戦略コンサルタント【MBB】への転職におすすめのエージェント3選と、総合コンサル経由での転職について

序. 超難関の戦略コンサルには新卒よりも中途採用が有利?

マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニー、ローランドベルガー等の戦略コンサルに新卒で入社するのは非常に難易度が高い。新卒採用においては理系の院卒の割合が高く、文系の学生にとっては特に難易度が高い。例えば、22卒の場合、慶應経済からMBBへの就職者は5名、慶應法からは1名、慶應商からは2名である。(慶應文系学部から総合コンサルへの就職者数が非常に多いことを考えると、かなり意外な結果かも知れないが)

他方、中途採用については、MBBを始めとする戦略コンサルは常時中途採用を実施している。従って、難関であるには違いないが、特に文系の学部卒の者にとっては、中途採用で戦略コンサルを狙えるチャンスはある。特に最近では、DX、IT系のニーズの高まりを背景に、MBBも積極的に若手を中心とした採用を積極化している。このため、従来と比べ、総合コンサルからMBBを含む戦略コンサルへの転職も可能性が高まっていることについては注目したい。

中途採用においては、ONE CAREERや外資就活の様な就活メディアやOB訪問といった仕組みが無いため、情報収集や転職対策を自力のみで準備をするのは難しい。

そこで、信頼できる転職エージェントを上手く使いこなせるか否かが非常に重要となる。以下、MBB等を中心とする戦略コンサルに適したエージェントについて説明したい。なお、ここでの戦略コンサルとは、いわゆる狭義の戦略コンサルを指し、アクセンチュア、アビーム、ベイカレント等の総合系コンサルは含まないものとする。

1. 面倒だが数多くの転職エージェントへの登録が有効な理由

①採用HPからの直接申し込みは非効率

これは、戦略コンサルに限った話ではなく、金融や事業会社への転職においてもあてはまる話であるが、各企業の採用HPからの直接募集はお勧めできない。「転職エージェントのフィーが発生しない直接募集の方が有利である」という意見もあるようだが、それは明らかに誤りである。最も重要な経営資源の1つである人材について、フィーが掛からない安い方を選択するということは通常考えられない。特に、人材の質が全てとも言える戦略コンサルや外資系金融機関においてはなおさらだ。

採用HPから直接申し込みが何故問題かと言うと、そもそも、自分の応募が受理されたかどうかする確認できない。採用HPはリアルタイムで更新されるとは限らないので、現在は募集を行っていなかったり、採用者がほぼ決まりかけの場合もある。そういった場合は、せっかく応募をしても何の反応も無いまま終了となってしまう。

また、書面を通過して面接まで辿り着けたとしても、直接申し込みの場合は、どういった面接官がどういった質問をしてくるのか、どういった事前準備を行えばいいのかについて誰も教えてくれない。

この点、優れた転職エージェント経由であれば、一般的な面接事項や事前準備についてアドバイスをもらえるだけでなく、場合によっては、面接者の性格・好みまで教えてもらえることがある。

さらに、内定をもらえそうな段階まで辿り着けた場合、転職エージェント経由であれば年収条件等についての交渉もしてもらうことができる。

以上の様に、先ずは良い転職エージェント選びが戦略コンサルへの転職活動の最初の作業である。

②機会の最大化:転職エージェントは複数選定したい

外資系金融や戦略コンサルに勤務し転職慣れしている人でも、少数の転職エージェントとしか付き合わない人もいる。しかし、転職の機会と内定率を高めるためには、面倒ではあるがなるべく多くの転職エージェントに登録し、その中から優秀で自分に合ったエージェントと付き合うのが望ましい。

何故なら、業界特化型の転職エージェントでも、得意な会社とそうでない会社とがあり、1社だけで全てカバーできるわけではないからである。例えば、BCGの場合だと、コンサルに強いエージェントは全てカバーしているだろうが、BCGの採用関係者(幹部社員、人事)とのリレーションシップの強度については差があるからである。

特に、総合系ファームのような大規模組織と違って、戦略コンサルは数百人規模の組織なので属人的な要素が強いし、また、採用におけるキーパーソンは変動する。

このため、有力な転職エージェントにはなるべく多く登録して、転職の機会を最大限に広く捉え、最も質の高い採用情報を入手できるようにしておきたい。

戦略コンサルについては、現時点では、少なくとも以下で紹介する3社全てに登録することが望ましい。

③候補者の能力の格差は小さい。就活同様、転職スキルの差も重要

就活において、能力が圧倒的に優れているわけではないが、何故か、難関企業から内定を取りまくった就活強者は存在する。就活も、決まった椅子を争う戦いである以上、上手い/下手は確実に存在する。

