独立のために目指すのはFIREではなく、ファイナンシャル・インディペンデンス(FI)

1. サラリーマンが独立に向けて踏み切るタイミングは何時か?

サラリーマンにとって、「独立」は憧れである。
自由に自分のやりたいことを自分のペースで出来、収入も理論上は青天井で頑張った分だけ収入は増える。

しかし、サラリーマンの最大のメリットである、定期の固定収入は失われる。
税制が優遇された退職金や企業年金の恩恵も受けられなくなってしまう。

もともと、堅実でリスクを好むサラリーマンが固定収入を失うのは怖いので、かなりの貯金ができるか、或いは、それなりの固定収入が見込めるようにならないと、なかなか独立に踏み切る勇気は出ない。

ただ、そうやって独立を先送りすると、独立するのに適したタイミングを失ってしまうという問題が生じる。

このため、サラリーマンがどのタイミングで独立に踏み切るべきかは難しい問題である。

2. サラリーマンの独立にFIREの必要は無い

サラリーマンが独立するためにはFIREは必要ない。
FIREというのは基本的に働くことを止めてしまって、金融収益だけで生活することを想定しているものなので、これから独立してバリバリ働いてサラリーマン以上の年収を実現しようということなので、FIREに必要な多額の金融資産を貯め込む必要は無い。

とは言え、サラリーマン時代の様な固定収入が無くても、それなりに生活ができる程度の収入は欲しい。そうでないと、生活費の不安もあるようなカツカツの状態で独立しても、目先の収入に囚われ、本来独立でやりたい仕事が出来なくなってしまうからだ。

そこで、私としては余裕を持って独立するには、ファイナンシャル・インディペンデンス(FI)が達成できることを目標としたいと考えている。

ファイナンシャル・インディペンデンスは、特に決まった定義があるわけではないが、働かなくても生活費を何とか賄える程度の安定的な収入源がある状態と考えている。具体的には、金融収益と副業収入の合計金額が、サラリーマン時代の安定収入のうち、一定部分をカバーできる程度の収入を想定している。

3. ファイナンシャル・インディペンデンス(FI)に必要な金額は?

それでは、ファイナンシャル・インディペンデンスを実現するには、どのくらいの安定的な収入源があればいいのだろうか?

もちろん、これはその人の求める生活水準や、年齢、家族構成によって異なるだろう。
私は、この点について、以下の3コース(松竹梅)を考えている。

(松コース)
まずは最上級の、松コースである。
これは、サラリーマンとしての現状の年収からボーナス分を引いた金額を控除した水準の金額の安定収入が見込める水準を言う。

例えば、外資系金融やITの高給サラリーマンは、年収3000~4000万の場合、基本給2000万と年1回のボーナスが1000~2000万というケースが多いだろう。その場合、基本給に該当する2000万円分、月あたり約160~170万円の収入が見込める状況を言う。

また、5大商社や大手金融のエリートサラリーマンで、年収が1500~2000万円のケースであれば、やはり、年収の4割位はボーナスが占めているだろうから、それを除いた年収相当額は1000~1200万円位だろう。そうすると、月あたり約80~100万円の収入が見込める状況を言う。

そうすると、ボーナスは無いが月々の収入は変わらないので、生活水準は現状で済む。
そして、独立することにより新たに得られる収入がボーナス分以上になれば、現職以上の年収が見込めるということになる。

もっとも、金融収益と副業収入を合わせて月に80万円~というのは非常にハードルが高い。このため、これは1つの理想的なコースと言えよう。

(竹コース)
次いで竹コースであるが、竹コースも、サラリーマンの年収からボーナス部分を除いた金額を基準に考えるという点においては、松コースと変わらない。

ただ、松コースがサラリーマン時代の月収をそのまま基準金額にするのに対し、竹コースはそこから、貯金に回す金額を引いた額を基準にする。例えば、サラリーマン時代の月収が100万円で、仮に毎月、額面の2割を貯金していると想定すると、100万×(1-0.2)=80万円を基準額とするというだけである。

要するに、サラリーマン時代の月収を基準にすると、収支トントン(貯蓄はゼロで赤字もゼロ)の金額を基準にするということだ。

もっとも、竹コースでも、高給サラリーマンの場合には約月65万の安定収入が必要ということなので、これも結構簡単ではない。

(梅コース)
梅コースは、上記の松コースや竹コースとは全く別の考え方で、サラリーマン時代の年収水準の金額にかかわらず、絶対額で50万円を基準とする考え方だ。

高給サラリーマンという安定的なステータスを捨ててまで独立するのであるから、安定的な月収が50万円位は見込めないと、独立に踏み切るのは時期尚早ということだ。もちろん、これは、金融収益と副業収入との合計額が月に50万円ということなので、最終的な月収が50万円というわけではない。独立することによって得られる収入があるので、その金額が年間400万円であれば、合計年収1000万円ということになる。さすがに独立したからには、金融収益とかつての副業収入以外に、年間400万円くらいは初年度でも稼げないと話にならないだろう。反対に、それぐらいが見込めないのであれば、金融収益と副業収入を貯め込んで、独立を先送りにしても何ら問題は無いはずだ。

4. 梅コース、安定月収50万円を確保するには?

エリートサラリーマンが独立に踏み切るには、安定月収50万円位は確保したい。
その場合、金融収益と副業収入をどう見積もるかは、その人次第であるが、副業収入は不安定であるので、ある程度金融収益は欲しい。

例えば、50万円のうち、4割の20万円を金融収益で賄うとしよう。
その場合、運用利回りを4%とFIREの基準を参考にすると、20万円×12か月÷4%=6千万円、運用原資が必要となる。まあ、年齢にもよるが、これぐらいなら対応可能であろう。

副業収入については、月収30万円レベルとなると作業系では無理で、情報発信系で稼げる様になっておく必要があるだろう。そうすると、アフィリエイトとnote等のコンテンツ販売が柱になるのだろうが、両者とも結構不安定である。従って、平均30万円ではなく、稼げない月でも副業月収30万円が見込めるようにしておきたい。

その場合、平均で月収50万円位のレベルにしておくことが望ましいが、それはかなりハードルが高い。フォロワー数は数万人は当然で、加えて、noteやアフィリエイトで稼げるスキルを十分備えていることが前提となる。

ただ、わざわざエリートサラリーマンを辞めてまで独立しようというのであれば、それぐらいのスキルは磨いておかないと勿体ない。アフィリエイトは他人のプロダクトを売るわけだが、noteは自分自身のプロダクトを販売できるので、特にnoteの販売力を継続的に強化していきたい。

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