【年収チャンネル】ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント登場回と、年収、仕事、転職について

序. 年収チャンネルとゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのゲスト登場回

人気のビジネス系YouTube番組の「年収チャンネル」において、遂に(元)ゴールドマン・サックスのゲストが登場した。

このゲストの方は、ゴールドマン・サックスの中で、アセット・マネジメント部門に所属していたので、情報量が少ない外資系アセマネの仕事やキャリアについての参考になるだろう。

業界の外の人が聴くと、少しわかりにくいところがあるかも知れないので、その点を私の方でコメントをつけてみることとした。

なお、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは名前が長いので、以下、業界での呼び名“GSAM”(「ジーサム」)を使うこととする。

<年収チャンネル:2020年3月7日 ゴールドマン・サックスAM①>
https://www.youtube.com/watch?v=J8jj2dQ6XoE

<年収チャンネル:2020年3月8日 ゴールドマン・サックスAM②>
https://www.youtube.com/watch?v=El4Gos52Hzc

1. GSAMの仕事の内容

①GSの証券、IBD部門と、GSAMとの違い

GSAMはゴールドマン・サックスグループの1部門であるが、アセット・マネジメントという業態であるため、GS証券の証券部門やIBD証券とはビジネスモデル上、大きな違いがある。

それは、GSAMはストックビジネスであり、証券部門やIBDはフロービジネスということである。GSAMの場合、ストックビジネスということは、運用資産(AUM:Asset Under Management)さえあれば、AUM×運用手数料が毎年、何もしなくても入って来る。

他方、証券部門やIBDのようなフロービジネスだと、案件の度に手数料が入って来るが、案件が終わると手数料は入って来ない。常に、案件を作り続けないと、売上が立たないのだ。

これに対して、GSAMのようなアセマネだと、何もしなくてもAUMがある限り、お金が入って来るのだ。

年収チャンネルの司会の株本さんは、「サブスクビジネスみたいですね」とコメントしていたが、そうなのかも知れない。解約されない限り、お金が入り続けて来るのだ。

これが、アセマネビジネスの本質であり、だからこそ、証券会社と比べて、まったりできるのかも知れない。

②GSAMのクライアントについて

GSAMのような大手のアセマネの場合、プライベート・バンキング的なケースを除いて、個人とは直接取引を行わず、全て法人との取引となる。

アセマネのビジネスは、(1)リテールビジネスと(2)機関投資家ビジネスとに大別される。
ゲストの吉田さん(仮称)は、リテールビジネスを担当されていたそうだ。

リテールビジネスというのは、個人投資家向けの投資信託を設定・運用することが仕事で、大手の証券会社や銀行を通じて、個人投資家に販売してもらう。

最終的な、運用報酬の源泉となるのは個々の個人投資家なのだが、個人投資家への投資信託の販売は、野村證券や三井住友銀行等の大手金融機関を通じて販売される。投資信託を個人投資家に販売してくれる金融機関のことを販社(販売会社)と呼んでいる。

運用会社のリテールビジネスは、いかに大口の販社に自社が運用する投資信託を販売してもらえるかということなので、野村證券とか大和証券等に対して、「うちの投資信託を販売して下さい。」とお願いすることが仕事になるのである。

他方、機関投資家ビジネスというのは、(1)金融機関(銀行、保険等)と(2)年金(企業年金、公的年金)とに大別される。

金融機関向けビジネスと年金向けのビジネスとでは、顧客のタイプやサービス内容が微妙にことなるため、従来は別々のセールスが担当していたこともあるが、アセマネによっては1人の機関投資家セールスが金融機関と年金基金とを両方カバーするケースもある。

2. GSAMのゲスト(リテール部門の営業マン)の仕事内容について

①大手金融機関とのRMがメイン業務

今回のゲストは、リテール部門に所属して営業をしていた。
個人投資家向けの投資信託の場合、必ずしも運用成績(パフォーマンス)だけによって、大手金融機関が販売するか否かを決定する訳ではない。

ゲストが言っていたように、運用成績で圧倒的に勝つということは難しいので、似たり寄ったりの中での競争となる。

このため、大手金融機関との良好な関係を築いて、気に入ってもらうことがリテール部門の営業マンの重要なミッションだということになる。

もっとも、実際は、圧倒的に勝つことは難しいものの、運用成績というのも重要な要素であり、また、キメ細やかな情報提供とか販売支援体制等も重要なファクターなので、接待で決まるというのは言い過ぎであろう。

②接待について

ゲストは、接待は重要だが、特にリーマンショック以降は派手な接待はできなくなったと言っていた。これはその通りであり、業界慣行として、1人当たり200ドルとか250ドルという予算が決まっていて、それをオーバーする場合には営業部門長やコンプライアンス部門の承認が要求されている。