中途採用の場合も同様で、外資金融やコンサルの世界でも、能力の割には業界でしぶとく生き残っている人達が存在する。そういう人達は、転職スキルに優れていて、良いタイミングで情報を上手くつかんで生き延びているのである。

中途採用の場合は就活の様に情報が溢れていないので、要領が良い人とそうでない人との差が開くことになる。良い情報をつかむためには、なるべく多くの有力な転職エージェントと繋がりを持つことが重要だ。

2. 戦略コンサル【MBB】に適したエージェントの選定基準

①案件の量と質

戦略コンサルのエージェントの選定基準としては、良質な案件を豊富に提供してくれることが第1条件である。戦略コンサルといっても、大量採用している総合ファームの案件が大半だったり、MBBの案件についても出回り案件しか持っていない様では頼りにできない。

良質な案件を転職エージェントが獲得するには、ある程度の組織・人員が必要である。20世紀においては、独立した個人経営のエージェントが特定の外銀や戦略コンサルのMD/パートナーと強いパイプを持っているケースもあったが、今では、マッキンゼーもBCGも当時よりは遥かに規模が拡大しており、属人的な採用活動では対応できない。このため、ある程度の組織を備えたブティック系のエージェントが強いと思われる。

案件の質については、いわゆる「出回り案件」と言われる多くのエージェントが持っている案件ではなく、独占的案件や未公開のコンフィデンシャル案件を数多く抱えているエージェントが望ましいということになる。何故なら、こういった案件の場合、ライバルの数が絞られるし、採用側企業とエージェントの距離感が近く、有益なアドバイスをもらえる可能性が高いからである。

②情報提供とアドバイスの質

情報提供とアドバイスの質については、外銀と比べて、戦略コンサルの場合は特に重要となる。何故なら、外銀の場合は職務経験と相性をチェックするのがメインで、テストの様な形で候補者のスキルを試す場合は少ない。他方、戦略コンサルの場合には、ケース面接の様に、様々な形で候補者の知識やスキルを問われることが多いからである。

従って、事前に準備できることは準備しておいた方がオファーに至る確率が高くなる。このため、良質な情報とアドバイスを提供できるか否かがエージェントの重要な選定基準となる。

この点については、何といっても転職エージェントの歴史、実績、スタッフの経歴・経験がカギである。この点については、各社のHPを見ればある程度チェックが可能であり、スタッフの経歴・実績についても紹介されている場合が多い。

③ポストコンサル案件の充実度

総合系ファームも戦略コンサルも、その企業に居続け、パートナーまで昇進する人はごくごく僅かだ。多くの社員は、数年内に転職し、転職対象先としてはコンサルティング・ファームではない事業会社も多く含まれる。

このため、戦略コンサルに転職するにあたっては、その先のキャリアまで考えることが必要で、戦略コンサルに入社した後もサポートしてくれるエージェントが好ましい。

従って、ポストコンサルとしてのキャリアをサポートしてくれる、事業会社の転職にも強い組織・体制を有するエージェントを選定すべきである。

3. 戦略コンサル向けのお勧めエージェント3社

①アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティングの強みは何といっても豊富なコンサルに関する転職実績数だろう。転職実績には総合系ファームも含まれるが、戦略コンサルの実績も豊富であり、量的にはこの分野だと日本でトップクラスであろう。

そうなると、何が有利かと言うと、採用側企業からの信頼性が強く、パイプが太い。このため、新組織起ち上げに関する情報を入手出来たり、パートナークラスとの定期的なコミュニケーションにより最新の採用情報が集まり易い。このため、案件の質という点においても高水準なサービスを受けることができる。

また、アクシスコンサルティングのもう1つの強みは、ポストコンサルに関する豊富な案件とアドバイス力であろう。GAFAMを始めとする外資系IT、国内系大手事業会社、メガベンチャーまで幅広くカバーしており、CXO案件や独占的案件も数多く有している点が強みだ。

個々のキャリアコンサルタントも、コンサルティング・ファームから事業会社出身者まで多様性を有しており、戦略コンサルに必要なスキル・面接対応からレジュメの指導まで対応可能だ。まずは、こちらを登録しておきたい。

アクシスコンサルティング

②ムービン・ストラテジック・キャリア

ムービンは、1999年にコンサルに特化した転職エージェントとしてスタートした。コンサル特化という点では日本で最も歴史があるエージェントであり、その筋では知名度も高いだろう。

