医学部が難しい場合、歯学部はどうか?歯科医師の年収や開業について考えてみた。

1. 医学部の難化が著しい

21世紀に入り、医学部は継続的に難化傾向があり、この4~5年間で見ても難化傾向は止まりそうにない。

昔は、一部の私立大学の医学部では入りやすいところもあったが、今では入りやすい医学部などどこにも無い状況だ。

<医学部の難化>
https://lexus-ec.com/contents/nanka.php

2. 歯学部の難易度はどうか?

中高一貫校で6年間頑張ったところで、医学部に入れるわけではない。
そうなった場合、昔から、代替策として浮かぶのが、歯学部への切り替えだ。

医学部とは全く異なり、歯学部の難易度は高くない。
下のリンク先の記事によると、国立でも地方に行くと、偏差値55でも目指すことが可能だ。

また、私立大学の場合だと、私立歯学部御三家と言われる、日本歯科大学、日本大学歯学部、東京歯科大学でも偏差値55程度ということだ。この点、最低でも偏差値60は必要と言われる医学部とは難易度は全く異なっている。

<医学部と歯学部>
https://hensachimap.net/%E6%AD%AF%E5%AD%A6%E9%83%A8%E5%81%8F%E5%B7%AE%E5%80%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0

3. 歯科医師の年収

2017年に厚生労働省が公表した「賃金構造基本統計調査」によると、歯科医師の平均年収は約750万円ということになっている。

しかし、これは、勤務医も開業医も含んだ統計である。
勤務医として働いた場合は、450~800万円位のレンジとなっており、年収700万円位が多いようだ。勤務医のままだと、年収1000万超えは難しいとされている。

もっとも、開業した場合には平均年収は高くなるようで、大体年収1200万円位が目安のようだ。もちろん、他の士業や自営業の場合も同様だが、開業した場合はピンキリなので、上の方に行くと年収2000万とか3000万円の歯科医師も存在する。

<歯科医師の平均年収>
https://career-picks.com/average-salary/shikaishi-nenshu/

4. 歯科医師は、キャリアとして今でも魅力的か?

①コストや労力を考えると、魅力があるとは言えないかも知れないが…

他の職業と比較した場合、勤務医の場合でも、開業する場合でも歯科医師の年収は悪くないと言えるかも知れない。

しかし、6年間もかけて歯科医師免許を取得しなければならない上、開業する場合には4000~5000万円の初期投資がかかると言われている。

それらを考慮すると、歯科医師の年収は特別高いとは言えないだろう。
特に、医師と比較した場合には、医師は年収1000万円スタートで、勤務医でも1500~2000万円は期待できるし、開業した場合には平均2500万円程度の年収が可能だと言われている。
この差を考えると、歯科医師になるまでのコストや労力を考えると魅力的と言えるかどうかは微妙かも知れない。

②しかし、文系最高峰の資格職である弁護士や公認会計士と比較するとどうか?

しかし、医師の年収が恵まれているだけであって、文系資格の最高峰である弁護士や公認会計士と比較すると、悪くないかもしれない。

弁護士は従来であれば、独立すると年収2000~3000万円位は見込めたのだが、弁護士の供給増により、今では独立するのは厳しく、せいぜい1100~1200万円位の年収を実現できると悪くないと言われている。

公認会計士が独立した場合も(メインは税務業務であろうが)、ピンキリではあるが、売上ではなくネットの年収ベースだと歯科医師の平均とは大きく異ならないのではないだろうか?

③独立開業が可能な資格職の場合は、アップサイドが狙える魅力がある

歯科医師、弁護士、公認会計士ともに、独立した場合の平均年収は驚くほど高くは無いかも知れないが、それはあくまでも平均であって、頑張り次第で年収2000~3000万円も可能となるからだ。

この点は、年功序列の壁で、いくら頑張っても年収2000万円に到達できないサラリーマンとは全く異なる点である。(到達できたとしても、実現可能なのは50歳近くになってしまう。)

頑張り次第で、アップサイドが狙えるというのは、羨ましい話である。
(もちろん、初期投資の負担や、収入が保証されないダウンサイドのリスクもあるが…)

5. 歯科医師というステータスは今でも悪くないのではないか?

上記は年収中心に関する話であるが、歯科医師の大きな魅力として「ステータス」というものがある。

開業歯科医の数はコンビニより多いとか、今はそれ程稼げなくなっているということは、メディアなどで報道されてある程度浸透している。

しかし、まだまだ一般的な認知度・ステータスは高く、好き嫌いは分かれるかも知れないが、エリートサラリーマンよりも歯科医師の方が上位に扱われる場合も少なくない。

有名女性芸能人が歯科医師と結婚したという話題は時々聞くが、サラリーマンについてはその手の話はまず聞かないだろう。

歯科医師のネームバリューは決して低くは無いと思われる。

歯科医師は潰しがきくわけではないし、特殊な専門職なので、興味が無ければ無理して狙うべきではないだろう。

しかし、現状の医学部との難易度の格差、国公立でも地方に行けば十分狙える学部が存在することを考慮すると、逆バリ的かも知れないが、検討する価値は十分あるのではないだろうか?

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