1. 選抜コミュニティとは何か?
選抜コミュニティについて何か決まった定義があるわけではない。
選抜コミュニティとは、外銀・外コンのような最難関企業からの内定獲得を目的として、外銀・外コンの現職や内定者が、就活生を直接指導する自主ゼミの様な団体を言う。
選抜コミュニティが気になる理由は、ここ数年間位で、外銀・外コンの就活の世界においてじわじわと存在感を高めていると感じられるからだ。
外銀志望の就活生と話していると、選抜コミュニティに所属していないと外銀への内定は難しいのではという話を聞いたことがある。
また、ハイスぺ就活生向けの就活メディアであるONE CAREERの記事においても、選抜コミュニティが取り上げられ、外銀・外コン内定者の2/3は何らかの選抜コミュニティ出身者で占められているという話も出ている。
<選抜コミュニティに言及しているONE CAREERの記事>
https://www.onecareer.jp/articles/2088
2. 選抜コミュニティにはどういった団体があるのか?
選抜コミュニティというのは、サークルのようなインフォーマルな団体である場合も多く、その全ての概要を掴むことは難しいが、YC塾と外資就活アカデミアは代表的な選抜コミュニティと言って良いだろう。
YC塾は企業ではなく、基本的に非営利の団体の様である。
http://yc-seminar.jp/
他方、外資就活アカデミアとは、その名の通り、ハウテレビジョンが運営するトップ就活生向けの就活メディアである外資就活が運営している選抜コミュニティである。
https://gaishishukatsu.com/archives/112952
このうち、YC塾の情報開示が充実しているので、以下こちらの情報を基に検討して行きたい。
3. 選抜コミュニティの実績はどうか?
上記のワンキャリアの就活記事にもあるが、外銀・外コンの内定者の中に相当数の選抜コミュニティ出身者が含まれているようだ。
上述のYC塾の場合、2020卒については6名中、投資銀行から5名、戦略コンサル5名の内定者を輩出している。
2019卒については7名中、投資銀行から4名、戦略コンサルから7名の内定者を出している。
YC塾のコミットメントとしては、塾生1人当たりコア6企業(McK、BCG、Bain、GS、MS、JP)から1部門内定するということである。さらに、塾生がコア6企業から複数の内定を取り、より納得できるキャリアの選択をできることを目標としているという。
4. 選抜コミュニティに入会(入塾)することのメリット
就活生が選抜コミュニティに入会するメリットとしては、少人数制で、外銀・外コンのOB、現職社員、内定者から手取り足取りの指導をしてもらえることだ。
それは講義を通じてのインプット、面接の練習、JOB対策を指導してもらえるので、知識やスキルにおいて他の就活生よりも有利な立場に立つことが期待できる。
また、これが重要なのだが、ハイレベルで少数のコミュニティメンバーと切磋琢磨することによるレベルアップ、情報収集の充実化を図ることができる。
そして、見事に外銀・外コンから内定を獲得した後にも、継続的に、指導してくれた先輩や、同期、或いは自分が内定後に指導することとなる後輩とネットワークができるというメリットもある。
そして、受講料、入会金等は原則無料のところが多いようなので費用はかからない。
したがって、真剣に外銀や外コンを目指す就活生としては、入れるものなら選抜コミュニティに所属しておきたいところである。
5. 今後、このような選抜コミュニティは拡がって行くか?
今後も、このような選抜コミュニティは拡大していくのではないだろうか?
選抜コミュニティの存在感が増すと、当然、選抜コミュニティに加入したいという就活生は増える。
そして、日本人は付和雷同型の人も多いので、流行りだすと自分も追いかけたい人は必ずいるので、就活生の要望に応えて開催しようという人達が出てきても不思議ではない。
選抜コミュニティは若い人たちが運営しているようにも見えるが、本来こういったものを運営すべき立場にあるのは、MDとかパートナークラスの人達である。
外銀とか外コンの若手と言うのは、もっとも酷使されるポジションにあるので時間的、精神的な余裕が少ない。他方、既に成功したMD、パートナーであればお金にも時間にも余裕がある人達なので、こういった選抜コミュニティに共感すれば、起ち上げることは難しくないだろう。
6. 選抜コミュニティとビジネス的な視点
YC塾も、外資就活アカデミアも、選抜コミュニティを営利的な観点からは運営していないようである。
しかし、選抜コミュニティのメンバーは、就活生の中でも本当に超トップの学生達である。そして、その就職先である外銀や外コンというのは、その後に転職を前提としたキャリアである。
このため、ある程度まとまった人数の選抜コミュニティメンバーを集めることができれば、面白いビジネスになり得る可能性がある。
トップクラスの人材のストックがあれば、転職エージェントとしてのビジネスチャンスがあるし、採用側企業に対する採用コンサルティングビジネスを展開できる可能性もある。
もっとも、選抜コミュニティは1学年10人程度の少数精鋭の団体であるようなので、ある程度の人数を確保するのは難しいかも知れない。
ただ、これは外銀・外コンという極々限定された就活生向けなので、もう少し対象企業を拡げて対象となる就活生を増やすことができるといろいろな可能性があるだろう。
そうなると、就活予備校みたいな形になってしまうかも知れないが。
最後に
トップ就活生の志望企業が、外銀とか外コンに集中するため、こういったところに対する入社難易度は極めて高くなっている。
選抜コミュニティが有利であることは理解できるが、そうなると、選抜コミュニティに入れるかどうかが勝負になって来るのかも知れない。
もっとも、基本的に就活生からお金を取るスタイルでは無さそうなので、やる気のある就活生は積極的に、こういったところに挑戦してみることをお勧めする。
就活開始時期がますます早期化していくことになるのだろうが、ファーストキャリアの重要性に鑑みると、それはやむを得ないであろう。