国内系運用会社(アセマネ)に第二新卒で中途採用されるために必要なこと

1. 国内系運用会社に第二新卒で転職することの狙い

国内系運用会社は基本的にどこも大量採用ではないものの、新卒採用を実施している。
運用会社で働きたいのであれば、新卒で入社すればいいのだが、何故あえて第二新卒で運用会社に転職する意味があるのだろうか?

その狙いとして考えられるのは、目先の年収やステータスといった待遇よりも、金融プロフェッショナルとしてのスキルを習得して市場価値を上げたいからではないだろうか?

国内系運用会社は、銀行・証券・保険会社の子会社であることが多く、その場合、年収が親会社の8掛け位だったり、執行役員・部長クラスに親会社から天下ってくるために将来の幹部ポストが少ないというデメリットがある。

このため、新卒段階では、親会社である大手金融機関をとりあえず選択することが無難と考えられ、多くの就活生は運用会社ではなくそちらに就職するのであろう。

しかし、大手金融機関の多くはリテール関連の仕事やミドル・バック系の仕事であったりするので、入社をすると市場価値や転職価値に不安を感じることになる。

そこで、目先の給与水準や知名度は低くても、運用会社としての確固たるスキルをつけて、将来は外資系運用会社への転職も視野に入れようと考える者がでてきても不思議ではない。

2. 国内系運用会社の第二新卒市場について

国内系運用会社に中途採用で入社した人や、国内系大手の転職エージェントの人達と話してみたのだが、結論的には、国内系運用会社の第二新卒市場は大きくは無い。

国内系運用会社は大手で10社以上存在し、会社数としては少なくないのだが、全体の社員数は多く無いので、第二新卒の採用枠も親金融機関ほど多くは無い。

各社、常に募集枠があるわけではなく、時々募集をするところがあるというイメージである。

従って、どこの会社が第二新卒を募集しているかを的確につかむことが転職するために先ず必要となる。

3. 第二新卒として採用されるためのスペック

国内系運用会社の第二新卒の募集枠は多くは無いものの、求められるスペックはそれ程厳しく無いようだ。

具体的には、大手銀行や証券会社のリテール部門の職歴でも問題なく、学歴的にも早慶クラスであれば問題なく、しかも、海外経験(帰国子女/留学)とか起業経験とかが求められるわけではない。

何故かと言うと、外銀とか外コン疲れで転職を考える超ハイスぺの人達は、商社とか国内系証券会社、あるいはベンチャー企業幹部や起業を選択することが多く、運用会社にまでは来ないからだ。
(もちろん、将来は事情が変わるかも知れないが…)

また、新卒で運用会社に入社した業務経験者達は、待遇がダントツの野村アセット・マネジメントに転職を希望する者はいても、わざわざ待遇が変わらない、同業他社に転職することは無いからだ。

従って、国内系証券会社の専門職の中途採用で求められるレベルのスペックは必要では無さそうだ。

4. 国内系運用会社の第二新卒で採用されるためのポイント

上述のように、国内系運用会社の第二新卒ではスペックはそれ程高くなくても構わないが、何よりも、募集のタイミングを逃さないことが重要だ。

注意する必要があるのは、各社のHPの採用欄で「今は募集を行っていません」という表示があっても、実際は潜在ニーズも含め第二新卒の需要があるケースも少なくないことだ。
これは、第二新卒に限らず、経験者採用でも同様である。

従って、なるべく多くの国内系大手の転職エージェントに登録をし、空きポジションが出ればすぐに応募ができる体制を取っておくことが重要だ。

大手の転職エージェントとしては以下のところが挙げられるが、これに限定することなく、Google検索とかを掛けて、良さそうなところがあれば積極的に登録すべきだ。

・リクルート
・DODA
・JAC
・マイナビ
・エン・ジャパン

また、転職エージェントを使ったことが無い場合には、金融機関に特化したものではないが、こちらのサイトも参考になるかも知れない。

<転職アンテナ>
https://tenshoku-antenna.com/dainisinsotsu-tenshokuagent-tenshokusite-osusume

5. 国内系運用会社に第二新卒で転職するために磨いておきたいスキル

確かに、今までは国内系運用会社の第二新卒での採用で求められるスペックは高くなかったかも知れない。

しかし、サンプル数は十分多いわけではないし、今後は外資系運用会社の魅力が今よりも浸透し、スペックの高さも求められるようになるかも知れない。

従って、以下の様なスキル磨きを事前にやっておくことが望ましい。

①証券アナリスト(CMA)資格の習得

会計、企業財務、ポートフォリオ理論の基本を勉強できる。
試験は難しくないし、1次試験に合格しただけでレジュメに書ける。費用も大して掛からない。

昔から、金融機関のリテール部門から、法人部門に異動を目論む人達が取得してきた資格であるが、第二新卒レベルでの汎用性も高い。

これを取得していると、少なくとも運用ビジネスに対する関心と勤勉さを簡単に示すことが出来る。

それに、何よりも、証券アナリストで勉強することは運用業界で生きて行く上では必要なものなので、知っておいて損ということは無い。

②英語

実は、国内系運用会社で英語ができる社員の比率は低い。
そして、超低金利に伴う運用難から、海外の投資商品に対するニーズは高まっているので、英語ができる人材に対する需要は高いし、今後ますます高まる可能性がある。

また、国内系運用会社の給与水準は特別魅力があるわけではない。外資系金融機関に転職するためには英語は必須と考えた方がよく、将来の転職の機会を拡げるためにも、英語は磨いておくべきである。

とりあえず、TOEICで800以上を取っておけば、職務経歴書段階でプラスになるだろう。

③職務経歴書

職務経歴書はスキルではないが、重要なので敢えて書いてみた。
中途採用(第二新卒含む)は、就活ではない。従って、採用基準や採用のルールも異なる。

くれぐれも、職務経歴書に、塾講師のバイトで生徒の成績が上がった話とか、飲食店でメニューを考案して売り上げが上がったエピソードを書かないで欲しい。
(笑い事ではなく、実際にこの手のレジュメが来るのだ…)

志望動機についても、幼少時代の体験とか、体育会やゼミの幹部でリーダーシップ云々の話は要らない。

あくまでも、現職の「社会人」として、職務経験こそないものの、運用会社で金融プロフェッショナルとして生きて行くという方向感に絞って示して欲しい。

この点については、転職エージェントとよく相談した方がよい。もっとも、転職エージェントもピンキリなので、複数のエージェントに当たって、自分の頭で考えて良い職務経歴書を作り込むべきだ。

先輩や友達で、外銀とかMBBあたりで活躍している人がいれば、見てもらうのもOKだ。

まとめ

国内系運用会社の第二新卒での採用枠は多く無いので、チャンスを的確につかめるように、予め多くの転職エージェントに登録しておくべきだ。

スペックについては従来はそれ程高くなくても採用されたようだが、今後はわからない。従って、アナリスト試験とか英語とかのスキルは十分に磨いておくべきである。

そして、中途採用は就活とは多くの面で異なるので、そこは切り替えておくこと。

なお、具体的な国内系運用会社におけるキャリアについてはこちらをご参照下さい。

<アセットマネジメントoneの就活、転職、キャリアについて>
https://career21.jp/2019-09-12-161935

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