京都大学農学部、農学研究科【22卒向け】の進路と就職について

1. 京都大学農学部の進路と就職について

①京都大学農学部の進路について

京都大学農学部の2018年度における卒業者数は311名である。
男女比率は、7:3と男子学生比率が高いのであるが、京都大学工学部の男女比率(男性が約9割)ほど極端に高いわけではない。

そして、京都大学農学部の場合も、他の有力大学の理系学部と同様に、大学院進学率が極めて高い。京都大学工学部の大学院進学率9割には若干劣るものの、農学部も約8割の学生が農学研究科(大学院)に進学する。

従って、京都大学農学部を学士の段階で卒業する学生は、わずか53名に過ぎず、卒業生の約2割である。圧倒的な供給の少なさに加え、京都大学ブランドが加わるわけであるので、就職においては極めて高い競争力を有していると考えられる。

なお、京都大学の場合、学部、研究科別に、1名でも就職者のいる企業・団体について開示をしてくれているので、大変便利である。
https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/wp-content/uploads/2019/09/shiori2020.pdf

②京都大学農学部の就職について

京都大学農学部の就職者数は53名しかいないため、2名以上の就職先すらなく、全員が別々の会社に就職している。そこで、公務員等を除き、マニュアルで気になった企業を抽出すると以下の様になる。

農学部(就職者数 53名)
アビームコンサルティング
アマゾンウェブサービスジャパン
新政酒造
伊藤忠商事
エムスリー
オリックス
鹿島建設
関西テレビ放送
キーエンスソフトウェア
住友商事
住友倉庫
ソニーミュージックエンタテインメント
第一化成
大和証券
タマホーム
JR東海
東宝
トヨタホーム
JR東海西日本
ニチレイロジグループ本社
日本放送協会
ニトリ
ニトリホールディングス
日本航空
日本総合研究所
任天堂
PwCあらた有限責任監査法人
福井放送
富士通
三井住友海上火災
三井住友銀行
ライオン
リクルートメディカルキャリア

(出所:京都大学HP 「就職のしおり 2020」より、外資系金融キャリア研究所が抜粋)

全体的な特徴としては、いわゆる文系就職が多いのではないだろうか。
製造業の比率がそれほど高くはなく、金融、メディア、商社、コンサルなどが見られる。
例えば、伊藤忠、住友商事、オリックス、大和証券、三井住友海上火災、三井住友銀行といった文系の学生にとっての人気企業が散見される。

また、特徴としては、関西テレビ放送、日本放送協会、福井放送などのテレビ局への就職者もいた。

このあたりは、年次によって違うであろうから一般化できないかも知れないが、農学部特有の製造業に就職する者の割合は低いと言えそうである。

この傾向は、同じ京都大学の工学部卒(学士過程)と類似しているものと思われる。

<京都大学工学部、工学研究科の進路と就職>
https://career21.jp/2020-04-09-090158

2. 京都大学農学研究科(修士課程)の進路と就職について

①京都大学農学研究科(修士課程)の進路について

2018年度における京都大学農学研究科(修士課程)の卒業者数は331名である。
男女比率は、約2:1と農学部と同様に、男子学生の比率が高い。もっとも、工学研究科(約9割が男子学生)程には、男子比率は高くはない。

卒業生のうち、進学者数は39人と約1割強であり、残りの9割弱は就職をする。

②京都大学農学研究科(修士課程)の就職について

京都大学農学研究科(修士課程)からの就職者数が2名以上の企業は、以下の通りである。

(就職者が2名以上の就職先)
企業名 就職者数
サントリーホールディングス 6
旭化成 5
農林水産省 5
塩野義製薬 4
アクセンチュア 3
アサヒビール 3
江崎グリコ 3
花王 3
クボタ 3
タキイ種苗 3
日本水産 3
日本たばこ産業 3
富士通 3
三井住友銀行 3
ヤンマー 3
味の素 2
OATアグリオ 2
キリンホールディングス 2
国土交通省 2
昭和産業 2
住友化学 2
大和証券グループ本社 2
宝ホールディングス 2
テイエルブイ 2
東レ 2
日清フーズ 2
日本製粉 2
日本ハム 2
農業・食品産業技術総合研究機構 2
パーソルテンプスタッフ 2
ハウス食品 2
パナソニック 2
扶桑化学工業 2
明治 2
森永製菓 2

(出所:京都大学HP 「就職のしおり 2020」より、外資系金融キャリア研究所が抜粋)

③京都大学農学研究科(修士課程)の就職の特徴について

こちらは、農学部の学士過程の就職先と打って変わって、いかにも農学部的な食品、バイオ、化学系の製造業が並んでいる。

サントリーホールディングス、旭化成、塩野義製薬、アサヒビール、江崎グリコ、花王、タキイ種苗、日本水産、日本たばこ産業、味の素、キリンホールディングス、昭和産業、住友化学、宝ホールディングス、東レ、日清フーズ、日本製粉、日本ハム、ハウス食品、明治、森永製菓…、と大半がそれっぽい企業では無いだろうか。

しかし、興味深いのは、コンサルティング・ファームへの就職者が結構目立つことだ。
アクセンチュア(3名)、EYアドバイザリー&コンサルティング、KPMGコンサルティング、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに加え、マッキンゼーとBCGが光る。

また、農学研究科レベルでも、金融や商社への就職者はいる。三井住友銀行、大和証券グループ本社、日本政策金融公庫、野村證券、三井住友アセットマネジメント、バークレイズ証券、総合商社では、伊藤忠、住友商事、双日、三井物産などである。

さらに、イトクロ、サイバーエージェント、DeNAといったベンチャー企業や、TBSテレビ、テレビ朝日というユニークな就職先も見られる。

なお、関西ローカル系企業としては、大阪ガス、近鉄グループホールディングスなどは見られるが、目立った存在では無さそうだ。

④農学研究科(博士後期課程)の進路について

最後に、農学研究科(博士後期課程)37名の進路について見てみたい。
さすがに、ここまでくると民間企業への就職者は少なく、大学に残ったり、研究機関に行く卒業生が多そうだ。

京都大学(PD)、農業・食品産業技術総合研究機構(PD)、基礎生物学研究所(PD)、産業技術総合研究所(PD)、森林研究・整備機構、水産研究・教育機構、東京大学(PD)、日本原子力研究開発機構(PD)、農業・食品産業技術総合研究機構、三菱総合研究所や、海外の大学・研究機関に行く者も目立つ。

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