総合商社の魅力を再考する。何故、外銀の併願先として総合商社を勧めるのか?

1. 問題の所在 外銀や国内系証券会社の専門職コースが難化して内定が読めない

トップ就活生の間では、外銀の人気は非常に高い。人気の上昇に反して、グローバルで投資銀行の業績が良いわけでは無いので、採用枠は拡がらない。

従って、トップ就活生と言えども、外銀から内定を取るのは非常に難しい。

その場合、次善の策として候補に挙がるのは、野村、大和、SMBC日興といった国内系証券会社の専門職コースだ。しかし、国内系証券会社は総合職は大量するものの、IBD、グローバル・マーケッツといった専門職コースは各社せいぜい20~30人位しか枠が無い。

そして、外銀志望組の大半が併願するので、国内系証券会社の専門職コースは全く滑り止めにはなり得ないのである。

2. 外銀、国内系証券会社専門職の併願先としての総合商社

①メガバンク、生損保は代替案にならない

外銀とか国内系証券会社の専門職コースとの併願を考えるとするならば、それ以外の金融機関を考えるのが筋である。

しかし、メガバンク、生損保については基本的に総合職での採用となるため、配属先が確約されず、金融プロフェッショナルとしてのキャリアが読めない。

このため、外銀等を志望する就活生としては、メガバンクや生損保は代替案にしたくないのである。(もちろん、結果的にこちらに流れる学生もいる。)

②投資運用会社も気が進まない…

金融専門職ということであれば、将来の外資系運用会社への転職が可能な国内系の投資運用会社を狙うという手もある。

しかし、これはトップ就活生に勧めても、理解はしてもらえるものの、あまり解決策にならないようだ。

その理由は、投資運用会社というのは、銀行、証券、生損保の子会社で格下のイメージがあること。実際、給与等の待遇は親会社の8掛けというところが多く、また、部長や執行役員クラスに親会社から特に優秀でもない人達が天下ってくるというところも気になるようだ。

もちろん、途中で外資系に転職するのが前提であれば、そのあたりは本質的な問題にはならないはずなのだが、外資系運用会社の場合は平均年齢が高く、30歳前後を目途に転職するとなると、それまで待ちきれないということなのである。

③アクセンチュア等の総合コンサルというわけにも行かない?

トップ就活生から人気の業界と言うと、外コンである。
しかし、MBBに代表される戦略コンサルは採用枠が外銀以上に少なく、また、国立の理系院卒が有利というイメージがある。

他方、大量採用をしているアクセンチュア等の総合系コンサルについては、トップ就活生の中でのステータスが特に高い訳ではなく、金融プロフェッショナル志望者の代替策にはならないようだ。

④広告、デベロッパーはどうか?

就職偏差値的には、金融・コンサルを除くと、電通・博報堂のような大手広告代理店、あるいは、三井不動産、三菱地所に代表されるデベロッパーが人気である。

しかし、これらの業界も難易度が非常に高く、到底、滑り止めにはなり得ないし、金融プロフェッショナルとは全く路線が違うので、併願するにしても準備が大変で効率的ではない。

以上のように、外銀・国内系証券会社の専門職コースを志望するトップ就活生からすると、消去法的な観点から、総合商社がクローズアップされてくるのである。

3. 総合商社の魅力

消去法で総合商社というのも、失礼な話であるが、総合商社には大いに魅力があると思われる。それを整理すると、以下のようになる。

①安定性を加味した、生涯賃金が非常に高い。

総合商社の最大の魅力は、何といってもこれだと思われる。
ステータス、遣り甲斐的なものは所詮は主観的なものだが、これは客観的なお金の話である。

東洋経済あたりの集計だと、総合商社の生涯賃金は5億円位となっているかも知れないが、総合商社の中でも最上級の三菱商事あたりだと6.5億円位になるのではないか?

