年収2000万超なら考えたい?500万円超えのロレックス・デイトナは買いか?

序. 遂にロレックス・デイトナが500万円を超えた?

時計好きの人はよく知っている話だが、ロレックスのデイトナという実質的に入手不可能な超人気モデルがある。
https://www.rolex.com/ja/watches/cosmograph-daytona.html

ステンレスモデルの定価は2022年1月20日現在、160万9300円だが、それは関係ない。何故なら、正規店において定価で買うことは事実上不可能で、欲しければ市場価格で並行店等で買うしかないからだ。

大昔から、デイトナは定価を遥かに上回るプレミアム価格で取引されているが、特に、ここ数年の値上がりが顕著である。2021年の12月においては、デイトナ(白文字盤)も400万円台でかろうじて買えたが、今日、銀座の大手並行輸入店で見てみると、デイトナ(白文字盤)の新品は何と590万円の値札がついていた。また、3年前の中古も500万円を超えていた。年をまたいで、あっというまにデイトナは500万円を突破していたのだ。

1. 年収がどれくらいあれば、デイトナを買ってもいいのか? 年収と時計の関係

時計好きであればデイトナは憧れの時計だ。また、投資対象としてデイトナを狙っている人達も多い。500万円超えのデイトナは、どれぐらい年収があれば検討の対象となるのだろうか?年収と買える時計の関係が気になるところである。

この点、銀座の高級店に聞いてみると、年収と時計の値段については特に関連性は無いという。もちろん、年収が高ければ高いほど買いやすいのは当然なのだが、時計の場合は、クルマと違って維持費がかからない(オーバーホールはあるが)。

駐車場代、保険代、燃料代、車検費用、消耗品費等が高級時計にはかからないし、また、時計店が低金利のローンを供与している場合もあり、年収500~600万円でも年収とほぼ同額の高級時計を買う人はいるという。

とは言え、時計のみが趣味という訳にも行かないので、年収の半分でも高すぎるだろう。500万円超えとなると、年収1000万円でも難しく、少なくとも年収2000万は必要と思うが、どうだろうか。

2. それでもデイトナは買いだという人達の考え方

定価が約160万円のデイトナの市場価格が500万円超となると、さすがにバブルではないかという見方もある。しかし、下がるタイミングを待っていたら、もうデイトナは買えなくなるという考え方の人もいる。その論拠としては、以下のようなものだ。

①みんなは最高のブランドを求め続ける

高級時計のブランド力は強い。ロレックスのデイトナだけではなく、パテック・フィリップのノーチラスや、オーデマ・ピゲのロイヤルオークも事実上正規店での定価購入はほぼ無理で、定価の2倍以上の価格で取引されている。

フェラーリやエルメスのバーキンと同様、消費者は最高のブランドを追い求めるので、2番手、3番手の単なる高級ブランドとは異なり、最高の物は値段に関わらず買いたくなるのだという。また、富裕層からすると、高ければ高いほどドヤれるので、市場価格が高いのは歓迎という人もいる。

デイトナは、20世紀から常に入手困難で、人気が高いロレックスの中でもダントツの人気モデルであり続けている。

従って、高級時計の人気が落ちても、最後に残るのはデイトナだという見方を強気派はしているようだ。

②ロレックスの戦略と供給体制

ロレックスは高級品なので、ブランド力を非常に気にする。ロレックスの商品の中でも最強のブランド力を有するデイトナはロレックスの象徴でもあるので、デイトナの市場価値を落とす訳には行かない。

このため、ロレックスとしては経営戦略上、デイトナを増産することは可能であっても、あえてその選択は採らないと推察される。もともとは定価160万円程度の時計なので、リシャール・ミルとは異なり、増産も可能なのだろうが、「品質維持のため」とか「職人不足」という名目で増産はしないだろう。

需要サイドについては、上記①の通り、最高のブランド力を有するモデルなので今後も強い需要を持ち続けるということであるが、供給体制を考えると増産による値崩れリスクは無いと見るのが強気派の考え方である。

③世界における富裕層の拡大

最近はインフレ気味だが、給与はほとんど上がらない、経済成長が停滞している日本にいるとあまり感じられないかも知れないが、グローバルで見ると富裕層は着実に拡大している。アメリカと中国はまだまだ経済成長が継続するだろうし、途上国でも資源国などにおいては超富裕層が増加しているからである。富裕層が増えれば、当然、デイトナ等の高級時計に対するニーズも増えるので、長期的に見て、買い手はまだまだ増えていくという見方である。

④世界的なカネ余りの継続

これは、コロナ後の短期的な経済事情だが、グローバルな超低金利等によって、いわゆるカネ余りの状況にある。その結果、株式や仮想通貨等に投資・投機資金が流れ、キャピタル・ゲインを得た人達が現れ、こちらもデイトナや高級消費財の買い手となっている。世界的な資産価格の高騰が何時まで続くかはわからないが、当面はデイトナが売られるような状況にはならないだろうという予想だ。

3. 最後に

年収が2000万円超の高収入層でも、定価の3倍以上の590万円のデイトナを簡単に買う気にはなれないだろう。パテック・フィリップのノーチラスやオーデマ・ピゲのロイヤルオークも定価での入手は超困難だが、パテック・フィリップのコンプリケーションであれば何とか定価での購入も可能だろう。もちろん、590万円も用意すれば、ランゲ&ゾーネやヴァシュロンでも十分定価で購入可能だ。定価の3倍以上のデイトナと、定価で500万円超の高級時計と、買うにせよ、どちらにするか迷うところだ。

また、仮にプレミア価格でデイトナを入手したとして、使用するのか、或いは、貸金庫で寝かしておくのか?ここも悩みどころだ。その銀座の大手並行店では、新品が590万に対して、3年落ちの中古が530万だったので、新品と中古との価格差は小さいようだ。私なら、それでも貸金庫で寝かしておきたいが、どうだろうか。

今後もデイトナ市況が注目される。

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