッチするようだ。
3. 大手金融機関からコンサル転職を考える際に留意したいこと
①若ければ若いほど転職しやすい
中途採用の場合、経験者採用が基本であるが、いわゆる第二新卒の場合は未経験でもOKである。大手金融機関から総合コンサルに転職を狙うのであれば、25歳以下の第二新卒が最も有利であろう。
ただ、総合コンサルはDXブームの追い風の環境下、積極的な採用を実施しているため、大手金融機関の場合は20代であればまだ可能性があるようだ。もちろん、30歳になっても転職に成功しているケースもあるが、遅くても20代での転職を考えた方がいいだろう。
②コンサル業界は終身雇用でも無いし、年功序列の横並びではない…
大手金融機関からコンサルへの転職に際して、最も留意すべき点は、終身雇用ではないという点であろう。もちろん、年功序列の横並びで昇給・昇格ということも有り得ない。
このため、総合コンサルに転職できたとしても、入社してからが勝負ということである。
仕事ができないと判断されると、プロジェクトに呼ばれなくなり、その社内失業の状況が続くと、クビの可能性もある。そうなってしまうと、同業他社への転職は難しく、幹部待遇で迎えてくれる事業会社の転職案件など回ってこない。
他方、成果を挙げれば、大手金融機関以上の年収を得ることも可能だし、同業他社への転職で更なる年収アップの可能性もある。
従って、コンサル業界に転職しようと思えば、何としても成功するという覚悟が必要である。
とは言え、上手く行くかどうかは入ってみないとわからないし、マクロ経済環境や、上司・同僚に恵まれるかといった運の要素もある。従って、いずれにしても、コンサルへの転職が上手く行かなかった場合も想定して、その後の転職プランもいくつか想定しておく必要がある。
4. コンサル特化型エージェントへの登録と確認しておきたいこと
①大手エージェントには複数登録しておくこと
大手金融機関の社員が転職を考えるにあたって、まず最低限、リクルート等の大手エージェントには複数登録しておく必要がある。リクルート、パーソル、エン・ジャパン、JAC等の大手エージェントは非常に幅広く、多くの案件を持っている。このため、自分の市場価値を適切に把握し、具体的にどういった案件があり、転職可能性はどれくらいあるのかということを把握できるからだ。
転職は就活と違って、どこにどういう求人があるのかは誰も教えてくれない。
自らエージェントを見付けて、案件を積極的に自ら取りに行く。これが基本であるので、転職を考えるにあたっては、これが前提となる。
②コンサルの場合、特化型エージェントにも相談したい理由
業種を問わず、幅広く網をかけるにはリクルートのような大手エージェントが便利である。
他方、外資金融、金融専門職、コンサルといった特定の業種を狙う場合には、特化型エージェントを活用すべきである。
何故なら、特化型エージェントは、その特化した業界については、より詳細な情報や詳細な案件事例を持っているからである。また、レジュメの書き方や、面接で想定される質問等についてアドバイスももらえるからである。(もっとも、この点については担当エージェントの個人差が大きいので、当たりはずれがあるが…)
従って、総合コンサルへの転職に際しては、コンサルに強い特化型エージェントにも相談したいところである。
③コンサル特化型エージェントに相談しておくべき項目
上記の通り、コンサル業界は終身雇用ではない厳しい世界なので、そのリスクやリターンを吟味しておく必要がある。また、転職した後のキャリアの選択肢についても十分聞いておくべきだ。総合コンサルの場合、社内で出世を目指すか、同業他社への転職をするというのが王道のキャリアパスである。もちろん、マネージャー以上に昇格すると、幹部待遇での事業会社への転職という途も拓ける可能性がある。
しかし、コンサルが合わなかった場合は、事業会社に転職することになるので、その場合は、どういった業界の、どういったポジション・年収で転職が可能かということを予め詰めておく必要がある。そうでないと、入社してから失敗したと気づいて、慌てて転職すると、その転職も失敗するリスクが高いからだ。
コンサル業界に転職する以上、自分の将来のキャリアプランについても十分に戦略的に練っておくべきだ。
④コンサル特化型のエージェントについて
コンサル特化型のエージェントは複数存在するが、その中では、最大手のアクシスコンサルティングがお勧めだ。何故なら、コンサル特化型だと量的にはトップクラスの採用実績があるからだ。採用実績が多いため、採用側企業とのパイプが太く、早い段階での求人案件や未公開案件まで保有できるからだ。
また、アクシスコンサルティングの特徴は、ポストコンサルの案件にも詳しいことだ。外資系IT、国内系大手事業会社、メガベンチャーまで幅広くカバーしており、CXO案件や独占的案件も数多く有している点が強みである。
とりあえず、コンサル業界への転職を検討するにあたっては、こちらに登録をしておきたい。
なお、エージェントには相性もあるし、1社でカバーできる範囲には限りがあるので、なるべく多くのエージェントに登録して、そこから取捨選択するというのがベストだろう。その意味で、他にコンサルに強い特化型エージェントとしては、こちらの過去記事で紹介しているので、興味がある方は、これらのエージェントへの登録もお勧めしたい。
<戦略コンサルへの転職を考える際にお勧めのエージェントについて>
https://career21.jp/agent-for-consulting-firm/