東大王と、出演者(伊沢拓司さん、水上颯さん、鈴木光さん)のキャリアについて考える

1. 東大王と、東大の出演者のキャリアについて考える

東大王という、TBS系列で放送中の人気クイズバラエティ番組がある。
これは、2017年4月から毎週放送されており、すっかりゴールデンタイム枠に定着し、視聴率も高く、今ではすっかりTBSの人気番組になっているようである。

ここで気になるのが、出演者の(元)東大生達のキャリアである。
レギュラーになっている、伊沢拓司さん、鶴崎修功さん、水上颯さんは渡辺エンターテインメントに所属しているタレントということにもなっているようだが、今後もそれを生業とするのかどうかはよくわからない。

また、一番人気がある?と思われる、鈴木光さんについては、弁護士志望ということなので卒業後はタレントとは無関係のキャリアを歩むことになるかも知れない。

そこで、お節介ながら、キャリアを考えることが本メディアの目的でもあるので、東大王の出演者のキャリアについて、テレビ出演の影響を踏まえて考えて行きたい。

2. テレビ出演の一般的なメリット・デメリット

東大王は、全国ネットのゴールデンタイムにおける人気番組である。
このため、出演者は良くも悪くも、テレビ出演によるメリットとデメリットをもろに受けることとなる。

テレビ出演によるメリットは、何といっても、圧倒的な知名度の向上である。
メディアとしてのネットの台頭により、一時期よりは影響力は衰退したと言われるものの、まだまだテレビの影響力は強力である。

特に、リーチの広さがとにかく凄く、短時間で1000万単位の人に届けられる。
ネットとか雑誌における有名人であっても、世間一般に広く知れ渡るということはなかなか無い。典型的なものがユーチューバーで、はじめしゃちょーとかヒカキンというのはYouTubeの世界では知らない者はいないが、年配の人や地方の人など、全国的に一般的な知名度はまだまだ低い。

ところが、テレビの場合には全国、老若男女に隈なく伝わるので、知名度向上という点を考えると、テレビ程効果的なメディアは無いだろう。

反対に、デメリットも当然存在する。
それは、テレビに出演することによって、公人的な立場になり、プライバシーが無くなってしまうことだ。
一般人では無関係であるはずの「スキャンダル」の脅威に晒されることとなる。

また、女性の場合には、ストーカー的なリスクが生じる場合もある。

東大王にレギュラーとしての出演者は、これらのメリットとデメリットがキャリア形成に影響することとなる。

3. 各レギュラー出演者毎のキャリア形成と東大王出演の影響

①伊沢拓司さん

伊沢拓司さんは開成高校の時からクイズ番組に出演し、東大王チームの初代大将を務めたほどのクイズの達人である。

伊沢さんは東大大学院を中退し、起業してQuizknockというウェブメディアを運営している。

2019年9月24日現在、YouTubeのQuizknockのチャンネル登録者数は90.1万人であり、過去の収録番組の再生回数は数十万~数百万回と再生回数も多い。

YouTubeの場合、チャンネル登録者数が10万人あたり、月収は100万円とも言われており、単純計算すると年商ベースだとYouTubeだけで1億円以上稼げる計算となる。

これ以外に、「クイズ」と名が付く企画は全て収益源に結び付けることができるであろうから、クイズ関連のコンテンツ売買の他、クイズにまつわる企画営業等で収益化することも容易であろう。

テレビ出演によるメリットである、知名度の向上をフル活用しており、しかも番組と直結するクイズでメディア運営している相場観の良さは、経済学部ならではかも知れない。

他方、テレビ出演によるデメリットはスキャンダルであるが、今のところ、週刊誌沙汰とか悪い噂も無く、東大王関係者としては最も成功していると言えるのではないだろうか?

<東大王の伊沢君も参入、東大ユーチューバーは稼げるか?>
https://career21.jp/2019-06-17-144253

②水上颯さん

水上颯さんは、山梨県出身、開成経由の現役の東大生であるが、東大医学部在学中というのがポイントである。両親ともに医師という典型的な医師家庭である。

医学部というのは素晴らしいのであるが、反対に、東大医学部卒業と医師免許を捨てるとは到底考えにくいわけであるから、東大王卒業後は、基本的にメディアとは無縁のキャリアを送ることになると考えられる。

そうなると、テレビ出演による知名度向上というメリットはキャリアにおいて活用できないということになる。

もちろん、医師の世界でも、保険診療ではなく、美容外科のチェーンのように、ビジネスとしての側面で勝負する場合には、知名度は重要な武器になる。
そうであれば、東大王出演という経歴を有効活用できることとなる。

他方、テレビ出演によるデメリットはプライバシーの侵害、スキャンダルということであるが、水上さんはこのデメリットをもろに受けてしまった感がある。

2019年9月24日時点において、Google検索で「東大王 水上」のキーワードだと、
検索上位は文藝春秋を始めとするネガティブな記事で埋め尽くされてしまっている。

