アラフォーで初めて外資系金融に転職して失敗する人達の特徴

外資系金融にもいろいろあって、外銀(外資系証券会社)の場合は45歳がリタイアの目安みたいな雰囲気もあるが、外資系アセマネ(運用会社)の場合は50代でもまだまだ働ける環境である。このため、外資系アセマネでは、アラフォーになって初めて外資系に転職する人達も見受けられる。

アラフォーで初めて外資系アセマネに転職すること自体は特に問題があると思わない。英語力が高くて順応性のある人は普通にやっていける。他方、失敗する人にはかなり似通った点があるので、今回は失敗する人達の特徴について紹介したい。

1. 外資への初転職で失敗する要因① 英語力の問題

典型的な外資系企業への転職の敗因は、英語力不足である。
もちろん、外資系企業でも部長クラスでなければ、日常のコミュニケーションはほとんど日本語でOKという外資系企業もあるだろう。

しかし、外資系アセマネの場合は比較的小規模な組織が多く(日本拠点の従業員数が20~100人)、海外との距離が近い。また、アラフォーでの転職となると、基本は管理職ポジションである。外資系企業の場合、役職が上になればなるほど、一般的に海外とのコミュニケーションの機会が増える。

こういった状況で、ただでさえ転職すると新しい環境に馴染むのに苦労するのに、英語力が不足していると非常に辛い。外資系企業だと、IT周りの修理やアップデイトも英語でコミュニケーションを取らないと行けない場合があるので大変だ。また、人事制度に関する案内、経費精算関係とかでも本社からの通知は当然英語である。そうなると、英語が苦手な人の居心地はますます悪くなる。

では、どれくらい英語が出来ればいいのかということになるが、外資系企業の場合は、英語はいくらできても困ることは無い。TOEICでいうと、900以上は目指して欲しい。また、英会話学校でのトレーニングも必須であろう。

なお、今はメールでのコミュニケーションが一般化しているので、英語に自信が無いと読み書き能力でカバーすることもできる。予め、メールで伝えておくと、スピーキング&ヒアリングに自信が無くても、意思疎通できるからだ。そのためには、ロジカルシンキングが重要で、わかり易くて論理的な文章の書き方が必要となる。これらはコンサル用の書籍を使って覚えればいいだろう。

アラサーぐらいだと、若くて働きながら英語力を強化するパワーはあるかも知れないが、アラフォーになると肉体的・精神的にきつくなってくる。このため、アラフォーで初めて外資に転職する際には、出来る限り事前に英語力を磨いておきたい。

2.  外資への初転職で失敗する要因② 守備範囲の狭さ

これは業界によって異なる可能性もがあるが、外資系アセマネの場合、国内系の方が1人あたりの仕事の守備範囲が狭いので、外資系に転職すると広いところまでカバーする必要が生じるということである。

外資系の場合は、基本的に余剰人員は少なく、特にアセットマネジメント企業の場合は小規模な組織が多いので、各自がいろいろとカバーしなければならないことが多い。

例えば、営業であれば、リテール(投資信託の販売会社がクライアント)の場合も、機関投資家営業をカバーすることもあるし、人事であれば採用・研修関係だけでなく給与や社保等のアドミの仕事もカバーしなければならないといったものである。

もちろん、守備範囲を拡げた方が転職の機会は拡がるし、どうせ上になればなるほど守備範囲は拡がるので、キャリア形成上悪い話でもないのだが、年を取れば取るほどフットワークが重くなり、新しい仕事を覚えることが億劫になったりするものだ。

以上の様に、いろいろな業務を幅広く担当するのが好きでなく、決まった範囲の仕事しかやりたくないというタイプの人は外資系は不向きかも知れない。

3.  外資への初転職で失敗する要因③ 予算達成等に関する緊張感

外資系企業は国内系企業と異なり終身雇用ではない。そして、日本は本社ではなく、海外拠点の1つに過ぎないので、利益が見込めないと存在意義は無い。このため、予算達成に対する緊張感が、国内系の企業と比べて厳しい場合が多いと考えられる。

これも余剰人員が少ないとか、働かない人達は追い出されるというメリットでもあるのだが、ある程度緊張感は国内系企業よりもあるのではないかと思われる。

これは、収益部門に限らず、ミドル・バック部門も間接的にその影響は受けるので、国内系のようなまったりした雰囲気が好きな人は、外資系企業は合わなかったりもする。

まとめ

上記の3つの要因は、必ずしも独立的なものではなく、共通点も多いと思われる。
英語力向上に熱心でなければ、守秘範囲を拡げるのは面倒に感じる人が多いだろうし、そして、そういった人は緊張感あふれる雰囲気よりもまったりとした雰囲気を好みがちということだ。

反対に、初めての外資系転職直後は英語力に不安があり、守備範囲は狭めでも、やる気と柔軟性があれば、全て克服することも可能だし、現にそういった人も少なくはない。

外資系企業を紹介する転職エージェントが優秀であれば、こういった点も説明をしてくれるのだが、案件を早く成立することしか考えないエージェントだと「大丈夫です」と楽観的なことしか言わない場合もある。

いずれにせよ、アラフォーで初外資というのは大きな環境変化であることは間違いないので、英語力と柔軟な働き方については事前に十分意識をして、対策を立てておくべきだろう。

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