40代・年収1000万円以上の、英語・スキルに自信が無いサラリーマンと現状認識の勧め

1. 現在は良くても、将来も年収1000万円以上を維持できるか不安…

①年功序列・終身雇用で大企業のサラリーマンは安泰だったが…

日本の大企業は年功序列型の賃金体系を採用しているところが多く、40代になると年収1000万への到達が可能である。

従来であれば、このまま50歳を過ぎ、55歳位で役職定年を迎えるまで年収はじわじわと増え続け、数千万円の退職金と企業年金を享受することが期待できた。更には、年収は大幅に下がるが、第二の就職先を紹介してくれたりする企業もある。

②サントリー新浪社長の「45歳定年」発言

しかし、経団連の終身雇用廃止宣言や、コロナの影響を受けた大企業の相次ぐ早期退職報道、そして、最近ではサントリー新浪社長の「45歳定年」発言等、将来的には定年まで働けるのか、更には、50歳まで働けるのかという不安が生じる状況になってきている。

サントリー新浪社長の「45歳定年」説については、非難轟々であったが、それはサラリーマン側からの視点である。この発言は直接サラリーマンに向けてなされたものではなく、経営者の組織である経済同友会での発言であり、経営者の中には賛同する人も多いはずだ。

日本の経済界は急激な変化を好まないので、近い将来に定年が大幅に前倒しになるとは考えられない。しかし、コロナの収束はまだまだ見えず、その影響を受ける業界では早期退職の話が出るかも知れない。また、役職定年は現在は55歳位であるが、これが50歳位になる可能性は無いとは言えない。さらに、年収1000万円以上の場合、ボーナスの割合が多いとボーナス支給額を減らすと大幅な年収ダウンにもつながりかねない。

2. 年収1000万円以上でも、ゼネラリスト型のサラリーマンに転職・起業は可能か?

現状は年収1000万円以上であるが、60歳まで今の会社は面倒を見てくれるのだろうか?60歳まで雇ってくれたとしても、年収は現状を維持するのが可能なのか?こういった不安を持つ大手企業勤務のサラリーマンはいるだろう。

そういう不安を持った場合の対応策としては、在職中の会社に見切りをつけ、転職や起業をするというのが選択肢の1つとなろう。

しかし、そもそも、今の会社が自分を雇い続けてくれるのかについて自信が持てないサラリーマンが、一念発起、起業をしようとは普通は考えないだろう。従って、この選択肢は現実的ではない。

それでは、転職するというのはどうだろうか?
その場合は、どういった業界・企業に、どういったポジション・年収で転職が可能なのかが気になるところである。この点は、自分で考えていても答えは見つからないので、転職エージェントに相談する他ない。

3. エージェントに複数登録して、自分の市場価値を正確に把握すること

①先ずは、複数の転職エージェントに登録をして面談をしてみる

外資系やベンチャー系企業において見られる、非常に転職回数が多い人のことを「ジョブホッパー」と言うが、転職時においては警戒されがちである。何故なら、当社に来たとしてもすぐに辞めてしまうと思われてしまうからだ。従って、一般的には転職回数が多くなり過ぎないように留意する必要がある。

他方、日本の大企業のサラリーマンにありがちなのは、40歳を過ぎても転職経験が1社もない「転職童貞」である。これはこれでまた厄介である。

何故か?そもそも1回も転職したことが無いので、転職の仕方がわからない。下手をすると、エージェントに登録したことが無い、更には、レジュメを書いたことすらない人もいるだろう。当然、自分の市場価値もわかっていない。そうなると、急に会社の業績が傾いたり、或いは、突然予期せぬ左遷をされたりして、急に転職をしなければならない状況に陥った際には、何をやればいいかがわからないのである。

また、採用側企業からの視点でも「転職童貞」は必ずしも歓迎しない場合がある。「転職童貞」は1社しか知らないので、その他の業界や企業での仕事の仕方はよくわからないことも多い。20年以上1つの会社でしか働いたことが無いと、転職して新しい職場に柔軟に馴染めるのか不安視されても不思議ではない。