40歳から60歳までが、2000万×20年で4億円、
30代が平均1500万として、1500万×10年で1.5億円、
20代が平均800万円として、800万×8年で0.64億円、
これに退職金が4000万円とすると、合計6.5億円くらいになるだろう。

これくらい高給が期待できる国内系企業は他に無いだろう。
単年ベースの平均年収だと、日本M&AセンターとかGCAの方が高給だったりするが、それらは定年まで保証されるものではない。多分に歩合的な要素が含まれているからである。
キーエンスでさえ、定年まで勤め上げることができる人はどれ位の割合かはわからない。

終身雇用ということを考慮すると、これは非常に魅力的である。

総合商社に行った場合には、途中で転職をしない結果になったとしても、十分に恵まれた生活を送ることができるのである。

②モラトリアムの延長。外銀、外コン等に再挑戦する可能性を残せる

やりたいことが見つからないから、転職力の高いコンサルに一旦入社して、そこから行きたいところが見つかれば転職すればいいという考え方がある。

総合商社についても、それに近いところが期待できるかも知れない。
今では第二新卒としての転職の可能性はあり、総合商社のネームヴァリューは極めて高い。従って、25歳未満のうちであれば、外コン(MBB)とか外銀に再挑戦をすることも可能である。

もちろん、第二新卒で外銀・外コンに中途採用で入るというのは難易度が高いが挑戦できる可能性が残るというのは有難い。
また、国内系証券会社のIBDであれば、もう少し第二新卒で採用される可能性は高まるであろう。

③MBAという選択肢

今さら感のある米国MBA留学であるが、トップ校に入学できると今でも非常に就職力は高い。総合商社の場合、社費を含めてMBAを取得し易い環境にあるので、いざとなればMBAを取得するという選択肢もある。そうすれば、外銀・外コン・外資系IT企業への転職というキャリアが拓けてくる。

④海外勤務の魅力

海外勤務というのも善し悪しであるが、総合商社の場合は、海外赴任手当が厚い。また、グローバル・リーダーシップが求められる時代において、海外勤務という経験が積めることはキャリア形成上ポジティブだと考えられる。
海外勤務が叶うというのは、大変恵まれた総合商社の特徴だと思う。
(もちろん、赴任先が変な国であればリスクだという考えもあるが…)

⑤子会社・投資先企業への出向

これは40~50代以降の選択肢であろうが、総合商社の場合、いろいろな事業を転換していることから、子会社や投資先企業に出向して、経営幹部の立場でその道に進むというキャリアも考えられる。
もちろん、これは希望通りになるとは限られないが、他の業界とは異なる総合商社の魅力であると言えるだろう。

4. 将来は副業に期待?

働き方改革の流れの中で、副業の解禁に対する期待が拡がってきている。
2019年11月時点において、総合商社の中で副業が解禁されているのは丸紅位であるが、将来は他社にも拡がる可能性はある。

副業の魅力は、しっかりした本業がある場合には、リスク無く年収を増やすことができることである。本業になり得る程稼ぐことはかなり大変だろうが、年間数百万円程度稼げるのであれば、総合商社は高年収なので、それは大変魅力的だと思われる。

もっとも、課題は副業で数百万円位のまとまった金額を稼ぐことが本当に可能かということだ。本業があるので、クラウドワークスのような単純作業や、せどり(転売)のようなロジスティックスに手間がかかる副業で稼ぐことは難しい。

他方、情報コンテンツ方ビジネスで稼げと言われても、度重なるGoogleコアアップデートの流れの中でアフィリエイトによって個人が稼ぐことはかなり難しくなっている。

従って、副業で稼ぐといっても、現状では数百万円レベルを稼ぐ方法はなかなか見当たらない。しかし、2020年の5G時代の到来によって、YouTube等の動画メディアが更に浸透し、個人メディアによって稼げる機会が増えるかも知れない。

特にリスクを伴わずに年収を上乗せできる可能性のある副業は、総合商社を始めとした国内優良企業のサラリーマンにとっては大きな魅力であることは間違いないだろうから、今後も継続的に注視していく価値はあると思われる。

最後に:ファーストキャリアの重要性と総合商社という選択

最初の就職先、即ち、ファーストキャリアはビジネスマンにとって極めて有用である。
そこから先、転職するにしても、留学するにしても、会社の名前が極めて重要だからである。

最初に名も無いベンチャーに就職した場合には、失敗しても、ネームバリューが無いので、転職先を探すのは大変である。

その点、総合商社であれば、第二新卒市場においても引っ張りだこである。
このため、外銀や国内系証券会社の専門職コースにおいて内定を取れなかった場合、総合商社を選択するというのは堅い選択ではないだろうか。

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