英語力に不安がある人向けの、外資系企業転職時の英語面接対策

序. 外資系への転職時の英語面接に不安なサラリーマンは多い?

外資系企業への転職を真剣に考えているサラリーマンは、当然、何らかの英語の学習をしているだろう。英会話学校に通ったり、書面通過のためにTOEICスコアを上げたり、何らかの対策をしているはずである。

しかし、帰国子女でも留学経験者でもなく、海外赴任も経験したことが無い場合、外資系企業における英語面接には不安があるだろう。転職においては日本語での面接でも緊張するのに、言語が英語となるとなおさらである。特に、初めて外資系企業に転職活動をする際には、慣れていないので英語面接は非常に気になるところである。

そこで、英語力に不安がある場合には、どういった事前準備や工夫をすればいいかについて以下まとめてみた。

1. 事前に想定質問を考え、回答案について事前に英作をしておく

①中途採用で聞かれる質問事項は外資系の場合も特に変わらない

中途採用における転職の場合、聞かれる質問事項はだいたい決まっている。それは、外資系企業も国内企業と特に変わるわけではない。例えば、以下の様な質問だ。

・当社への転職を考える理由
・入社から現在までの職歴の概要
・自己PR
・(管理職の場合)部下のマネジメントについて
・逆質問

当社或いは当業界への転職を考えた理由については、ほぼ確実に質問されるだろう。また、入社から現在における職務の概要についても同様に聞かれるだろう。これについては、逐一質問される場合もあれば、まとめて最初に説明を求められる場合もある。

これらの典型的な質問については、日本語であれば予め要点だけを押えておけば、特に問題なく回答可能であろう。しかし、慣れていない英語での回答となると話は別である。緊張していると、とっさに英単語が浮かんで来なくてパニックに陥ること場合もある。

従って、予め事前にキーワードではなく、文章丸ごと英作文をしておくことが有用である。そうすると、回答に要する時間配分も把握できるし、英単語もチェックしておくことができる。キーワードだけであれば、英単語、文法などが咄嗟に浮かんで来ない場合もあるので、全文を英作しておくことでそのリスクを回避することができる。

若干、国内企業と異なるかも知れないのが自己PRである。日本企業においては、控え目や謙虚であることが美徳とされるが、外資系の場合ではそうではない。積極的に自己の強みをアピールできる押しの強さも評価対象になるので、事前に英作文をしておいた方がスムースである。また、自己PRではなく、就活でも聞かれる「強みと弱み」という聞かれ方をする場合もある。強みならまだしも、「弱み」はその場では思いつきにくいところもあるので、予め英作文をしておいた方がいいだろう。

部下がいることが想定されないジュニアポジションなら別だが、管理職のポジションであれば、部下やチームのマネジメントについて問われることが多い。国内企業でも、こういったことを問われることもあるだろうが、抽象的な表現も多いため予め英単語とか表現を用意しておかないと、回答事項が頭に浮かんでも即座に英作ができない場合がある。従って、自己のマネジメントスタイル、部下の育成評価方法、チームマネジメントに関するフィロソフィー、過去の成功・失敗エピソードなど、国内企業以上に多様な質問を想定して、英作文を準備しておくことが望ましい。

②外資系企業の場合、「逆質問」は非常に重要

「逆質問」というのは就活では結構意識される項目である。逆質問の良し悪しで、就活生のレベルがわかるということは聞いたことがあるだろう。

ところが、国内企業の面接においてはそれほど逆質問が重視されない場合もある。逆質問の時間が与えられても、それは形式的で特に評価の対象にならない場合もある。

しかし、外資系企業の場合には要注意である。何故なら、モチベーションや入社する意欲が高ければ、当然質問事項はあるはずだという認識が根底にあるからである。従って、逆質問で「特にありません」と回答してしまうと致命傷になってしまう場合がある。

他方、鋭い逆質問を複数用意すると、評価を高めることができる。さらに、慣れない外資系企業での英語面接では、「早く終わってくれ」と思うだろうが、良い逆質問をして面接官である外国人に話させることができると、評価を上げつつ面接時間を稼げるというメリットもある。また、この点を十分意識していない日本人の候補者もいるので、鋭い逆質問をきっちり英作しておくと差別化に繋げることも可能である。

逆質問事項については、一般的な事項であれば転職エージェントに尋ねることも可能である。しかし、より良い逆質問を準備するためには、同業界の外資系企業で働いている先輩や同期に相談するのが良いだろう。

2. 面接当日における留意点

面接当日は、前日までに行った面接準備の確認をする点は日本語の面接の場合と同様であるが、初めての英語面接の場合は非常に緊張する場合もある。本番までに、いろいろシミュレーションをしたり、面接の直前に仕事でバタバタしないように時間的に余裕をもって臨むことが重要だ。

また、面接対応で「相手の目を見て話せ」ということは就活段階においても、よく聞く話であろう。外国人の場合には、特に「目を見て話す」という点が重要なので、ここは留意したい。

3. コロナ状況下におけるテクニック

コロナ前は、海外拠点の外国人と面接を行う際も、その外資系企業のオフィスを訪問し、その会議室でVCを行うというのが一般的だったと思われる。

しかし、コロナ後は、自宅から直接海外にいる面接官とビデオ面接をするというケースが多い。そうなると、何が違うかというと、自分自身の部屋で自分自身のPCを使ってビデオ面接ができるということである。

そうすると、PCのスクリーンの背景にカンペを用意することが可能になるということである(これは英語面接に限定されないが)。英語面接の場合は緊張して、話すべき内容が飛んだり、英単語が思い浮かばなくなることはあるが、事前にPCのところにカンペを用意しておくと、こういう事態を回避することが出来る。また、そういった準備を予め行っておくことが、リラックスできるという心理的な効果もある。

但し、下手にカンペの朗読になってしまっては、不自然で逆効果だったりするので留意も必要だ。従って、用意をする場合でも、箇条書きやキーワードに留めておいた方が無難であろう。

もっとも、事前に完璧な準備をしておいた方がいいのであるが、こういった対応をした方が落ち着くのであれば、セコいやり方であるが、準備してもいいかも知れない。

4. ランチ面談は避けよ

今はコロナ下であるので、応募先企業の外国人社員とランチを取りながらの面接をセットされるケースは少ないだろう。しかし、コロナが収束しランチ面談も可能になったとしても、これは日程が合わないこと等を理由に、なるべく回避することをお勧めする。

理由はシンプルで、食べるという作業が生じることによって、英語対応をする集中力が削がれるからである。

慣れない英語面接においては、ヒアリング能力に自信が無いので、100%の集中力を持って聞き取りをしなければならない。また、回答するときも全力で集中して脳内で英作文を構築する訳である。

これが食事をしながらとなると、ナイフやフォークを使わないといけないし、咀嚼をしなければならないので思ったタイミングで話しにくくなる。

以上の様に、細かい話であるが、英語力に不安がある状態では、ランチ面談は避けるのが賢明である。

まとめ

外資系企業で働き始めると、英語対応は徐々に慣れていくのであるが、普段の業務において英会話をする機会が無い場合には、英語の面接は非常に不安である。しかし、外資系企業の場合には本社の外国人の採用における発言権は強い場合が多いので、しっかりとした英語対応が求められる。能力的には十分活躍できる力があるのに、英語が苦手で落とされるのは勿体ない。そのためには、事前に十分な準備をし、英語学校で面接のシミュレーションをやってもらうことが有用だろう。

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