従って、銀座のクラブに行くとか、ミシュランの☆付の高級店に行くというのは基本的に無く、そこそこ節度のあるものとなっている。

この点は、イメージと異なるかも知れないが、金融機関は規制業種なので、この点は堅い。

<外資系金融の接待で、銀座のクラブに行けるのか?>
https://career21.jp/2019-06-04-091954

3. GSAMの勤務時間、ワークライフバランスについて

ゲストが言っていたように、一般的に、アセマネのワークライフバランスは良い。
仕事がハードなイメージがあるGSの場合も、GSAMは他のアセマネと同様の様だ。

勤務時間的には、朝は8-9時の間に会社に来て、夜は普段は6-7時位には帰れる。
もちろん、土日に出社することも、特別な案件等が無い限り、通常は無いだろう。

他方、ゲストが言うには、IBDは朝の4時まで仕事があって、土日も出社することがあるのとは大違いだ。

後述するように、同じGSでも、IBDの方が遥かに年収は高いが、ワークライフバランスをどう考えるのかが重要な判断となる。

<ワークライフバランスに優れた外資系アセマネの世界>
https://www.onecareer.jp/articles/2162

4. GSAMの年収、転職について

①そもそもゴールドマン・サックス全般の転職、起業の事情

ゴールドマン・サックスの場合、IBDも証券部門もネームヴァリューが絶大であるため、転職は当然として、起業する場合でもその効果はあるようだ。

起業の場合でも、「ゴールドマン・サックス」と言うと、取り敢えず話を聞いてもらえることが多いという。やはり、外銀の中でも、ゴールドマン・サックスブランドは飛びぬけているので、どうせならここに行きたいものだ。

②GSAMの年収について

GSAMのゲストの方によると、年収のイメージは以下の通りである。

アナリスト   入社1~4年目 1,000~1,400万円
アソシエイト  入社4~8年目 1,500~2,000万円
VP       入社8年目~  2,000~4,500万円
MD 入社十数年目~ 5,000万円以上

業界全般で補足すると、外資系アセマネは基本的に新卒を採らない。従って、アナリストのセグメントに相応するポジションは少ない。

中途採用でポジションがあるのは、25歳以降、多くは27歳~のアソシエイトのポジションであろう。年収レンジとしては、GSAM同様であり、30歳で2,000万円というのが1つの目標だろう。フロント職、特に営業の場合には、ボーナスの割合が高いので、企業、相場、その人のパフォーマンスによって結構異なる場合がある。

幅が広いのがVPである。業界全般で見ても、フロント職の場合は大体こんなものだろう。
GSの場合は、Director/SVPという階層が無いが、業界全般で言うと、40歳以降のDirector/SVPの場合は、3,000~5,000万円位のレンジが多いのではないだろうか。

ややジュニアなVPの場合だと、2,000~3,000万円が目安であろう。

年収チャンネルの司会の株本さんや植本さんも、思ったより多くは無いと感じていたかもしれない。というのは、IBDの場合だと、アソシエイトで3,000万円、MDだと1億以上が期待されるので、GSAMの1.5~2倍位の年収水準であるからだ。

もっとも、これについては、ゲストの吉田さんもコメントしていたが、労働時間が全く異なるので、この点をどう捉えるかという価値判断に尽きる。

いくらハードワークでも構わないから、お金を稼ぎたいというのであれば、IBDとか証券部門を目指すのが良いだろう。

③GSAMと転職について

ゲストの吉田さんは、現在PEファンドにいらっしゃるようだが、業界全般としてはアセマネからPEファンドというのはそれ程多くは無いのではないだろうか。

お金を稼ぎたいのであれば、ヘッジファンドとコメントしていたが、その通りであろう。
もっとも、巨額の報酬が得られるかどうかは全ては運用成果次第の厳しい世界であるのだが。

<ヘッジファンドの世界>
https://www.onecareer.jp/articles/2161

外資系アセマネの転職先で最も多いのは、同業他社の同じ職種への転職であろう。
ゲストの吉田さんは「小さい運用会社がいい」とコメントしていたが、これは正確にいうとすれば、小さくても「1人当たりのAUM或いは運用報酬」が大きい会社ということだ。

アセマネの場合は、規模に応じて競争力が高まるという世界では無いため、小振りでも高収益の会社は少なくない。

従って、GSAM、JPモルガンAM、BlackRock、フィデリティが給与水準も高いという訳ではない、Wellington、PIMCO、Capital他、高給が期待できるアセマネは他にも存在するのだ。

この辺は、外資系アセマネに転職すれば、転職エージェント経由で具体的な情報は入手できるであろう。

最後に

外資系アセマネは基本的に新卒採用を行っていない。
このため、年収チャンネルの今回のゲストの話は、新卒で外資アセマネのケースとして大変参考になるだろう。

外資系アセマネに新卒で入れなくても、焦る必要は無い。
国内系アセマネで業務経験を積んで英語力があれば、いくらでも中途採用で入社できる可能性があるからだ。

外資系アセマネの場合は、平均年齢が高く、余り早いタイミングで転職しても下積みが長くなってしまうリスクがある。

従って、英語や職務経験をしっかりと身に着けてから、転職活動をするので問題無いだろう。

PM(Portfolio Manager)にならなくても、相場や運用商品に興味があれば、営業やプロダクト等、面白い仕事はあると思われるので、検討してみる価値はあるのではないだろうか。

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