外資系金融と転職エージェントの選び方について考える

1. 何故か業界内の評判がイマイチであるにもかかわらず生き残る人の特徴

外資系金融というのは結構狭い世界であって、同じ業界の中を同じ人がグルグルと転職しているので、シニアなクラスになればなるほど、業界内における評判というのが形成される場合がある。

そうした中、業界内において、人柄がよくない(〇〇ハラスメントの傾向あり等)とか、仕事ができないと言った評判があるにもかかわらず、何度もクビになりながらしぶとく生き残っている人々が存在する。

そういった人達の特徴の一つとして、(仕事は出来ないにもかかわらず)転職能力に長けているという点があげられる。そういう人達は、(仕事はあまりしないにもかかわらず)上手く転職エージェントと付き合あって、いつの間にか案件を上手く見つけて、転職に成功しているのである。

生存競争が厳しい外資系金融機関においては、実力だけでは生き残るのは難しく、運とかその他の能力も必要になってくる。そこで、今回は転職エージェントの選び方について考えてみたい。

2. 転職エージェントの選び方における定説

転職エージェントの選び方については、Webでも書籍でも、かなり多くの情報が出回っている。例えば、Googleで、「転職エージェント、選び方」で検索を掛けてみると、以下の様な事項が紹介されているのではないだろうか?

・ただ案件を持ってくるだけでなく、キャリアプランについても相談に乗ってくれる転職エージェントと付き合う。

・少なくとも2社以上の転職エージェントに登録する。

・その業界に関する詳しい知識を持ち合わせた転職エージェントと付き合う。

・出回り案件だけではなく、独自の案件を取り扱う転職エージェントを選ぶ。

3. 転職エージェントの選び方における定説について留意しなければならないこと

上記の転職エージェントの選び方については、全くその通りであろう。
ただ、問題があるとすれば、上記のような理想的な転職エージェントと付き合うというのは、結果であって、最初からピンポイントで優れた転職エージェントと出会うことはできない。

そもそも、「案件の紹介だけではなく、キャリアプランの相談にも乗ってくれる」という点について見ると、長期的な視点で適切なキャリアプランに関するアドバイスができる転職エージェントなどはそう多くは無い。特に、転職希望者がシニアな場合には、大手にありがちな若手の転職エージェントではとてもキャリアプランの話などできないだろう。

また、「出回り案件だけではなく、独自の案件も紹介してくれる」というのは、極めて重要な視点であるが、それが本当に独自の案件かどうかもわからないし、転職エージェントによって強み・弱みがあるので、ある程度複数の転職エージェントとお付き合いしていかないとなかなか上手くは行かない。

4. 良い転職エージェントと付き合うために求められるプロセス

①なるべく多くの転職エージェントに登録・コンタクトする

良い転職エージェントの選び方として、「少なくとも2社以上の」転職エージェントに登録すべきという考え方がある。

確かに、その通りだが、「2社以上」というのがポイントであって、2社では足りない。
思うに、少なくとも5社以上、できれば10社以上の転職エージェントに登録することが必要である。

もちろん、常時10社以上の登録エージェントと連絡を密にする必要は無いが、転職する意思が明確になれば、そのタイミングで10社を目標に登録したいものである。

10社の選び方については、普通にGoogle検索で「外資系金融、転職」で抽出して、その候補の中から良さげなところを10社程選んで片っ端から登録するのである。

もちろん、これは面倒くさいことなので、何度も転職慣れをしている外資系金融業界の人達も、なかなか10社も登録する人は少ないであろう。しかし、転職を決意した入り口段階で頑張っておくと、後々楽になってくる。

その理由としては、転職エージェントによって得意・不得意があるので、そもそも1~2社だけでは不十分である。また、転職エージェントの担当者にも当たりハズレがある。このため、ある程度多くの転職エージェントに登録をしておく必要がある。

多くの転職エージェントに登録すると、同じ案件が複数の転職エージェントから紹介されることになる。その場合、真っ先に案件を紹介してくれる転職エージェントもあれば、事実上決まりかけた段階になってから、案件を持ってくる転職エージェントもいる。そうすると、どこの転職エージェントが優秀かというのが見えて来る。