このように、「転職童貞」の場合は、いろいろな問題があるのであるが、転職の可能性を検討するにあたっては、先ずは転職エージェントに登録をしないと始まらない。

その際には、リクルート1社にだけ登録するのではなく、パソナ、マイナビ、エン・ジャパン、JAC等、大手には複数登録する必要がある。何故なら、大手と言っても1社で全ての企業をカバーできるわけではなく、得意・不得意があり、多くのエージェントに登録した方がより多くの転職機会が与えられる可能性が高いからである。また、エージェントの担当者にも優秀な担当者とそうでない担当者、また、相性の良い担当者と悪い担当者がいる。多くのエージェントに登録すると、優秀な担当者、相性の良い担当者に出会える可能性も高まるのである。

従って、面倒ではあるが、頑張ってなるべく多くの転職エージェントに登録をしたい。

②登録をした後は、担当者と実際に面談をしてみる

40代で年収1000万円以上、大手勤務であれば、登録したうちの数社からは面談の連絡が来るだろう。その際は、メールでのやりとりだけではなく、実際にエージェントと面談をするべきである。今では、リモート対応も可能なはずである。実際に面談した方が、案件の数や応募した場合の可能性など、いろいろ聞きやすいし、その際のニュアンスも伝わり易いからである。このため、このプロセスでも面倒臭がらずに、積極的にエージェントと面談をしたい。

③専門スキルが無いと、紹介案件の条件にショックを受けるかも知れないが…

予め言っておくと、転職可能な案件は複数、大手の転職エージェントであれば提示してくれるだろう。しかし、残念ながら、これといったスキルが無い40代サラリーマンには、現状年収1000万円以上でも、それを維持できるような案件は多くないはずだ。

これは、ジョブ型ではなく、メンバーシップ型のゼネラリストを量産する日本の大企業では仕方がないことかも知れない。

海外勤務経験が無く英語も出来ないので、グローバル案件は無理。そして、経理財務、人事、法務知財、マーケティング、広報IRといった専門性が特に無い。また、営業経験が長いと言っても、既得意法人のルート営業がメインで、光通信の様な泥臭い新規開拓営業はやったことが無い。こういう人材には、たとえ学歴・会社名が良く、職歴が長くても、年収1000万円以上を簡単に用意しようとは思ってもらえないものなのである。

④ベンチャーにも相手にされない…。意外に厚い40歳の壁

年収が下がる案件しか紹介されないのであれば、それなら、ベンチャー企業に幹部社員として転職して1発逆転を狙いたい。こう考える人もいるかも知れない。

しかし、ベンチャー企業に応募をしたとしても大抵の場合、書面で落とされるだろう。それは、スキルの問題ではなく、年齢の問題であることが多い。「40歳」という数字を見ただけでゴミ箱直行。こういうベンチャーも少なくない。

その理由は単純で、ベンチャー企業は若い人達が多く、経営者が20代かせいぜい30代という場合も少なくない。そうすると、自分よりも年上の部下を持ちたくないと考えるのは普通だし、ベンチャーは社員数が少なく雑用も多い。従って、40代の人にはいろいろと仕事も頼みにくいし、大企業に長く染まった人をベンチャー企業はあえて欲しいとは思わない。

ベンチャー企業の年齢の壁は意外に厚く、専門スキルがある人でさえ、年齢で切られてしまうという話はよく聞く。もちろん、プログラミング技術に長けたIT人材や、金融免許関係で経験者が求められるフィンテック系企業においては、40代でもOKな場合はある。しかし、一般的には、ベンチャー企業の場合、年齢の壁は厚いと思っておいた方がいい。

大企業の優良案件が無いのは仕方が無いにしても、ベンチャー企業からも相手にされないとなるとショックかも知れない。

4. 転職が難しいからといって、やってはいけないこと

あまり無いかと思うが、転職でいい案件が無いから、それなら起業・独立して見返してやるという考えは起こさない方が良い。それには相応の準備が必要であるので、いきなり会社を飛び出すのはリスクが高すぎる。

また、まじめなタイプな大企業のサラリーマンが陥りがちなのは、資格取得に走ることである。さすがに、働きながら司法試験(予備試験)や公認会計士試験を目指す人はいないと思うが、司法書士、税理士といった難関資格に走ろうとする人はいるだろう。

40歳を過ぎると普通は記憶力も低下するので、働きながらの難関国家資格は厳しい。仮に合格できたとしても、その資格だけで高給で雇ってくれるところはない。そうなると、結局、開業して集客できるかの勝負になるわけだが、そんな営業力があるのであれば、サラリーマンで頑張った方がいい。この点については、予備校のパンフレットに踊らされることなく、冷静に判断したい。