このスキャンダルの真偽とか、当否はよくわからないが、とにかく、現状だとスキャンダルによってすっかり悪役にされてしまっている印象がある。

医師になる以上、知名度向上のメリットは無く、反対に、スキャンダルの影響を受けてしまったので、結果論であるが、東大王出演はデメリットの方が大きいように感じられる。

そもそも、医師志望であればテレビ出演のメリットは面倒なだけで意味が無いようにも思えるが、高校の時にもクイズ番組に出演しているので、目立つことが好きだったものと思われる。

③鈴木光さん

鈴木光さんは、筑波大学付属駒場高校出身で英語も堪能な超エリートの法学部生である。
将来の志望は、高校時代に渉外弁護士の話を聞いて感銘を受けたということで、同じように渉外弁護士を目指しているということである。

このため、おそらく司法試験の予備試験を受験しているようで、論文試験がある夏場には番組出演を休んだりしていた。予備試験の論文試験の合格発表は10月10日であり、これに合格すると秋には口述試験があるので、また番組に出られなくなるかも知れない。

そして、無事に予備試験に合格すると、来年の5月頃に司法試験を受験し、9月に合格発表という流れとなる。

渉外弁護士というと、日本には4大事務所と呼ばれるトップ法律事務所があり、おそらくそこへの入所を目指すことになるのではないだろうか?

しかし、そのようなキャリアであれば、テレビ出演による知名度向上というメリットは無い。渉外法律事務所というのは、国内系或いは外資系の大手企業のみをクライアントとするため、一般個人の相続、離婚等を含めた案件は取り扱わない。
従って、いくら知名度や人気度がテレビ出演によって高まっても、渉外法律事務所の弁護士としての価値は上がらない。

どちらかというと、渉外法律事務所での中でのパートナー争いは熾烈であり(カギは上から気に入られるか)、あまり目立ちすぎることは、周りから足を引っ張られやすく、どちらかというとネガティブ要因になるだろう。

もっとも、長期的に見て、渉外弁護士を辞めて個人事務所を開くとなった場合には、知名度や人気度は絶大なる武器となる。橋下徹弁護士がその例である。
そう考えると、渉外弁護士ではなく、一般的に弁護士になるという広い視点で考えると、鈴木光さんの一連のテレビ出演を通じた知名度・人気度の上昇は、ポジティブに彼女のキャリア形成に効いてくると考えられる。

テレビ出演によるデメリットは何といってもスキャンダルであるが、彼女の場合は、かなりの品行方正なのか、東大で美人ということもあって、周りから足を引っ張られるリスクはあるにも関わらず何にも出てこないので、この点は問題なさそうである。

④鶴崎修功さん

鶴崎修功さんは、鳥取県出身で現在東大大学院の数理科学研究科の院生である。
彼も、伊沢拓司さんと仲がいいのか、ワタナベエンターテインメントに登録しているタレントであり、Quizknockにもライターとして参画している。

彼の場合は、どういうキャリアを志向しているのかはよくわからない。
数理科学研究科ということで、更に博士課程に進学して、アカポスを目指すのか、民間企業への就職を視野にいれているのかはっきりしない。

東大王出演による知名度向上の効果は、博士課程進学や民間企業への就職においては特にプラスにならないだろう。もちろん、一般的にこのような特殊な経験があれば就職において有利になる場合も多いが、彼の場合は東大であるので、もともと大抵の企業には就職が可能であるので特段のメリットにはならないだろう。

かといって、マッキンゼーとかゴールドマンサックスのような難関企業の場合において、テレビ出演で知名度が高いからといって、即採用というわけには行かない。

鶴崎さんが何を志向するかによってキャリアは変わって来るのであるが、お金重視、ビジネス重視ということであれば、伊沢拓司さんと一緒にQuizknockなどのメディア事業で活躍するというのが一番良いだろう。

もちろん、東大王という番組は何時まで続くかわからないし、YouTubeの継続的な人気度を長期間持続させることは難しいが、それでも、あと数年頑張れば、大企業の生涯賃金を獲得できてしまうくらいのポテンシャルはあるだろう。

鶴崎さんの場合も、特にスキャンダル的な問題、即ち、テレビ出演によるデメリットは無さそうなので、この点は問題無いだろう。

彼が何を軸としてキャリアを選択するのか、興味深いところである。

最後に

テレビの力、特に、キー局のゴールデン番組の影響力は今でも絶大であり、それがポジティブに左右するか、ネガティブに左右するかでキャリアに大きな影響を与える。

テレビの場合は、「イメージ作り」というのが重要なスキルになって来るので、このあたりのセンスも重要視されるだろう。

おそらく、東大王のレギュラー出演者達は、最初から計算した上で出演を決めているというよりは、面白そうだからということで出演を決めたものと推測されるが、リスクも高いので、そのあたりはよく考えるべきであろう。

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