1. 早慶ではなく、何故、青学MBAを狙うのか?
日本のMBAの場合、たとえ有力大学であっても、キャリアチェンジ(転職)については、海外のトップスクールの様な力は無い。
しかし、基本的に作文(エッセイや研究計画書等)と面接だけで、専門知識や英語力さえも問われることがなく、2年間の通学で有名大学MBAの学歴と学位を得られることは魅力である。
このため、早慶の様な有名大学の社会人向けMBAコースの難易度もじわじわと難化してきているようだ。慶應MBAについては、今までは2倍弱の競争率で、実質全入のイメージすらあったのに、最近では4倍に競争率が達したようだ。
また、早稲田MBAも仕事を続けながら通える夜間コースが人気で、競争率は3倍を超えているようだ(夜間主総合コース)。
学歴アップが主目的であれば、どうせなら、早慶を狙うのが良さそうに見えるが、難化しているので、それなりの大企業に勤めているエリートサラリーマンでも合格できるとは限らない。
また、日本の社会人向けMBAには、学歴や学位獲得の魅力以外にも、練られたカリキュラムとか人脈獲得という魅力もあるので、早慶が無理だとしても、それに準じたMBAでキャリアアップを図りたいと考えるエリートサラリーマンはいるだろう。
そこで、クローズアップされるのが、ABSこと、青山学院大学MBAである。
2. 青山学院大学MBA(ABS)の魅力
青山学院は、学校群的にはMARCHに属し、早慶には勝てないと思われるかも知れない。
しかし、特に社会人向けのMBAについては、以下の様な魅力があり、少なくともMARCHの中ではダントツだと思われる。社会人向けMBAについては、早慶の次のポジションは青山学院MBAではないだろうか。
①歴史と学生の質
青学MBAの最大の強みは、歴史と学生の質ではないかと思われる。
青学MBA(細かい正式名称については変遷があるようだが)は1990年に設立され、社会人を対象としたMBAコース(夜間)としては最も古い。慶應ビジネススクールは歴史は青学MBA以上にあるのだが、全日制しかない。このため、仕事を続けながら夜間に通える社会人向けMBAとしては、最初の学校なのである。
そうすると、1990年代において、働きながらMBAでキャリアアップを図りたいエリートサラリーマンは、青学MBAしか選択肢が無かったわけである。そうなると、青学MBAは優秀層を集めることができるので、自ずと、生徒の質は高くなるわけである。実際、青学MBAを経て戦コンに転職したり、また、有名人では元LINE社長の森川亮氏が在籍されていたりした。
https://www.aoyamabs.jp/value/history.html#gsc.tab=0
また、歴史があるということは、卒業生の数も多くなるわけで、青学MBAの場合は、既に2700名以上の卒業生がいる。これは、MBAの魅力の1つである「人脈」という点においても、心強い。
②充実したカリキュラム
詳細は、以下のリンクを見ていただきたいのだが、日本のMBAコースの中で歴史がある分、カリキュラムも練られている。社会人MBAの魅力は、学歴・学位や人脈の獲得に加えて、そのカリキュラムもある。この面も青学MBAの魅力となっている。
https://www.aoyamabs.jp/value/advantage.html#gsc.tab=0
③学費
慶應MBAは2年間で400万超え、早稲田MBA(夜間)が約346万円に対し、青学MBAは2年で約330万円。昔は200万円台で結構お値打ち感があったのだが、値上げによって、優位性は薄れてしまった。それでも、早稲田よりは若干安いが…
https://www.aoyamabs.jp/application/scholarship.html#gsc.tab=0
④立地
青山学院MBAのキャンパスは、学部と同じ青山キャンパス内にあり、最寄り駅は表参道である。丸の内・大手町エリアのすぐそばというわけではないが、お洒落で、便利な表参道である。この点は好みもあるが、慶應(日吉)や早稲田(高田馬場)と比べて、通学し易く、有利だと思われる。
⑤難易度
前述したが、早慶MBAは難化してきている。
その点、青学MBAの入試倍率は2倍程度の模様である。
早稲田のMBAや国立MBAの影響で、21世紀に入り、青学MBAの位置付けは低下した面もあるが、最近じわじわと上昇してきているようである。
競争率が2倍位になると、それなりの準備も必要となるが、真剣に国内MBAを考えるのであれば、今のうちかも知れない。(社会人向けMBAは、学科が無く、作文と面接だけなので、一度落ちると、次年度以降再挑戦しても無駄とも言われている。)
https://www.agaroot.jp/domestic_mba/column/aogaku/#:~:text=MBA%E3%81%AE%E9%9B%A3%E6%98%93%E5%BA%A6%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6,%E9%AB%98%E3%81%84%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%A7%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%80%82
3. 青山学院大学MBAによるキャリアチェンジ
社会人向けMBA(夜間コース)を卒業したところで、転職力が高まるわけではない。
そのあたりの事情については、こちらのnote記事で説明した通りである。
従って、青学MBAについても、キャリアチェンジ(転職)というよりも、キャリアアップを中心に考えるのが現実的であろう。
もっとも、この公式HPを見ると、卒業後に転職というキャリアを選択している人達もいるようだ。実務経験は積めないものの、カリキュラムを通じて自分の専門知識を深めたり、人脈を通じて、間接的に転職能力を高めることも可能であろう。
https://www.aoyamabs.jp/application/career_path.html#gsc.tab=0
一般的なキャリアアップとしては、今いる会社で昇格することだろう。
社会人MBAに通えるということは、学費を払えて、夜間に通学できるWLBが確保されているということなので、それなりの一流企業で働いているということである。その場合、無理に転職するよりも、今の会社で昇格とか希望の部署に異動する方が、市場価値を手堅く高めることが可能である。
青学MBAを卒業することによって、知識量が増えることは当然として、自信が付いたり、モチベアップしたりといった点についてはポジティブな効果があるだろう。このため、昇格狙いというのは悪い狙いではないだろう。
また、少数派と思われるが、上記公式HPを見ると、起業・独立を実現している人達もいる。大企業で働くサラリーマンを想定したカリキュラムが中心と思われるが、知識は無いよりあった方がいい。また、将来、70歳まで働く時代になるということを考えると、定年後の起業・独立という選択肢もあるので、そのために青学MBAでの経験を役立てるということも可能だろう。
国内MBAの転職能力が特に高まったとは思えないが、有名校の社会人向けMBAコースは全般に難化傾向にあるようだ。これは、将来も終身雇用が維持される保証は無く、また、少子高齢化という日本固有の課題や、AI/ITによる無人化といったことを考えると、将来のために何とか自分自身の価値を向上させなければならないという人達が増えたのかも知れない。
今いる会社で働きながら、青学MBA(夜間)に通うというのは、授業料以外に失うリスクは特に無いだろう。約330万円を高いと考えるか、安いと考えるかは人それぞれだろうが、早慶に準じた位置付けを考えると、青学MBAを選択するというのも有りかも知れない。