北海道大学法学部の就職と課題について

1. 北海道大学法学部の基本情報

北海道大学法学部は1953年に設置された、いわゆる旧帝国大学の法学部であり、難関大学法学部の1つとされている。

現在の定員は200人であり、法学過程の1学科体制である。
その中では、法専門職コースと総合法政コースの2つのコースがあり、
法専門職コースは基本的な法律について重点的に学習し、法律知識を前提とした専門的な職業に就くことを目指したスペシャリストを養成する。
総合法政コースは、法的素養と政策判断能力を中心としたゼネラリストを養成することを主眼としている。

2019年入学生に関して、男女比率は約2:1と男子学生の比率が高くなっている。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/0010/department.html?department=015

2. 北海道大学法学部の就職状況

北海道大学法学部の就職先に関する公式HPの開示はあまりよくない。
学部別の主要な就職先が10社ほど紹介されているだけで、各社の就職者数の記載も無い。

概要としては、卒業者211人のうち、33人が大学院に進学する。そして、就職者数は145人である。そのうち、50人が公務員となっている。

民間企業への就職者数は100人を切る少人数であり、北海道大学法学部の学生の稀少性は極めて高いと言えるだろう。

具体的な就職先については、大学のHPでこのように紹介されているのみである(2019/3卒業生対象)

札幌市役所
北海道庁
NTTドコモ
裁判所
栃木県庁
第一生命保険
JTB
伊藤忠商事
三井物産
三菱UFJ銀行

これはアイウエオ順でないので、人数順ではないかと推測される。

北海道大学法学部の場合、就職者の約1/3が公務員となるので、札幌市役所と北海道庁が多いのは理解できる。

少々意外なのは、民間企業については、あまりローカル色が強くない点である。
ニトリ、北海道電力、北洋銀行あたりが何故かこのリストには入っていない。
反対に、伊藤忠と三井物産が入っている。

ちなみに、北海道大学全体での5大商社の就職状況は以下の通りである。

三菱商事 2
三井物産 5
住友商事 3
伊藤忠 1
丸紅 1

(合計)

12

(出所:AERA2019.8.5号 「主要50大学の人気企業への就職者数」より外資系金融キャリア研究所作成)

金融機関については、第一生命と三菱UFJ銀行がランクインしていることから、大手金融機関にはある程度就職しているものと思料される。

いわゆるIT系についてはNTTドコモが入っている。

もっとも、上位10社までの開示なので、詳細は不明である。

3. 北海道大学法学部の就職における課題

①法曹志望者の支援をどう考えるか?

北海道大学法学部からの大学院進学者数は33人である。
定員に対する比率は15%であり、文系学部においてはかなり高い進学率である。
これは、法科大学院への進学者が大半ではないかと推測される。

最近では、予備試験経由で法曹を目指す者も一定数いるようなので、予備試験組を含めると、定員の2割位は司法試験を目指すのではないだろうか。

この数字は、早慶や他の有力国立大学の法学部並みの数字であるので、悪くない数字と言えよう。

司法制度改革に伴う弁護士数の増大によって、弁護士や法科大学院の人気は低下傾向にあるということだが、まだまだ世間における弁護士のステイタスは高いと思われる。

このため、北海道大学法学部としても、法曹志望者をサポートすれば魅力は高まるのではないだろうか。

なお、北海道大学法学部は、司法試験において、合格者数及び合格率において10~20位ぐらいのポジションにある。
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/5636

②民間企業への就職における課題

北海道大学法学部の場合、民間企業への就職者数が100名を切る水準なので、母集団が小さ過ぎ、就職者数でプレゼンスを表すことは難しい。

他方、2018年度のデータを見ると、上位10社に、伊藤忠や三井物産が入っており、難関企業への実績も示している。

外銀、外コン、総合商社、大手マスコミ、財閥系デベロッパーという、いわゆる最難関企業への就職実績を形成することは、生徒数が少ないので難しいかも知れないが、学歴的に門前払いをされることは無いはずだ。地理的な不利益はあるものの、挑戦する学生がいれば、在京のOB等の協力が望まれるところだ。

③公務員の強化

北海道大学法学部の特色は、公務員となる者が極めて多いことである。
就職者の1/3という比率は、国立・私立を問わず、法学部の中では全国でもトップクラスであろう。

従って、公務員に強い法学部というアピールの仕方もあるかも知れない。
特に、近年では東大からの国家公務員総合職の人気が低下しているようなので、逆バリ的に国家公務員総合職のサポートをしても面白いかも知れない。

④北海道大学法学部の学生の就活における対応法

北海道大学法学部の学生自体が、外銀、外コン、総合商社といった人気企業に興味が無ければ、それは問題無いだろう。しかし、情報が不十分なために、そういった企業の魅力がよくわからない、或いは、応募しても落とされてしまうのであれば相応の対策が必要だ。

そのためには、東大や早慶の学生と競争する必要がある。
その場合、情報で後れを取らない様に、ネットやSNSでの情報収集が望まれる。ONE CAREERや外資就活の登録割合は高まっているようだが、深いところまで読み込みたい。

また、トップ就活生から刺激を受けるという意味でも、是非、東京のイベントに出席し、東大や慶應の学生と交流を図りたい。最近では、コロナウイルスの影響もあり、オンラインでのイベントも増えて来ているので、是非こういった機会は利用したい。

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