5. 結局、最も手堅い方法は、今の会社で働き続けることを前提したキャリアプラン

①今の会社で働き続けることが必ずしも悪いわけではない

40代の年収1000万円以上の大企業サラリーマンは、転職・起業するよりも、今の会社で働き続けた方が「生涯賃金」や「社会的ステータス」という観点から最も有利であることが多い。

これは必ずしも悪いことではなく、途中でより良いポジションの転職先が見つかれば転職すればいいし、副業・兼業である程度稼げるようになれば長期的に年収を維持・向上させることも可能だ。また、起業・独立するにしても、副業でお試ししてからでも遅くは無い。

今の会社で働き続けるという状況は変わらなくても、自分に最も都合が良いように会社を使い倒せばという考え方ができれば将来は違って来るはずだ。

②今の会社で出世を目指す

在籍中の会社で出世が見込める状況にあるのであれば、将来を不安視しないかも知れない。しかし、もし出世が可能であるならば頑張る価値はあるだろう。何故なら、執行役員・部長クラスになれば、経営職層ということで市場価値が上がり、新たな転職市場に入っていけるからである。

経営職層もゼネラリストなので、課長クラスと別扱いされるのは不思議だが、この点は事実であるのでなれるものなら頑張った方が良い。

③今の会社で市場価値が高まるポジションを狙う

大企業の場合、40代になると、幹部候補の選別はある程度できてしまっているので、出世は狙いにくいかも知れない。

しかし、そういう場合には「市場価値」を基準に社内異動を狙うという戦略を採れば良い。例えば、経理財務、人事労務、法務知財、広報IR、マーケティングといったところだ。反対に、経営企画、事業開発といった企画系の部署は社内ではエリートでも市場価値が必ずしも高いとは限らないので要注意である。

また、そういった職種に就けるのであれば、関係会社への出向も選択肢となる。その際に、タイトルも上げてもらえるのであれば尚良い。

日本の大企業の社内異動が良いのは、たとえ十分な業務経験やスキルが無くても異動先で受け入れてもらえることである。こういう機会は十分に活用したいものだ。

どういった職種が市場価値が高いかについては、前述したエージェントとの面談の際に聞いておくといいだろう。

④副業を頑張る

社内出世や社内異動は、自分がいくら頑張ったところで思うようにならないかも知れない。
しかし、そういった場合は副業を頑張るという手がある。現状の部署で仕事内容が変わらないのであれば、副業を頑張る余力はあるだろう。

副業と言っても、いろいろなものがある。スポットでの軽作業のアルバイトのようなものから、イラスト等のちょっとした技術をココナラで提供をしたり、ブログの様な情報発信、更には、せどりやEC等の物販まで様々である。

単純作業の様な時間を売る副業は展開力が無いから意味が無いという意見もあるが、とりあえずはそれでもいいと思う。何故なら、サラリーマンが給料以外で収入を得ることができると金額以上の自信や充実感を持つことができるからだ。

大企業のエリートサラリーマンであれば、コツコツ情報発信をして、徐々にPVやフォロワーを増やすという方法が向いている気もするが、それにはかなりのスキルを要するし、スキルを得るためにはある程度の資金をつぎ込むことが求められる。

そこで、とりあえずは、クラウドワークスやランサーズでライティング等の単純な作業を始めてみれば良い。また、メルカリやヤフオクでの販売が得意なのであれば、それを拡げてみるのでも良い。

とりあえず、副業で月5万円を目指してみれば実現は十分可能であろう。

情報発信については、後日、別記事で検討したい。

まとめ

本来安泰であったはずの年収1000万円以上のサラリーマンも、将来それが保証されるとは限らない不安な時代になってきた。

しかし、良くも悪くも、急激な変化がすぐに起こるとは思えない。
今の40代の大企業のサラリーマンは、何だかんだ言って、ギリギリ逃げ切ることができるのではないか?

そうであれば、その環境を最大限活かして、今の会社に在籍し続けることを前提に、社内異動による市場価値アップや副業による収入源の多様化を目指せばいいのではないだろうか。

そのためには、前提として、複数の転職エージェントに登録をして、自分の市場価値を正確に把握しておきたい。

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