ベンチャー企業から大企業へ転職するための条件について考えてみた

1. ベンチャー企業から、安定的で厚遇の大企業に転職したくなる場合もある?

年功序列、終身雇用の廃止、45歳以上対象のリストラなど、日本の大企業にも暗い話が多く、安定性や高給よりも、成長性を重視してベンチャー企業を志向する若者が増えてきているらしい。

しかし、古今東西、ベンチャー企業というのは失敗する確率の方が遥かに高い。
倒産、リストラ、長時間労働、低い給与水準と福利厚生等、最初はやる気がみなぎっていても、それが長期間続くと、当初のモチベーションは失われがちだ。

そうなると、ベンチャー企業よりも、安定的で厚遇な大企業の方が自分には向いていたと考え、大企業への転職を考えるようになる人もいるだろう。

そこで、ベンチャー企業から大企業に転職するにはどういったことが必要なのか気になるところである。

2. 大企業からベンチャー企業には何時でも行けると言われるが、反対はどうか…

就活でも転職でも、「迷った場合には大企業を選べ」というのがセオリーである。
その理由としては、大企業からベンチャー企業には何時でも転職できるが、その逆は難しいと言われているからである。

また、ベンチャー企業というのは労働条件が厳しく、生半可な気持ちでは行かない方がいい。大企業も気になるようなモチベーションのレベルでは、ベンチャー企業に入っても持たないというのも理由である。

<ベンチャー企業に就職・転職したくない理由>
https://career21.jp/2019-11-05-083308

3. 何故、大企業はベンチャー企業出身者の採用に積極的では無いのか?

大企業というのは、既に出来上がった組織であって、その組織に合った様々なルールが存在する。意思決定は慎重で途中に多くの部署・社員が関与する。ベンチャー企業の様に上司や他部署を飛び越えて意思決定するということは認められない。また、大企業の場合、顧客にも当然大企業が多く、大企業間の取引については当然大企業のルールが存在する。それは、ベンチャー企業間の取引とは異なる点も多く、ベンチャー企業のルールで突然対応されるわけには行かない。

もちろん、こういった大企業のルールは入社すると誰でも覚えることができるのだが、中途採用というのは基本的に即戦力を求めるものである。別途、そういった教育が必要となると、転職時における競争において不利になってしまうのである。

また、大企業は総じてコンサバであり、就活の時と同様、現在勤務している会社のネームヴァリューや学歴が優れている、いわゆるハイスペックな人材を好む。こういったものは必ずしも望ましい訳ではないのだが、まだまだ、そのような価値観を中途採用の選考基準としている大企業は少なくないのである。

そうなると、誰も知らないようなベンチャー企業の職歴は、大企業はあまり評価してくれない。もちろん、そのベンチャー企業がIPOとか大口EXITに成功するといった、成功体験を伴うキャリアならいいが、上手く行かなかったのであれば評価されないだろう。

4. それでは、どういった場合に、ベンチャー企業から大企業への転職が可能となるのか?

上記の通り、ベンチャー企業から大企業への転職は難しいのだが、以下の条件を充足できるようなケースであれば、十分可能性はあるだろう。

①過去に大企業での勤務経験を有している

この場合には、大企業のルールを知っている人という判断をされるので、余分な教育コストが掛からない。そして、その大企業のネームヴァリューが高ければ、尚良しである。もちろん、大企業でどういった仕事をしていたかも見られるわけだが、これは信頼性チェック的なファクターでもあるので、とりあえず会社自身が高就職偏差値企業であれば採用側としては安心だ。例えば、メガバンクとか重厚長大系メーカー、インフラあたりは信頼性が高い。

②エンジニア職の場合、ネットビジネスやDX周りに強い

ベンチャー界隈だとエンジニア職は引く手数多だが、それは大企業でも同様である。少子高齢化に伴う国内市場の縮小は待ったなしである、ネット系を中心とする新規事業とか、DXによる業務の効率化といった対応は不可欠だ。

このため、現職がベンチャー企業であっても、一定のスキルを有するエンジニア職の場合は、例外的に大企業からでも採用され易いと考えられる。

③非エンジニア職の場合、新規事業起ち上げの経験があること

ベンチャー企業からわざわざ採用するのであれば、大企業の既存の従業員が持っていないスキルや経験を持っていれば有利である。大企業には新規事業を起ち上げることができる人材は豊富でないため、非エンジニアの場合であれば、新規事業の起ち上げ経験があれば評価してもらえるだろう。

④年齢が若いこと(できれば20代)

業種や企業規模を問わず、転職市場においては若いということはそれだけで有利である。
特に大企業の場合は、人口ピラミッド的にも、40~50代の管理職層がダブつき気味であり、社内におけるポジションの数は一定なので、40歳を過ぎての転職は難しい。

他方、少子高齢化が着々と進行しており、どこの会社も若くて優秀な人材は不足しがちである。

このため、ベンチャー企業⇒大企業というケースであっても、とにかく年齢が若ければ何とかなる可能性は高まるはずだ。なお、ここでいう年齢が若いとは、20代を意味し、反対に、35歳を過ぎているとかなり厳しくなると考えた方が良い。

最後に

大企業の閉塞感が強まる中、若くてやる気がある者にとっては、ベンチャー企業で成長してアップサイドを狙いたいというニーズはあるだろう。

しかし、年を重ねるにつれ、気力や体力は低下しがちだし、ベンチャー企業の場合には思っていた通りに行かないことの方が多い。

そうなると、大企業への転職が気になるだろうから、将来の選択肢を増やすという意味で、一旦は新卒は大企業に就職するというのが堅いやり方なのかも知れない。

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