また、大手の転職エージェントの場合には、実質的にエクスクルーシブに近い案件を持っている場合がある。そういう案件を紹介してもらえると、競合が少ないし、採用側企業の採用プロセス等についていろいろと情報を入手してもらえるので極めて有利である。従って、複数の大手の転職エージェントに登録しておくことが必要なのである。

②個人経営の転職エージェントも活用する:ビズリーチ

ロバートウォルターズとかマイケルペイジのような大手の転職エージェント以外に、個人経営の転職エージェントも存在している。

個人経営の転職エージェントの場合には、カバレッジが狭い反面、特定の企業については深く食い込んでいて、ピンポイントでかなり優良案件をいち早く紹介してもらえる場合がある。長年個人で転職エージェントとして生き残っているのは、どこかしら、強みがある場合がある。

したがって、個人経営の転職エージェントともつながっておきたい。
そういった個人経営の転職エージェントをGoogle検索することは難しいが、今は、ビズリーチという便利なプラットフォームが出来ている。

ビズリーチに登録しておくと、個人経営の転職エージェントもアクセスできるので、向こうの方からアプローチしてきてくれる。

もちろん、当たりはずれはあるが、間口を拡げる意味で、転職エージェントのポートフォリオの中には、是非有能な個人経営の転職エージェントも有しておきたいところだ。

③Executive Search Firmへの登録

これも、長年外資系金融で働いている人でも、やっていない人が多い。
Executive Search Firmとは、ラッセル・レイノルズ、エゴンゼンダー、コーンフェリー、スペンサースチュワート、ハイドリック&ストラグルが代表的なFirmであり、採用側企業からの依頼を受けて候補者のサーチを行う、採用に掛かるコンサルティング・ファームである。

何故、Executive Search Firmがいいかというと、独占的な案件を持ってくることが多く、こういったFirm経由で紹介されると書面審査の通過は当然として、最終面接まで進める可能性が高いからだ。

昔は、こういったExecutive Search Firmというのは自ら登録をすることは出来ず、お声が掛かるのを待つ他なかったが、今は自ら登録できるようになっているので、これを利用しない手はない。

もっとも、こういったFirmが対象とするのは役員クラス(或いはCXO)に限定されるので、少なくとも現職が部長以上じゃないと登録しても案件が降りてこないことが多い。

また、一般の転職エージェントの様に常時複数案件を抱えているわけではなく、案件があるときにのみお声が掛かるので、急いで転職したい場合にはあまり頼りにならないこともある。

しかし、大手外資の部長クラス以上のポジションや、ヘッジファンド、PEファンド、運用会社が日本に拠点を新設する場合にはこういったExecutive Search Firmを活用する場合があるので、登録しておいて損は無いはずだ。

④登録が完了した後は、転職エージェントからのフィードバックを待って取捨選択

大手の転職エージェントに10社以上登録し、ビズリーチにも登録し、Executive Search Firmにも登録を済ませたとしよう。

そうすると、パラパラと転職エージェントから連絡が来るはずだ。この対応を見るだけでも、ある程度転職エージェントの善し悪しがうかがえる。優秀な人は、すぐに反応してくるはずだ。

もちろん、登録したところから全てフィードバックが来るとは限らない。それでも、大手、個人、Executive Search Firmと合わせて5社以上と面談まで行くようには持っていきたい。多くの人は、付き合いの長い転職エージェント、1~2社としか付き合いが無いケースが 多いので、5社以上転職エージェントへのリーチを拡げると周りの人より情報通になれるのではないだろうか。

まとめ

優秀な転職エージェントだけをピンポイントで選んで付き合うことができればベストだが、現実的にはそのように上手くは行かない。

なるべく多くの優良案件に、なるべく早いタイミングでアクセスできるようになるには、なるべく多くの転職エージェントにあたって見て、そこから絞り込んで行く他無い。

優秀な転職エージェントがいても、そういった人達は結構独立したり、転職したりするので、まめに転職エージェント情報はアップデイトする必要がある。

いろいろな情報源を抑えておいた方が良いので、個人経営の転職エージェントや、Executive Search Firmとも付き合うようにしたい。

多くの転職エージェントに登録したり、面談したりするのは面倒だが、良い転職活動ができる確率を高めるためには不可欠なコストと言えよう。
ここは頑張って、行動したいところだ。

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