日本郵船の年収と就活(第二新卒含む)について

1. 金融、コンサルの人気に陰りが出ると、その他の優良企業が注目される?

文系のトップ就活生に人気がある業種は、金融、コンサル、商社、マスコミといったところであろう。東大、早慶の就職上位先企業を見ると、このあたりの業種が並んでいる。

しかし、メガバンクの店舗や人員の過剰化に伴う新卒採用数削減の話が報道されている。また、株高にも関わらず収益が低迷したり、ネット証券から拡がるであろう販売手数料ゼロ化の流れを考えると、証券会社も新卒採用枠を拡げることはできないだろう。

また、総合系コンサルティングファームについても、近年の新卒・中途を合わせた大量採用による供給過多や、デジタルトランスフォーメーションブームが何時までも続くわけではないことを踏まえると、就活生からの人気が何時まで継続するかは不明である。

そうなると、優良メーカーや優良な事業会社を広く就活の対象とする必要性が生じ、商社のような派手さには欠けるかも知れないが、歴史的な優良企業である日本郵船に対する注目度が高まっていく可能性がある。

2. 日本郵船の給与水準

①全体観

イメージの通り、日本郵船はワークライフバランスに優れた会社である。また、評価制度は存在するがほとんど差が付かない、典型的な年功序列・終身雇用型の企業である。

何と言っても、岩崎彌太郎も関係した、19世紀からの優良企業であり、丸の内本社を始めとする不動産の含み益や三菱グループの会社に対する有価証券含み益を有する等、ゆとりのある会社である。

したがって、住宅補助、財形といった福利厚生も優れている。このため、年俸水準としては、メーカーと大手金融機関の中間的な位置付かも知れないが、トータルで見ると、決して悪くない水準であると考えられる。

なお、日本郵船はボーナスが年4回あるのが特徴である。夏と冬がメインであるが、春と秋にも支給されるのが特徴である。

このため、年収におけるボーナスの割合が比較的高く、この点は意外かも知れない。
というのは、海運企業は、2つの市況の影響に大きく業績が左右される市況ビジネスでもあるからだ。

2つの市況とは、海運市況(定期船運賃市況、ドライバルク市況)と、為替である。興味がある就活生は、このあたりはHP等でチェックしておいた方が良いだろう。

②入社年次と年収の推移

まず、入社1年目は年収400万円スタートである。この点は、他の大企業と同じである。
そして、入社3年目には年収550~600万円位となる。

入社4年目~6年目は少し年収レベルが上昇し、700~800万円程度に増える。
30歳到達時点では800万円というのが1つの目安である。

年功序列なので、30歳を過ぎても徐々に年収は上がり続ける。
10年目の32~33歳で900万円前後、35歳で1000万円の大台に乗るか乗らないかというところである。

40歳到達時点では1000~1200万円、そして、50歳時点で1200から1600万円というイメージである。

良くも悪くも、年功序列色が強く、同期の間での年収格差が付きにくいのが特色である。
結局、残業代とか、海運市況によって変動するボーナスが変動要因ということになるようだ。

3. キャリア、転職

上述した通り、非常に同期入社間では差が付きにくい会社である。
退職金・企業年金制度・福利厚生などが充実しているので、終身雇用制度に乗っかるのが有利な仕組みである。

従って、金融やコンサルの様な、転職によるキャリアアップというのはあまり考えづらい。

もちろん、海外勤務になった場合には、商社程ではないにせよ、相応の処遇が受けられるようだ。

まとめ

日本郵船は、昔から高学歴の学生の比率が高い会社である。しかし、野心のある商社、金融、コンサル、マスコミ志望の様な就活生からすると、少し物足りないかも知れない。(とは言え、伝統的に、東大、早慶等の有力校から継続的に一定数が入社しており、就職偏差値的に決して低い会社ではない)。

他方、それなりの高給と恵まれた社内環境なので、じっくり(こっそり?)副業を準備したいとか、こういったライフスタイルを好む学生には良い会社かと思われる。副業や兼業がもてはやさ、将来的には終身雇用が保証されなくなることも考えると、長期的には人気が出る可能性はある。

特に、船とか海が漠然と好きな就活生は、OB/OG訪問をして話を聞く価値はある会社であろう。

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