青汁王子の「日本で1億稼ぐのは超簡単」について考えてみた

1. 3年で青汁を年商130億円・利益30億円の企業に育てた青汁王子

「脱税」でダーティなイメージを持たれるかも知れない青汁王子であるが、実は、非常に優れたビジネスマンである。

最近はYouTubeやTwitterを通じた情報発信に注力しているようであるが、YouTubeではビジネスをテーマにした興味深いものも多い。

その中で、青汁王子は「日本で1億稼ぐのは超簡単」と語っていたのが印象深く、以下、私なりの感想をまとめてみることにした。

2. 日本は非常に稼ぎやすい社会であるということ

①差別化と継続が成功の秘訣

青汁王子はYouTubeでたびたび、日本で成功するのは簡単だと述べている。
その理由は、2つ。

第1は、横並び社会なので、日本人は人と違うことをやるのに抵抗がある。このため、似通った財・サービスに溢れ、非常に差別化がし易いからだという。

第2は、日本人で実際に行動に移せる人は多くないということ。ここでいう「行動」とは、「やり切ること」「結果が出るまで粘り強くやり続けること」を意味し、多くの人が成功する前に断念するので、最後まで粘り強く継続すると成功できるということである。

②青汁が成功した理由

青汁王子の「青汁」が3年間で売上130億円、利益30億円(役員報酬も含めると実質的な利益は40億以上)と大成功を収めた。

その理由というのが、上記2点の通りだそうだ。
青汁王子が参入した当時は、青汁は大手メーカーが寡占している状況にあったが、全て青汁は「まずい」「飲みにくい」というのが常識であった。そこで、青汁王子は「フルーツ青汁」ということで、フルーツを入れることにより飲みやすさを訴求して「差別化」を図った。

当初は、大手が占める青汁市場の一角に少しだけ差別化によって食い込めばいいと考えていたようだが、予想以上の売行きとなった。

2つ目は、販売に関してPDCAを回し続けたということである。
青汁は通販なのだが、通販の場合、広告宣伝費が経費の大半を占める。そこで、青汁王子は自信がアフィリエイトで培ったネットマーケティングのスキルと経験を駆使し、効率的な広告・マーケティングを追求し続け、同業他社よりも低い広告宣伝費を達成した。

通販の成功要因というと、商品自体の個性・差別化要因が注目されがちだが、実は、販管費(広告宣伝能力の高さによる販管費の削減)に隠れた成功要因があったという点が興味深い。

3. 日本で1億稼ぐことが超簡単な理由とその方法

①日本で1億円を稼ぐ方法

青汁王子によると、日本ではカルチャー的に差別化がし易く、多くの人が最後まで粘り強くやり切らないので成功するのは簡単だという。

それでは具体的にどうすれば、1億円を稼げるのかというと、その手順は以下の通りである。

1)アフィリエイトで稼いで原資を作る
2)自分の会社を起ち上げる
3)ネットで自分のプロダクトを売る
4)会社を売却する

以下、この各項目について検討する。

②アフィリエイトで稼いで原資を作る

どんなビジネスを始めるにも原資が必要だ。ところが、最初から十分な資金が手元にある人は少なく、まずは原資を作ることから始めなければならない。

この点、青汁王子はアフィリエイトを強く勧めている。アフィリエイトの場合は、パソコン1台あれば可能なので、元手はいらない。そして、上手くやれば月に100万円以上稼ぐことも可能なので、アフィリエイトで原資を作るというのは理に適っている。

しかし、現実的にはアフィリエイトで月に100万円以上稼ぐのは非常に難しい。そのためには、SEOを駆使してブログを作成し、継続的な工夫をすることによって、CTRやCVRを高めて行くことが求められる。一般の人であれば、1年間継続して、月に数万円稼げればいい方ではないだろうか。

青汁王子は18歳の時に、アフィリエイトで月に400万円以上稼いだというが、その努力は生半可なものではない。

もっとも、アフィリエイトは通販(D2C)を手掛ける上での武器(マーケティング・広告宣伝スキル)になるので、原資を稼ぐ以上の意義も極めて大きい。

また、何といってもお金がかからないので、最初に手掛けるビジネスとしては非常に適している。「アフィリエイトでは稼げない」と認識されているので、かえってチャンスかも知れない。

③自分の会社を起ち上げる

2つ目のステップは、アフィリエイトで稼いだ原資で自分の会社を起ち上げることである。会社設立費用自体は登録免許税と司法書士の手数料を合わせて30万円位で収まるが、自分のビジネスを開始するというのがポイントである。

アフィリエイトというのは、他人の商品(財やサービス)を売ることによって成功報酬をもらうビジネスである。しかし、単なるアフィリエイターでは成功報酬に対する交渉力は無く、また、売行きは他人の商品の質に左右されてしまう。

販売力さえつけば、他人のプロダクトを売るよりも、自分のプロダクトを売る方が儲かるに決まっている。したがって、ここでは自分のプロダクトを販売するために会社を起ち上げるという点がポイントである。

④ネットで自分のプロダクトを売る

自分のプロダクトが完成すれば、次のステップは、ひたすらネットで売り続けることである。ここでアフィリエイトで培ったノウハウがものを言う。プロダクトの差別化だけでなく、ネットを通じた販売力・マーケティングスキルを活用し、PDCAを回し続け、売上を拡大させていく。それがこの段階で求められる行動である。

⑤会社を売却する

自分のプロダクトがネットを通じてある程度売れるようになれば、最後のステップは会社の売却である。

何故会社を売却するかというと、実質的に、将来の利益をまとめて手にすることができるからである。どういうことかというと、会社の売却価格というのは、1年間の営業利益の7-8年分というのが一つの目安である。もちろん、営業利益の安定性や事業の成長性によって、かなりの開きがあるかも知れないが、アフィリエイトサイトが売上(≒利益)のせいぜい2-3年分でしか売れないことと比べると、会社売却の方が一般的に有利である。

例えば、1億円を稼ぐという点では、実質的な利益が1500万円だと1億円を稼ぐには約7年近くもかかるが、会社売却であれば一気に実現することとなる(利益7年分で評価された場合)。

もう1つの理由は税制である。会社の利益から役員報酬を1500万円を支払った場合、約1/3が税金で持っていかれる。会社の利益が増え、役員報酬が増えると約半分位が税金で消える。

他方、会社の株式を売却した場合には、2割のキャピタルゲイン課税で済むので、税制上有利であるということである。(もっとも、この点について岸田政権が税制を見直すことが危惧されるが…)。

このため、そこそこ会社に利益が出るようになったタイミングで会社を売却すれば、一気にまとまったお金を手にすることが出来る。これが青汁王子の推奨するビジネスモデルのポイントだ。

まとめ

青汁王子の「日本で1億稼ぐのは超簡単」という話は、普通の人には理解し難いかも知れない。しかし、アフィリエイト⇒会社を起ち上げ自分のプロダクトを売る⇒ネットで拡販を続ける⇒会社を売却するという手法によると、利益が1500万くらい出るようになった段階で達成可能なので不可能な話ではない。1億じゃなくて数千万円ということであれば、更にハードルは下がる。

この手法には、SEO、アフィリエイト、ネットマーケティング、D2C、ファイナンス、税制と非常に多くのビジネスのエッセンスが詰まっていて、大いに参考になる。

特に「アフィリエイトは稼げない」という世間の常識を覆すことができれば、一気に成功に近づくことが可能である。

今後も青汁王子のYouTubeを通じたビジネス上の手法についてフォローしていきたい。

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