長者番付から、年収1億円を目指すことができる業種・職種を考えてみた

1. 長者番付とは何か?

そもそも長者番付とは何か?
これは、正式な名称は「高額納税者公示制度」と呼ばれたもので、政府が所得税1000万円以上の納税者を公示していた制度である。

日本では、犯罪抑止やプライバシーの観点から2005年度分から廃止となった。
従って、最後に公示がなされたものは2004年度(公示がなされるのは2005年)のものである。

<週刊現代 2004年度高額納税者 上位100名の「いま」>
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49742?page=3

2. 2004年度の高額納税者上位100名の職業とは?

①上場企業のオーナー経営者及びその家族

日本でトップクラスのお金持ちと言うと、真っ先に考えられるのが、上場企業のオーナー経営者一族だ。実際、上位100名の中には、ユニクロ、タカタ、DHC、セガサミー、マブチモーター、光通信、任天堂、ナムコ、ベネッセ、ソフトバンクといった著名企業の関係者がずらりと並ぶ。

②当時、勢いがあった産業のオーナー経営者

上場企業のオーナー経営者以外で、上位にランクされている高額納税者の職業としては、パチンコ機器と消費者金融の関係者が目立つ。

パチンコ機器だと、フィールズ、オリンピア、三洋物産、平和、ダイコク電機、三洋商事などがランクインしている。

また、消費者金融系だと、ワイド、ユニマット等である。

当時は両業界ともに非常に利益率の高い業界であったが、その後は、規制強化等の外部環境の変化によって収益状況は一気に悪化したため、今では稼げる業界ではなくなってしまった。

③健康食品、美容/健康器具関係

どの時代も、コンスタントに儲かっている人がいるのは、健康食品、美容/健康器具といった、健康や美容に関するモノを売るビジネスである。

これらは、総じて粗利が非常に高いため、当たると巨額の利益を手にすることが可能なのだ。この年、第4位に健康食品販売の、銀座まるかん創業者の斎藤一人氏がランクインしている。他にも、ダイエット職員会社や化粧品販売を手掛けていたユーモインク社長、その名の通りローヤルゼリーで成功したジャパンローヤルゼリー社長、健康食品通販のやずや社長、女性用補正下着のマルコ名誉会長などが名を連ねている。

④(外資系)金融関係

高額納税者の上位100名というと、オーナー創業者以外は無理だという気もするが、驚くなかれ外資系金融のサラリーマン経営者も複数、ランクインしている。

リーマンブラザーズのAPACのトップ、バークレイズキャピタル証券の社長、ゴールドマン・サックス証券の社長他、2名がランクインしている。

ちなみに、この年の高額納税者1位は、独立系ヘッジファンド「タワー投資顧問」の運用部長の清原達郎氏である。驚くなかれ推定年収は100億円であった。これは、実質的には清原氏の会社なので、サラリーマンというよりは経営者の範疇であろう。

3. 長者番付から年収1億円を実現するためのヒントを考える

①時流に乗るビジネスを手掛ける

2004年度の長者番付で存在感があった業種というと、パチンコ機器と消費者金融である。今は両者ともに廃れてしまった感はあるが、当時は収益性が極めて高く、当たれば大儲けすることができた。

やはり、時流に乗ったビジネスを手掛けるということが重要で、今だとネットIT関係だろう。

ネットIT関係といっても、いろいろなタイプのものがある。
ゲーム関係が流行った時期、動画関係が流行った時期、仮想通貨関係が流行った時期、フィンテック関係が流行った時期など、時流に乗ったビジネスを手掛けていると、いいタイミングで高値でEXITすることが可能となる。

もっとも、ネット関係は流行する期間は長くは無いので、人が成功しているのを見てから始めても手遅れであるし、かといって、あまり早めに手掛けても市場が形成されていない場合がある。

このあたりを読むのは難しいところであるが、流行りそうなものを複数手掛けてみる必要があるのかも知れない。

②流行に影響されない、確実に需要のあるビジネスを手掛ける

ネット系の起業は当たり外れとか、タイミングの問題があって難しいかも知れない。
また、プログラミングが出来ないと、CTOを引っ張ってくる必要があり、面倒なところがある。

他方、時代に関係なく、常に需要があるビジネスというのは存在し、そこを狙う手もある。
典型的なのが、健康食品/美容食品関係ビジネスだ。こういったモノは粗利が高いので、一定の売上が立つとかなりの金額の利益を享受できることとなる。

この分野で若くして成功したのが、青汁王子である。彼は年商8億円位のビジネス規模の際に、SNSを駆使して、年商を130億円まで成長させた。今では、ネット、SNSを用いて低コストで集客を図ることが可能なので、この市場を狙うという手もある。

また、粗利は特別高くは無くても、FC等、レバレッジを掛けて儲ける手法もある。
例えば、塾とか飲食のチェーンがそうだ。飲食店というのは利益率が低く、リスクも高くて基本的に手を出すべきビジネスでは無いと言われている。しかし、競合はビジネスに長けていない場合もあるので、ヒット商品を生み出して多店舗展開して、適当なタイミングでEXITしてしまうという方法もある。

BAKEというのは洋菓子屋のベンチャーであったが、オーナー経営者は見事にEXITに成功している。

塾ビジネスだと、武田塾が有名で、「授業をしない塾」というユニークなプロダクトと、ネット、SNSを駆使したマーケティング手法が奏功し、今でも順調に成長し続けている。

起業というとネットばかりが注目されるが、ネットビジネスの場合、新規性にばかり目が行き、そもそも市場があるのかすらわからない。これに対して、オールドエコノミーの場合には確実に市場があるので、その本の一部を取りさえすれば勝ちというパターンがある。

教育ビジネスにおいては、Edtechのようにネットに固執する必要は無く、ユニークなプロダクトを考案出来れば勝機はあるのではないだろうか。

③専門職で勝負

2004年度の高額納税者ランキングを見ると、企業経営者だけではなく、金融プロフェッショナルと開業医も多数ランクインしていることに気が付く。

やはり、専門職を極めると年収1億円も夢では無いということだ。金融プロフェッショナルだと外銀のフロント部門やヘッジファンドであれば年収1億円以上稼ぐことも可能だ。もっとも、金融業界の展望は明るくはなく、当該ポジションの数は絞られてくるだろうから、大変厳しい競争を勝ち抜くことが必要となる。

他方、開業医の場合は、弁護士の様に急激に供給増(医学科の定員増)は図れないので、まだしばらくは稼げそうである。もっとも、美容外科などは、あまりの待遇の良さに参入者が増えると今ほどは稼げなくはなるかも知れない。

専門職では、弁護士と公認会計士にもまだまだチャンスはあるのではないか?どちらも、市場は飽和状態にあると言われているが、ネットIT関係等の若手経営者の市場に着目すると、まだまだ未開拓なところはあるのではないだろうか?

既に成功している大先生たちは、大企業ばかりを見ているし、ネットIT関係の知識には疎い。それに、若手の経営者とは世代的にもギャップがあるだろう。

従って、若手の弁護士や公認会計士が、青田買いも含め、若手の経営者市場にフォーカスをすると、成功できる可能性はあるのではないだろうか?

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