どうしても「商社マン」にこだわる就活生は、「兼松」も検討してみてはどうか?

1. 「商社マン」が人気なのは理解できるが、内定取るのはますます難化しそう…

国際性、社交性、行動力に溢れ、高給・安定でイメージが良い。
いわゆる「商社マン」に憧れる就活生が多いのは理解できる。就活生が「商社マン」というとイメージするのは、いわゆる総合商社のことであろう。

しかし、総合商社は人気が高く、数年前と比べると若干採用数は減少している。
また、総合商社と並んで人気が高い、外銀・国内系金融専門職、コンサルティングファームの新卒採用者枠が減少傾向に入ると、そこからの流入が予想され、ますます難化する可能性がある。

他方、「商社」という括りで、就職希望先を専門商社まで拡げるというのも難しい。
何故なら、専門商社と総合商社とではビジネスモデルが大幅に異なる上、給与やステータス的なものが全く異なって来るからだ。

そこで、総合商社7社がダメだったとしても、どうしても「商社マン」にこだわりたいという場合には、「元」総合商社であった「兼松」も検討しても悪くないかもしれない。

<兼松の中期経営計画>
http://www.kanematsu.co.jp/ir/library/pdf/Medium_Term_Vision_future135.pdf

2. 兼松の歴史の概要

①かつての名門商社

20世紀においては、兼松というのは列記とした総合商社であり、毎年上位校から学生を採用することが出来ていた名門企業であった。

例えば、神戸大学の兼松記念館、一橋大学の兼松講堂というのは、兼松の寄付によって創られた歴史的建造物であり、かつての影響力がうかがわれる。

②バブル崩壊による影響

しかし、兼松も、バブル期においてゴルフ場建設や旧京橋(東京都中央区)本社の建設等、数百億単位の過剰投資を行い、経営危機に陥ってしまう。

そして、とうとう1998年にはメインバンクの(当時の)東京三菱銀行から1700億円にも及ぶ債務免除を要請する。その結果、いわゆる銀行管理会社のような立場に陥ってしまい、大リストラが断行されてしまうこととなる。

③総合商社で無くなってしまう…

兼松の、銀行主導の大リストラは長期間に及ぶ。1998年頃からリーマンショック後までの約15年間も継続することになる。

この過程において、凋落の原因となった不動産事業を止め、伝統の繊維・紙パ事業も止めてしまう。そして、遂には、エネルギー事業(インドネシアの天然ガス)までも手放し、総合商社ではなくなってしまったのである。

④その結果、現在は健全な企業体質に

総合商社の旗を降ろしてしまうのは寂しい話であるが、その結果、総資産を大幅に圧縮し、負債も大幅に削減でき、健全な企業体質を取り戻すことができたのである。

このあたりの話は、以下の東洋経済の6年前の記事が大変詳しい。
兼松への就活に興味が無くても、具体的な企業再建ストーリーとして読む価値は十分にあるだろう。

<東洋経済の、兼松に関する再建の話>
https://shikiho.jp/news/0/30202

3. 兼松に就職することの意義

①企業規模を縮小化できたことに伴うメリット

かつての総合商社であった兼松は、バブル期の負の遺産を清算する過程において総合商社から外れることになってしまった。

他方、その結果、良い意味で少数精鋭の健全な会社になったとポジティブに捉えることもできる。

これを就活生の立場から見ると、まず、少数精鋭の風通しの良い組織になったため、若い頃から活躍し易いカルチャーになったという点が指摘できるだろう。

また、業務内容が絞られ、電子・デバイス、食料、鉄鋼素材というのが3本柱になっている。特に、電子・デバイス部門の収益に占めるシェアが高いのが特徴だ。
商社の場合、「配属ガチャ」と言われる、配属先が希望と異なるリスクがあるが、兼松の場合はもともと業務部門が限定されているために、配属リスクが相対的に低いと言える。

そして、リストラの過程で高齢者層が一層されたこともあり、総合商社と比べると、ワークライフバランスの優れたカルチャーとなっている。

以上より、総合商社とか専門商社とは異なる独自の魅力があると言えるのではないだろうか。

②兼松の弱み:給与水準で総合商社に見劣りしてしまうこと

これは、どこと比べるかにもよるが、総合商社と比べると年収水準は大幅に見劣りしてしまうことだろう。もともと、兼松は総合商社であったとは言え、業界9位のポジションだったので大手5社の給与水準はもともと期待できなかった。そこに、長期間リストラが続いたわけなので、そこからさらに大手5社とは給与水準格差が拡大することになってしまった。
大雑把に言うと、現状は、大手5社の7掛けくらいのイメージであろうか?

兼松の基本給とか、残業代が支払われるという点については、それ程見劣りするわけではないが、ボーナス水準が大手5社と比べると見劣りしてしまうのだ。

年次や役職で年収を概観すると、
初任給は残業代やボーナスを含めて400万円程度であるが、5年後の27歳時点では600~700万円程度、30歳時点で700~800万円位であろうか。大台の1000万円に到達するのは、せいぜい30代半ば位であろう。

40代で課長になると1200~1300万円位は見込まれるものの、年収1500万円となると部長クラスにならないと難しいだろう。

なお、年功序列型賃金であるところは、総合商社と類似している。
また、海外勤務になると、年収水準は上がるので、その点は恵まれていると言えるだろう。

③どういう人に向いているか?

以上より、旧総合商社であった兼松は、総合商社でも無いし、専門商社でも無い、独自のポジションニングを取っている。

確かに、総合商社と比べると給与水準では大きく見劣りしてしまうものの、他の事業会社と比べると高給と言える。専門商社と比較しても、その中では高給のJFE商事やメタルワンあたりと同じ位であろうか?

また、ワークライフバランスや少数精鋭のカルチャーなど、給与面以外の強みはあるだろう。海外勤務になると、給与水準は上がるので、待遇の差は縮まるかも知れない。

総合商社7社全滅すると、メガバンクというのが1つのパターンであるかも知れない。
しかし、メガバンクには給与水準では劣るものの、業務内容や海外勤務の可能性、ワークライフバランスといった価値観を加味するのであれば、兼松も検討してみるのも悪くないのではないだろうか?

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