年収4千万の40代外資系金融マンのキャリア、貯金、不動産等に関する悩みについて

序. 年収は高くても悩みはいろいろある、40代外資金融マン

人にはそれぞれ悩みがある。
40代の外資系金融(投資銀行じゃなくて外資系アセマネ(運用会社))勤務で、年収が4千万以上でも同じ。

ここでは、イメージし易い様に、ありがちなモデルを具体的に想定して検討しよう。

【外資系金融M君】
・44歳、男性
・外資系アセマネのDirector
・年収4500万円(ベースサラリー2200万、ボーナス2300万(RSU含む))
・新卒で国内証券会社入社。機関投資家営業に従事し、31歳で外資アセマネに営業職として転職し、現在外資系3社目
・バツイチ、子無し

1. 将来のキャリアに関する悩み

①何歳まで働くか、そのための資金は十分か?

外資系金融は国内系金融と異なり、終身雇用が保証されておらず、60歳定年がデフォルトの世界ではない。

外資系金融といっても、M君の働く外資系運用会社(アセマネ:アセットマネジメント)の場合は、外資系投資銀行よりも、一般的に長く働くことは可能だ。50代後半でも現役の人はいるし、60歳まで勤め上げる人もいる。

しかし、企業業績と個人の実績が特に重視される営業職の場合、windows2000といった甘い世界ではなく、のんびりと過ごすことは許されない。

このため、年を取ると体力的にも落ちるので、60歳ではなく、何歳まで働くかを自分自身できめることになる。もちろん、早めのアーリーリタイアを目論もうとすると、それなりの生活資金(或いは収益を産む資産)を準備する必要がある。

M君の場合、仮に今の年収を維持できるとすると、60歳までフルに働くのと、55歳でアーリーリタイアするのであれば、4500万×5年=2億2500万も生涯賃金が減ることになる。手取りはその半分くらいだが、それだけ余分に貯める(或いは稼ぐ)ことは大変だ。

したがって、多くの場合、M君の様に外資系金融で年収4000万円以上あっても、なるべく60歳までフルに働くことを目標とせざるを得ず、最後まで頑張る必要がある。

②転職等のキャリアプランについて

外資系金融の場合、終身雇用ではないので、転職等を中心にキャリアプランを考える必要がある。もちろん、今の会社の居心地が良ければ、ずっと働き続ければいいのだが、内部昇格で今よりも上のポジション(MD、営業本部長クラス)に就くことは必ずしも容易ではない。外資系の場合、シニアポジションが空けば、内部昇格ではなく、外部から採用することが多いからだ。

このため、M君は普段から懇意にしているヘッドハンターから定期的に情報収集をしていて、良いチャンスがあれば逃さないようにしている。

また、M君のような営業のシニアセールス(Director、部長クラス)であれば、将来、小ぶりな、又は日本に新規参入を図る外資系運用会社の拠点長も選択肢となる。大変な仕事であるが、拠点を新設する場合、数年間の猶予期間があるので、その間は7000万以上の高収入が期待できたりするので魅力はある。

M君くらいのクラスになると、エージェントも普通の登録型や外資系の大手だけではなく、Executive Search Firmとも付き合いがある。具体的には、ラッセル・レイノルズ、ハイドリック&ストラグルズ、コーン・フェリー、エゴンゼンダーといったところだ。こういうところは、最低でも部長以上のポジションしか取り扱わず、採用側企業からほぼ独占的にサーチ業務を任されるので、お声が掛かると、いわゆる最終面接まで進める場合が多い。

なお、M君が、「そこそこ稼いだし、生活水準が多少下がってもいいから、50歳を過ぎたら国内系金融でゆったり過ごしたい」と思っても、それを実現することは難しい。何故なら、国内系アセマネ(アセットマネジメント:運用会社)は、大手銀行、証券、保険の子会社である場合がほとんどで、役員や部長クラスは大量に親会社から降りてくる。加えて、国内系アセマネは合併しているところが多いので、部長以上のシニアポジションはダブついていることが多い。従って、わざわざ外部から部長クラスを採ろうという発想にはなりにくい。