ここの強みは、何といってもアドバイス能力が高いことだ。コンサル出身のキャリアコンサルタントが多く、長年の実績に裏付けられた豊富なデータを基に、手厚いサポートをしてもらえる。また、単なるMBB等の採用案件を紹介するだけではなく、ポストコンサルも含めた長期的・戦略的なキャリアプランについても相談に乗ってもらえる。このため、戦略コンサルへの転職が初めての場合や、若手のビジネスマンにとっては取りあえず話を聞きに行く価値はあると言えるだろう。

当然、ケース面接対策や、レジュメの添削と言ったアドバイスも提供してくれる。

カバーしている業種の幅については、後述のアンテロープの方が広いかも知れない。特に金融についてのプレゼンスは、ムービンは特別高くはない。しかし、近年はPEファンド、ベンチャーCXOにも重点を置いているので、特に問題とはならないであろう。

https://www.movin.co.jp/

③アンテロープ

アンテロープは2002年設立で、当初より金融・コンサルに強い会社として定評があった。最近では、PEファンド、VC、スタートアップ、事業会社にも注力している。

金融の、特にフロント職に強いというイメージを持っている人も多いかも知れないが、コンサルも昔からカバー領域も広く、マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニーだけではなく、経営共創基盤や野村総合研究所、ドリームインキュベータといったところにも実績を有している。

おそらく、上記3社の中では金融機関には最も強いのではないだろうか。金融機関から戦略コンサルを狙う人にとっては、非常に適していると思われる。

アンテロープのキャリアコンサルタントのサービスの質は非常に高く、単なる面談の調整をするだけではなく、面接での想定質問や対応のポイントまでアドバイスをしてくれる。金融機関志望者には過去に何度も紹介したことがあるが、大変満足してもらうことができた。

ここも上記2社と並んで是非登録しておくべきエージェントと思われる。

https://www.antelope.co.jp/

4. 総合コンサルへの転職はどうか?将来MBBへの転職は可能か?

MBBに入社するのは、新卒でも中途採用でも非常に難しい。他方、アクセンチュアやアビームに代表される総合コンサルについては、新卒も中途も、文系学部からの入社組は非常に多い。

新卒や中途でMBBに入れなかったので、同じコンサルと言うことで、総合コンサルへの入社を考えるというのは理解できる。そして、総合コンサルで経験を積んで、次にMBBに転職してキャリアアップを図ろうという考えの人もいるだろう。

この点、従来は、総合コンサルからMBBへの転職はかなり難易度が高かった。ITコンサルや業務コンサルがメインの総合コンサルと、戦略メインのMBBとでは求められるスキルが異なるし、また、新卒で数十人しか採らないMBBでは求める人材の質が異様に高く、普通に優秀なだけでは採用されなかったからだ。

しかし、最近のDX、ITコンサルに対するニーズは非常に高まっており、MBBもこれに関する事業と人材を拡大している。このため、特にニーズの強い若手は総合コンサルからも積極採用しているようだ。例えば、昔であれば、総合コンサルの上位数パーセントしかMBBに転職できなかったのに対し、今では、上位2割位であれば転職可能のようだ。要するに、普通に総合コンサルで頑張れば、十分MBBも射程圏になったということなので、これは非常に魅力的である。

但し、MBBに転職できたとしても、そこで勝ち残れるかは別問題である。MBBに転職できれば、一定の箔付け効果はあるだろうから、その後のキャリアまで練っておくことが重要だろう。

なお、MBBへの転職の手段として、総合コンサルを挟むというのも有りであるが、従来通り、MBAの有力校への私費留学経由で転職するのも悪くないので、いろいろなパターンを吟味したいところである。

最後に

以上、戦略コンサル向けのお勧めエージェント3社を紹介したが、「少なくとも」この3社には登録していただきたい。人によって合う・合わないはあるので、その中で自分に合ったエージェントを取捨選択すれば良い。また、上記3社以外にも、他に戦略コンサルに強そうなエージェントをネットで発見したり、知人に紹介してもらえれば、積極的に登録してみれば良い。外部環境は変化するし、転職エージェントも独立・転職が多い世界なので、有料エージェントは固定的なものではないからである。

いずれにせよ、転職スキルも重要な能力であるので、多少面倒かも知れないが、複数のエージェントに登録をして万全の準備をするべきであろう。

<まとめ:登録すべき3つのエージェントのURL>

アクシスコンサルティング

https://www.movin.co.jp/

https://www.antelope.co.jp/

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