序. Utsuさんと人生の目的論とは?
Utsuさんとは、人気の教育・キャリア系ユーチューバーで、そのチャンネル登録者数は20万人を超えている(2020年8月26日現在)。
Utsuさんは1976年1月生まれの44歳で、外資系IT企業の幹部を過去に務め、現在は独立して若手社会人や就活生向けにキャリアに関する番組をYouTube、Instagram等のSNSを通じて情報発信している。
Utsuさんの「人生の目的論」とは、その中でも特に人気のシリーズであり、タイトルには「20代」と付いているが、40歳以上でも十分に考えさせられる内容となっている。
YouTubeは20分足らずの番組なので、是非視聴して見ることをお勧めする。
1. 「人生の目的」とは?
①何故、「人生の目的」が必要なのか?
何のために働いているのだろうか?
何故、働くために、毎朝満員電車に乗って、毎晩残業し、10年間働いても100万円しか年収が上がらない仕事を続けているのだろうか?
生活していくためにお金がいるから仕方なく働くとか、みんながそうしているからが答えだろうか?
しかし、自分の人生、どこを向いて生きて行くのかという「人生の目的」があれば、それはモチベーションの源泉であり、無い場合と比べて、全然異なる納得感を持った人生を送ることが可能となる。これが、「人生の目的」を見つけることの意義なのである。
②「人生の目的」の性質
「人生の目的」は、「方向感」である。
測定は不可能であり、到達することも不可能である。ただ、生きて行く上での指針となるものである。
この点は抽象的でわかりにくいかも知れないので、以下の、Utsuさん自身のケースを見た方がイメージが掴みやすいと思われる。
2. Utsuさん自身の「人生の目的」について
①Utsuさん、1社目のベンチャー企業で「人生の目的」に気づく
Utsuさんは就活時点では「人生の目的」は発見できず、やる気を失い、ベンチャー企業に就職したそうだ。
そして、1年目の正月に、ふと、「効率の悪い企業を正したい」という「人生の目的」を意識した。
その背景としては、Utsuさんが新卒で就職したのベンチャー企業だったので、全般的に効率の悪い働き方をしていた。Utsuさんは営業マンだったのだが、マニュアルで効率の悪い作業を、自分が簡単なプログラムを組んで効率性を改善することに成功した。
このことをきっかけに、上記の人生の目的を認識するようになったのだ。
②2社目は、「人生の目的」に合致した外資系企業を選択
「効率の悪い日本企業を正したい」という「人生の目的」が明確になったため、Utsuさんはベンチャー企業を辞めて、企業の業務効率性を改善する目的のサービスを提供する外資系企業に転職した。
③「人生の目的」の方向性に合致した仕事はスイスイ行く
「効率の悪い日本の製造業を正したい」という方向感に、2社目の外資系企業が提供するサービスはピタリと合致していた。このため、Utsuさんのモチベーションは高位に維持され、Utsuさんの仕事は極めて順調に進捗した。
その結果、Utsuさんは20代でありながら、その外資系企業の世界でのトップセールスにまでなることができた。
④高まる達成感
Utsuさんが選択した会社のプロダクトは、「人生の目的」に合致した業務内容であった。このため、高いモチベーションを持って働くことができたので、周りの人以上の努力もUtsuさんは苦にはならなかった。
そして、セールスマンとして成功し、外資系企業なので成果に応じて収入も増えた。
しかし、Utsuさんにとって、何よりも充実感や嬉しさを感じることができたのは、顧客に喜んでもらえたことであった。そして、この仕事を長年継続するにつれて、遂には、この「人生の目的」の達成感を感じるまでになったのだ。
⑤新しい「人生の目的」
Utsuさんは40歳を過ぎた頃、「効率の悪い日本企業を正す」という当初の「人生の目的」については達成感が生じてきた。
すると、新しい、より高次な「人生の目的」として、「日本を一流国であり続けること」、そして、そのために「若者の自力を上げる」という新たな目的を意識するようになった。
このため、UtsuさんはYouTube等で情報発信をするようになったのだが、当初はチャンネル登録者数が2000程度であったが、新たな「人生の目的」というモチベーションに支えられ、意欲を持って継続し、この番組の放映時(2019年2月)にはチャンネル登録者数は7万人以上になっていたのだ。
3. まとめと感想
以上の様に、「人生の目的」という生きることの方向感を見つけたことによって、高いモチベーションに支えられて、Utsuさんは充実した人生を歩むことができたのだ。
①「人生の目的」は方向感である
「人生の目的」を明確に持つことの意義として、自分の成長を感じることができる。その方向に向かって進みさえすれば、その過程で苦労することがあっても、self-motivateをした生き方が可能になる。
言い換えれば、それは、会社に過度に依存する必要が無くなるとも言える。例えば、大きな会社に勤めていても、今後そういった会社が傾くことは考えられる。そういった場合でも、「人生の目的」さえしっかりしていれば、会社はその手段に過ぎないので、他の選択肢を見つけて充実した人生を歩み続けることが可能になる。
②ホワイトカラーにこそ「人生の目的」は重要
美容師とか看護師をやっている場合、ある程度方向感は見えやすいかも知れない。
しかし、ホワイトカラーのサラリーマンというのは、仕事の範囲が広範過ぎて、方向性というのが掴みづらい。
また、達成感というのが感じられず、給料が下がったり、結果が出せなかったり、辛いことがあると持たなくなってしまうのだ。
このため、ホワイトカラーこそ、しっかりと「人生の目的」、即ち、人生の方向感をキッチリと見つけることが必要となるのである。
③何故「20代」か?
このUtsuさんのYouTube番組には「20代」という記載があるが、これは、20代であれば、結婚・子供といった家庭に関する制約が無いため、自由に「人生の目的」、その方向感を見つけたり、変えたりできるからである。
30歳を過ぎて、子供がいたりすると、自由に「人生の目的」に沿った行き方が出来ない場合があるからである。
従って、そういった制約条件がなければ、このUtsuさんの「人生の目的」の考え方は、30代でも、40代でも通用するものである。
④40歳以上のサラリーマンこそ、「人生の目的」について考えてみたい
Utsuさんは30歳を過ぎて家庭を持った場合には、「人生の目的」に沿った行き方を自由を行うには制約が多いかも知れないということに言及されていた。しかし、現代社会においては、40歳を過ぎて独身の人達もいるし、結婚はしたが離婚をしている人もいる。また、家庭による制約があった場合でも、いずれ子供は成人していく。
そう考えると、40歳を過ぎても、「人生の目的」を発見し、それに即した生き方をしていく可能性は十分あるのである。特に、40歳を過ぎたような場合には、若さという武器は失われる反面、過去の経験やスキル、人によっては金銭的な資産を有しているだろう。
そうであれば、過去の経験や資産を参考にして、自分自身の将来の「方向感」を見つけやすい位置にあるとも言える。確かに、40歳を過ぎると転職価値・転職可能性は若い人達と比較して急に厳しくなるが、「人生の目的」、「方向感」に向かっていくことは必ずしも転職のし易さに拘束されるものではない。
年を取れば取るほど、むしろ、残された将来の時間の大切さは高まることになるので、若い人以上に、真剣に「方向感」を持った生き方をしていくことが可能なのではないだろうか?
人生100年時代とも言われる今日において、40代でも残された時間は十分にあるはずなので、「人生の目的」「方向感」について再考してみたいところだ。
なお、Utsuさんの「人生の目的」については、複数の番組があるので、自分に合ったものを是非視聴していただきたい。
<Utsuさん「20代 社会人 人生の目的」>
https://www.youtube.com/watch?v=uQR3_OKnMJI