京都大学工学部及び工学研究科【22卒向け】の進路と就職

1. 京都大学工学部の進路と就職について

①京都大学工学部の進路について

京都大学工学部の2018年度における卒業者数は983名である。
男女比率は、9:1と、他の有力大学の工学部と同様に男子学生比率が圧倒的に高い。

そして、京都大学工学部の進路における最大の特徴が、約9割が工学研究科(大学院)に進学することである。

従って、京都大学工学部を学士の段階で卒業する学生は、わずか106名に過ぎず、卒業生の1割程度である。現在では、AI/IT、DXの重要性が問われており、京都大学工学部というブランドに加え、供給が少ないことから、就職については極めて高い競争力を有しているものと思料される。

なお、京都大学の場合、学部、研究科別に、1名でも就職者のいる企業・団体について開示をしてくれているので、大変有難い。
https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/wp-content/uploads/2019/09/shiori2020.pdf

②京都大学工学部の就職について

京都大学工学部の就職者数は106名しかいないため、就職者が1人のみの企業が非常に多い。そこで、2名以上の就職者がいる企業を抽出すると以下の様になる。

(就職者が2名の企業)
企業名 就職者数
全日本空輸 2
ダイハツ工業 2
中部電力 2
JR西日本 2
野村総合研究所 2
PLAN-B 2
ベイカレント・コンサルティング 2
楽天 2
リクルートホールディングス 2

(出所:京都大学HP 「就職のしおり 2020」より、外資系金融キャリア研究所が抜粋)

また、就職者が1名の企業のうち主な企業を、カテゴリー別に分類すると以下の様になる。

(就職者が1名の主な就職先企業)
コンサルティング アクセンチュア、シグマクシス
金融 みずほFG、三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガンスタンレー証券
商社 三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠
ベンチャー DeNA、ドリコム、ユーザーベース、リブセンス、UUUM
外資系 日本マイクロソフト、P&G

(出所:京都大学HP 「就職のしおり 2020」より、外資系金融キャリア研究所が抜粋)

全体的な特徴としては、工学部を学士段階で卒業して就職する場合には、いわゆる文系就職が多いということである。メーカーの比率がそれほど高くなく、反対に、コンサルティング、金融、商社、ベンチャー、外資系といった文系に人気の業種に広く分散していることが特徴である。

この点については、慶應義塾大学理工学部の学士過程卒業者の就職と共通点があると言えるだろう。

<慶應義塾大学理工学部の就職と課題>
https://career21.jp/2020-04-06-163915

2. 京都大学工学研究科(修士課程)の進路と就職について

①京都大学工学研究科(修士課程)の進路について

2018年度における京都大学工学研究科(修士課程)の卒業者数は708名。
男女比率は、工学部同様に、約9:1と、圧倒的に男子学生の割合が高い。

卒業生のうち、進学者数は71人と約1割であり、残りの9割は就職をする。

②京都大学工学研究科(修士課程)の就職について

京都大学工学研究科(修士課程)からの就職者数が4名以上の企業は、以下の通りである。

(就職者が4名以上の企業)
企業名 就職者数
トヨタ自動車 13
旭化成 12
関西電力 12
東レ 12
パナソニック 10
清水建設 9
ダイキン工業 9
大林組 8
川崎重工業 8
日立製作所 8
住友電気工業 7
日建設計 7
三菱重工業 7
三菱電機 7
花王 6
国土交通省 6
JFEスチール 6
JR東海 6
JR西日本 6
日本製鉄 6
富士フィルム 6
鹿島建設 5
クラレ 5
建設技術研究所 5
国際石油開発帝石 5
ソニー 5
JR東日本 5
ブリヂストン 5
三菱ケミカル 5
IHI 4
アクセンチュア 4
大阪ガス 4
キーエンス 4
三洋化成工業 4
積水化学工業 4
大成建設 4
竹中工務店 4
デンソー 4
NTT西日本 4
日産自動車 4
日鉄エンジニアリング 4
日東電工 4
日本工営 4
野村総合研究所 4
阪急阪神ホールディングス 4
P&G 4
本田技研工業 4
マツダ 4
三井化学 4

(出所:京都大学HP 「就職のしおり 2020」より、外資系金融キャリア研究所が抜粋)

③京都大学工学研究科(修士課程)の就職の特徴について

先ず、工学研究科(修士課程)の就職の最大の特徴は、典型的な理系型の就職であって、上位を見ても、トヨタ自動車、旭化成、東レ、パナソニック、川崎重工業、日立製作所など、日本を代表する製造業が上位に並ぶ。

また、建築・土木系かと推察されるが、トップ10の就職先に、清水建設、大林組、日建設計と建設関係が並んでいるのも特徴であろう。

他方、工学部(学士過程)とは異なり、コンサル、商社はそれぞれ一桁であり、比率で見ると1%にも満たず、少数派となっている。

金融機関も、JPモルガン証券、バークレイズ証券にそれぞれ1名ずつ就職しているのが注目されるが、他は、SMBC日興証券、大和証券、東京海上日動火災、日本政策投資銀行、みずほFG、三井住友海上火災等が見られるが、合計しても就職者数の2%程度であり、かなり例外的な位置付けである。

なお、関西電力(12人)、JR西日本(6人)、大阪ガス(4人)、阪急阪神ホールディングス(4人)等、関西ローカル企業への就職者も見られるが、それほど目立った比率ではない。
この点は、地方帝国大学との相違点だと思われる。

3. 京都大学工学部及び工学研究科の就職における課題

何と言っても、日本のトップ校の工学部、工学研究科の就職である。
文系の様に、僅かしか採用しない外銀・外コンに集中することは無いので、ほぼ希望するところには就職できるのであろう。

もっとも、課題があるとすれば、日本の産業界とか、大学の側からすると、ベンチャー起業等、新しいビジネスを創造し今後の日本の経済界を引っ張って行く卒業生をもっと増やす必要があるということだろう。成功しているベンチャー系企業の大半は東京発であるので、関西の経済界のサポートも含め、今後の躍進が期待されるところである。

また、学生の側からの課題とすれば、日本の産業構造が大幅に変容しているであろう20年後、30年後にも市場価値のある人材であり続けていられるかを意識することであろう。

一般的に、理系、特に修士課程卒業者の場合は、一定の専門性を有すると考えられるが、その専門性は特定の分野に限定されることが多いため、自分の働いている業界自体が傾くと、それに引っ張られて自分自身の市場価値も低下してしまうというリスクがある。

この点、外部環境の変化に合わせて、転職等も含め、自らの市場価値を落とさないよう柔軟に対応できる能力が求められるのではないだろうか。

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