以上の様に、外資系金融機関の場合、国内系金融の倍以上の年収を実現することも可能だが、常にキャリアプランを意識して、なるべく長く働けるよう、最後まで頑張らなければならない。これが面倒だと思う人は、外資系よりも国内系の方が向いているだろう。

2. 資産(B/S)に関する悩み

①貯金、金融資産の問題

40代で年収4500万もあれば、余裕だろうと思われるかも知れないが、実はそうでもない。今回のモデルのM君の場合、貯金(金融資産)は1億円も無い。現状7千万程度で、1億目指して頑張っているところである。

その理由としては、外資系アセマネは外資系投資銀行と比べると、平均年齢は高く、スタートも30歳を過ぎてというケースは珍しくない。(その分、長くまで働けるというメリットもあるが)

従って、40代半ばの場合、高収入の期間はまだ十数年程度だ。
そして、M君の場合、30代半ばで離婚しているので、財産分与で数千万円を失っている。子供がいなかったので養育費の問題は無く、その点はまだ影響は少なかったとも言える。

そして、累進税率のために、手取りは6割を切る水準になる。また、外資系企業のボーナス(特に高額な場合)は、RSUという株式ボーナスが含まれており、現金収入はその分少なくなってしまう。M君のケースだと、ボーナス2300万のうち、約3割の700万がRSUなので、現金部分に限ると1600万くらいとなる。

FP的には、額面年収の2割の貯金が望ましいとされているが、M君の場合、年に900万はかなりハードルが高い。外資系金融の場合、それほど地味な暮らしをする訳にも行かないので、支出も多く、現実的には年間500~700万円がいいところだったりする。このため、M君が2億円位の貯金(金融資産)を貯めようとすると、少なくともあと10年は頑張って働き続けなければならない。退職金については、企業によってことなるが外資系金融でもある場合は多い。その場合の目安は、1年間で基本給の1割程度であろう。M君の例だと、1年あたり約200万。5年働いて1千万というイメージである。

なお、外資系金融に勤めているから、運用で増やせるということは無い。むしろ、金融業界は自己投資に関する規制は厳しく、売買の都度、会社の承認を取って、売りと買いの間を6か月空けるというルールになっている。また、運用会社にいると、そんなに簡単に儲けることは出来ないということは十分認識しているので、金融資産の大半は現金(個人向け国債)で、あと少々の自社株(RSU)と確定拠出年金があるというケースは珍しくない。従って、普通の人以上に資産を増やせるということはない。

②不動産をどうするか?

外資系金融の場合、不動産をどうするかというのも悩ましい問題である。
国内系金融と異なり、終身雇用が保証されていないので、無理目な住宅ローンを組んでも返済をし続けることができるか不透明だからだ。このため、年収は非常に高くても、外資系投資銀行の場合は、持ち家ではなく、港区内の高級賃貸を選択する人も多い。

他方、M君の様な外資系アセマネの場合は、外資系投資銀行ほど給料は高くない反面、それなりの安定性もあるので、持ち家の人も結構多い。ただ、港区や渋谷区のタワマンではなく、もう少し控え目な、世田谷・目黒・杉並、横浜・川崎あたりに持ち家をもっていたりもする。

M君の場合、バツイチ子無しということもあり、今は港区の高級賃貸に住んでいる。ただ、もう40代半ばなので今から高額ローンは組めないので、リタリア後はどうするか少々頭の痛い問題となっている。

また、年収3千万を超えると、自宅以外の不動産、要するに別荘とか投資用不動産の保有を考えたりすることがある。この点、M君は持ち家では無いので、別荘とかは今は考えていない。ただ、同僚で投資用物件を保有している人達もいるので、こちらには関心があるが、まだ具体的に検討をしている段階ではない。外資系運用会社といっても、不動産ファンド関連でなければ、不動産投資に詳しいというわけではない。このあたりは、好き好きが分かれるところだ。

東京の不動産は非常に高額だ。先日、東京の都心の中古マンションの平均価格が1億を超えたというニュースがあったが、東京の不動産は非常に高額なので、かなり年収が高くても不動産については希望する物件が買えないと悩む外資系金融マンは少なくないのである。

3. 家庭、モテ、人脈、副業、趣味・教養について

このあたりについて、外資系金融マンもいろいろと悩みは無い。
長くなってしまったので、このあたりは後日、記事にしていきたい。

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