【年収チャンネル】ベンチャー企業に早い段階で就職することのメリット・デメリット

1. 超優良企業を20代で見切って、ベンチャーに行く最近の若者気質

メガバンクとか大手証券会社の場合、特にリテールの仕事が大変なので、比較的離職率が高いと言われてきた。それでも、30歳時点での退職者の比率はせいぜい2~3割程度である。

他方、優良メーカーとか総合商社の場合には、20世紀においては退職者はかなり少なく、30歳時点での退職者比率は1割未満であったはずだ。

ところが、近年では優良企業を20代で見切って、ベンチャー企業等に転身する若者が増えたようで、総合商社でも30歳時点で2割以上が退職していると聞いて驚いた。

自らが起業をするというのであれば、それなりの能力と覚悟が伴っているので、それはやむを得ない。

しかし、自ら起業するのではなく、他人が作ったベンチャー企業に雇われの身で転職する場合においては、十分に吟味が必要である。

何故なら、ベンチャー企業の場合は圧倒的に失敗する比率が高く、VCが選んだベンチャー企業でも上手くいくのは1割程度と言われている。

ベンチャー企業が上手くいかないと、転職しようと思っても、自分自身の市場価値が落ちてしまうので、条件は悪くなってしまう。ベンチャーに挑戦した事実だけでは、優良企業はどこも評価をしてもらえず、単なる「レジュメの汚れ」となってしまう。

そこで、予め、ベンチャー企業に行くことのメリット・デメリットを冷静に分析しておく必要があろう。

2. ベンチャー企業に早い段階で就職することのメリット・デメリット

ベンチャー企業といっても、ピンキリである。
メルカリのように既上場の会社は実質大企業なので、今回の対象からは外れる。

また、非上場ベンチャー企業の場合でも、数億円以上の出資を既に受け、IPOを目指している段階にあるベンチャー企業も今回の対象からは除外する。

従って、ここでは、従業員が片手にも満たない段階での、いわゆるドベンチャー企業への就職について考察する。

この点については、「年収チャンネル」の、この番組が参考になる。

<年収チャンネル【必見】ベンチャー企業に入社する生々しいデメリット Vol.400>
https://www.youtube.com/watch?v=OBeF_zluqgI

①ベンチャー企業に早い段階で就職することのメリット

メリットの1点目は、従業員数が片手位の段階での参画であるので、何といっても経営者のすぐ近くで働くことができることだ。経営者と共に働くことによって、経営者の思考・行動を知ることができる。この点は、将来自らも起業・独立を考えている場合位は良い経験となるであろう。

なお、この番組において、StockSunの山本さんは、安易な値下げをしない(粗利に拘るべき)という考え方を体得できたという。

2つ目のメリットとして、当初からのメンバーであった場合、当該企業の拡大に応じて後からスタッフ達が入社してきた場合に、エスカレーター式で自らの地位が上がることである。
言わば、創業者利得に準じたもので、棚ボタ的な昇格である。

3つ目のメリットとしては、幹部として早期に参画した者の立場であるが、組織作りをゼロから、まっさらな状態から始めることができるという点である。
これはある程度組織が出来上がった段階での参画の場合、経験できないメリットである。創業者の様な、創造的な喜びである。

また、会社の規模が大きくなってきた段階において、社内で大事にしてもらえるということも指摘できる。要するに、会社の社内的な事情をよく知っているために重宝されるということだ。

さらに、流行りそうなサービス・事業に起ち上げ時から参画できるので、流行った暁には、美味しいポジションに就いていることとなる。途中から入り込むのは難しい。
もちろん、当初企画したサービスが失敗した場合には、この限りではないが…。

②ベンチャー企業に早い段階で就職することのデメリット

起ち上げられたばかりのベンチャー企業であるので、当然知名度は無い。
自ら起業するのであれば格別、他人が作った事業に乗っかる訳なので、周りからの視線は冷たい。この点は、ある程度出来上がったベンチャーに参画する場合との違いである。

また、幹部ポジションで参画した場合には、当然のことながら周りからのプレッシャーもかかる。立場に応じた成果を出すことが期待されるからである。

成長中のベンチャーの場合には、後から参画してくる人ほどハイスペックであることが多い。そうなると、後から入った人達の方がタイトルが低いにも関わらず、パフォーマンスを出してくると、早期入社の幹部達に対する視線は厳しく、結果を出さないと窓際扱いをされてしまう恐れはある。

早期段階で幹部として入社した場合には、企業が成長するとその恩恵を最大限に受けやすい反面、周りからの期待感も高く、精神的にはプレッシャーがかかる立場にあると言える。

3. 大企業から早期段階のベンチャー起業への転職を考える際に考えておきたいこと

20世紀においては、大企業に入社すると、ほとんどの場合、定年までいるのが一つの勝ちパターンであった。年功序列型賃金、終身雇用、手厚い退職金・企業年金、転職市場の未整備などが背景である。

最近では、終身雇用が揺らいでいくとか、40代のリストラが注目され、転職しないで最後まで企業にいることのメリットが薄れているとも言われている。

とは言え、旧に制度が変わるわけでもないので、20代でのベンチャー転職については、以下のようなことをよく考えておきたい。

・そのベンチャー企業への転職が失敗した場合のバックアッププラン
 ⇒失敗ベンチャーでの経験は転職時においては評価されない

・何故自らが起業しないのか?他人が起ち上げた事業に乗っかるだけではないのか?

・自分が40歳になった場合の姿
 ⇒挑戦することがカッコ良く見られるのは20代まで。

・生涯賃金シミュレーション

・そのベンチャー企業入社における条件はリスクに見合ったものか
 ⇒ストック・オプションと行使条件、取締役のタイトル

・そのベンチャー企業で得られる経験の客観的な価値・評価

自らが起業するのであれば、年齢制限は無い。
また、資金的な余裕や経験値も、年を取ってから起業する場合の方が有利な面もある。
20代で現実に直面し、挑戦する気力・体力も揃っている年頃であることは理解できるが、ベンチャーは失敗することの方が多いという事実を踏まえた上で、慎重な対応が望まれる。

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