40代対象の国内金融機関の転職市場拡大。気になる年収や対策は?

1. 国内金融機関の40代対象の転職市場が拡大中

①35歳転職限界説は完全に崩壊?

先日、国内系大手のエージェントと話したところ、国内金融機関の40代を対象とした転職市場が拡大しているという。従来は、転職をするには35歳が限界という話もあったが、最近では完全に崩壊しているという。

終身雇用が将来も維持されるかとか、役職定年制の前倒しなど、現在40代の国内金融機関勤務のサラリーマンはいろいろとキャリアに関する不安を抱えているだろう。そうした中、40代でも転職のチャンスが増えているというのは悪い話ではない。

②40代を採用対象に拡げている国内金融機関

その大手エージェントによると、採用対象を40代まで拡げている国内金融機関は、証券、アセマネから最近ではメガバンクまで、非常に幅が広いという。

2. 国内金融機関が採用対象者を40代まで拡げる理由

国内金融機関は年功序列・終身雇用型の人事制度を採用しているところが多く、一般的には40代以上の管理職のポジションは不足しがちである。また、どうせ採用するなら柔軟性があり使いやすい若手を採りたいという人が多そうである。

しかし、特定の専門職においては、人材が不足し始めているという。
その理由は、リーマンショック後の採用減によるしわ寄せが出始めていることである。リーマンショックは2008年9月の出来事だが、その影響は非常に大きく、その後数年間は金融機関が新卒採用を大幅に抑制した。それから十数年が経過し、今頃中堅どころの社員になっている層が明らかに不足しているそうである。

このため、30代前半の国内金融機関で専門スキルを有する人材は当然不足しているが、その影響が40代にも及び、求人ニーズが高まっているのだという。

もう1つの理由は、部門別採用の浸透に伴い、他部門からの社内異動が簡単にできなくなったことである。20世紀は、国内金融機関は基本的に部門別・職種別採用を行っていなかったが、21世紀以降は徐々に部門別・職種別採用が拡がった。今の若手社員は、転職能力やスキルに拘るので、配属先や職種を確約しないと、良い人材を確保できない。このため、IBD、グローバル・マーケッツ、IT等、今では国内金融でも部門別採用が定着している。

部門別採用で入社した人達は部門から出たくないので、部門超えの異動には本人だけでなく部門長も納得してくれない場合も多い。そうなると、専門スキルを有する社員が外資等に転職した場合には、社外から人材を補充する必要が生じることになる。

そういった事情があり、また、コロナ下においても相場が強い現状において、40代の採用ニーズが高まっているのだという。

3. ニーズのある職種は、市場系、機関投資家営業系

国内金融機関が40代まで採用対象者を拡げているといっても、対象となる職種は市場系、機関投資家営業系の金融専門職がメインとなる。

証券会社や銀行の場合、M&A等のコーポレート・ファイナンス関係、トレーディング、デリバティブ等の市場系、金法・年金を対象とした機関投資家営業職がこれに該当する。

運用会社(アセマネ)の場合は、機関投資家営業、投資信託営業、再委託を含む運用関係、に加え、最近ではオルタナやSDGs関係の求人が増えているという。

また、バックオフィスでも、オルタナに強いコンプライアンス職や、DX関係のIT職のような特定の高度な専門スキルを有する人の場合、40代でも非常にニーズは高いという。

他方、国内リテール業務の場合、M&A仲介や外資系生保の歩合営業職は昔からあるが、それ以外に年収をキープできる良いポジションはなかなか無いそうだ。将来的には富裕層向けのポジションは増える可能性はあると思われるが…

4. 40代を対象とした国内金融機関のポジションの年収水準

国内金融機関の場合、リーマンショック前に見られた、数千万円クラスの高年収も期待できたプロ職のポジションは今ではそれほど多くは無い。もっとも、40代の管理職ということとなると、それなりの高年収は期待できる。

例えば、40代の担当部長・次長クラスであると、1500~1700万円位のポジションは見つかる。国内金融の場合は、2000万円の壁はあるようだが、1500万円であれば可能性はある。メガバンクの場合、50歳を過ぎると出向が見えて来るので、60歳まで働くことが可能な証券やアセマネに転職できれば生涯賃金を増やせる可能性はある。

また、アセマネの場合、国内系で実績・経験を積むと、将来外資系アセマネに転職できる可能性も生じるので、アップサイドも期待できる。

このあたり、現在の会社で働き続けた場合と、転職した場合について、生涯賃金、ポジション、やりがい等、いろいろ考えて行動する必要があるだろう。

5. 40代で国内金融に転職するためにやるべきこと

40代になるまで同じ会社で働き続けている場合、転職ノウハウが無い場合が多い。
転職の場合は就活と違って、求人情報は誰も教えてくれないし、OB訪問も無い。

従って、幅広く転職エージェントに登録して、十分な情報収集を行い、レジュメの作成から面接準備まで対応する必要がある。

なるべく多くの求人情報を収集し、適切なエージェントの担当者を見つけるには、地道に数多く転職エージェントに登録するしかない。

そのためには、リクルート、パソナ、エン・ジャパン、ビズリーチなどの名の知れた大手エージェントに登録するのは当然として、国内系では金融に強いJACや、コトラ等にも登録すべきだろう。他にも、「国内金融、転職」でGoogle検索を掛けて、良さげなエージェントがあれば登録してみれば良い。

登録はこちら(JACの公式サイト)

<コトラ>
https://www.kotora.jp/

国内金融の場合、40代での転職は難しかったが、専門職人材は不足し始めてきている。初めての転職は、いろいろと大変だが、キャリアの選択肢が拡がるのは非常に良いことである。生涯賃金ややりがいを高めることが可能なら、40代の転職に挑戦してみるのも悪くないだろう。

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