1. 法政大学経営学部の概要
法政大学経営学部は定員761人、経営、経営戦略、市場経営の3学科から構成される学部である。
学生の男女比率については、約2:1で、男子学生の割合が高くなっている。
同じビジネス系の学科として、法政大学経済学部との異同が気になるところであるが、最大の相違点は、キャンパス立地ではないだろうか。
経営学部は市ヶ谷の高層ビルにあるが、経済学部は西八王子駅からバスで10分程の郊外にある(多摩キャンパス)。
都心が好きか郊外が好きかは人それぞれかも知れないが、最近の傾向だと、圧倒的に都心立地が好まれるようで、それが理由かどうかは断言できないが、偏差値についても経営学部の方が経済学部より若干高いようである。(パスナビ情報)
https://passnavi.evidus.com/search_univ/3050/campus.html
2. 法政大学経営学部の就職について
①大学の公式HPによる開示について
2018年度の法政大学経営学部の卒業生は750人である。
そのうち就職する者は約700名である。
就職者のうち、公務員が4.0%のシェアであり、多数の者は民間企業に就職している。
業種別で見ると、金融・保険がトップシェアであり、20.5%を占めている。
続いて、サービス業が16.5%、情報・通信が15.3%、卸・小売りが13.9%、製造業が13.6%となっている。比較的、業種は分散されているようだ。
https://www.hosei.ac.jp/careercenter/syushoku/gakubu/keiei/
②具体的な就職先について
法政大学経営学部の公式HPの具体的な就職先の開示は十分とは言えない。
主な就職先が以下の通り、列挙されているが、各社毎の就職者数等は開示されていない。
サントリー、ロッテ、大成建設、パナソニック、パイロットコーポレーション、富士通、シャープ、TOTO、双日、住友商事、丸紅、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ銀行、三井住友海上火災保険、日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険、東京海上日動火災、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、京王電鉄、JALスカイ、日本航空、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、NTT東日本、東京放送ホールディングス(TBS)、EY新日本有限責任監査法人、楽天、JTBグループ、有限責任監査法人トーマツ、東京国税局
3. 法政大学経営学部の就職に対する評価
上のリストの企業だけだと、就職者全体のほんの一部しかカバーできないので、何とも評価しにくいところである。
但し、金融・保険がトップシェアであることもあり、メガバンク、大手生命保険、大手損害保険、大手証券に広く就職実績があり、大手金融機関については相応の存在感がありそうだ。この点は、法政大学経済学部とも類似していると言えよう。
情報・通信のシェアが15.3%と比較的高いが、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクには就職実績がある。また、超難関企業である東京放送ホールディングス(TBS)に就職した者もいるようで、この点は注目される。
それ以外では、住友商事、双日という総合商社の実績が見られる。
2018年度においては、経済学部の具体的な就職先の中には、総合商社が見られなかったので、このあたりの経営学部の実績は評価できるだろう。
もっとも、経済学部では見られたアクセンチュアについては、経営学部においては見当たらず、経営学部という性質上、総合系コンサルティング・ファームへの就職実績は望まれるところだ。
また、EY新日本有限責任監査法人と有限責任監査法人トーマツの就職者がいるようだが、これは法政大学が公認会計士試験で一定の存在感を示していることに起因するものだろう。
4. 法政大学経営学部の就職における課題
まず、課題としては2018年度における業種別のトップシェアである就職先の金融・保険についてどう考えるかである。
これは、法政大学経営学部だけの問題ではないが、早慶、MARCH、関関同立といった有力私立大学の文系学部において、全般的に金融機関のシェアが低下してきている。
その背景としては、アベノミクスの好況期において、メガバンクを中心に大量の新卒採用を行ってきたが、超低金利による収益の低下や実店舗や人員の余剰化の問題が生じ、銀行が近年大幅に新卒採用者数を削減したからである。
大手生損保や大手証券会社については、銀行ほどに顕著に減らしていないが、特に証券業界は手数料ゼロ化や顧客の高齢化といった構造的な問題点の影響もあり、今後は新卒採用者数を削減していくリスクがある。
大手生損保についても、少子高齢化で縮小していくであろう国内市場がメインであるので、長期的には楽観できないだろう。
そう考えると、今までの様には大手金融機関には入社が難しくなるので、情報通信、製造業、その他サービス業務も検討する必要が生じるのではないか。
また、MARCHの中でのステータスを上げるためには、外銀、コンサル、商社、大手マスコミ、外資メーカーといった就職難易度が高い企業に学生を送り込みたいところであるが、そこはなかなか簡単には行かないだろう。
そこで、何かしら、法政大学経営学部独自の強みやカラーを出したいところだ。
IT系、流通系、ベンチャー系等、切り口はいろいろ考えられるだろう。
さらに、今回のコロナショックでグローバル化は後退したようにも見えるが、長期的に見ると、いろいろな意味で海外に目を向けざるを得ないだろう。実際、帰国市場とか留学経験者は就活において強みを発揮している。このため、英語力の強化を図るためのサポート体制を充実するなどの対応が望ましい。