フリーランスの金融リテラシー(家計、貯金、資産運用)について

1. フリーランスこそ、金融リテラシーが重要な理由

①急速に拡大する可能性があるフリーランスとしての生き方

働き方改革や終身雇用の廃止という大きな流れの中、新しいキャリアの選択肢の1つとして、フリーランスが注目され始めている。

もちろん、ここでいうフリーランスとは、ニート・フリーターではなく、Webサイトからクラウドワークを取ってきて細々と生活をするような形態を意味しない。

自分の専門スキルとビジネス経験に基づきプロフェッショナルとして活動し、年収水準は、同年代のサラリーマンより遥かに多額のお金を稼げるイメージである。

まだまだ、そういったフリーランスは少数派かも知れないが、今後は急速に拡がっていく可能性がある。この世界はまだまだ情報自体が不足しているが、日本の場合、横並び意識が高く、一旦「フリーランスが面白い」となると、一気に拡散するからだ。

②フリーランスには退職金と企業年金が無い

しかし、フリーランスとサラリーマンとでは、社会的な枠組みが大きく異なるので、フリーランスの良い面だけを見て、特に大手の優良企業からフリーランスに転身するのは要注意である。

それにはいろいろなものがあるが、まず、フリーランスには退職金とか企業年金が無いということが指摘できる。

「いずれ終身雇用は崩壊し、退職金とか企業年金はもらえなくなる」ということが、フリーランス論者からは指摘されたりすることがあるが、それは誤りである。

退職金とか企業年金は制度的に保護されており、企業が倒産したとしても確保されるし、税制も優遇されている。

年金についても同様で、厚生年金の受給可能額は将来減少するかも知れないが、少なくとも国民年金一本のフリーランスよりは恵まれている。

現時点で、20代の者からすると、「退職金とか年金とかそんな遠い将来の話は関係無い」と考えるかも知れないが、誰でも年は取るので、将来アリとキリギリスの寓話のようにならないようにしなければならない。

今のところ、大企業だと定年退職時には3,000万円程度の退職金(しかも税金は控除によってゼロである場合が多い)と、月額20万円代の年金がもらえることが多い訳である。
フリーランスになるのであれば、相応の貯金をしておくことが必要である。

③年収の安全性と継続性の問題…「月収」とか言っているようではダメ?

良くも悪くも、大手企業のサラリーマンの場合、定年近くまでは雇ってもらえるし、定年前にリストラされるのであれば、その分割増退職金が支払われることが多い。

また、近い将来で見ると、ボーナスは対象変動するかも知れないが、現状の年収はある程度継続的に給付してもらえることが見込まれる場合が多い。

フリーランスの場合も、確固たるスキルや経験を具備し、安定的なクライアントに困らない場合は良いが、軌道に乗るまでは不安定な側面があることは否めない。

そもそも、フリーランスの世界では「月収○○円」という表現が使われるケースがあるが、それじたいが不安定さの証である。月収×12位の年収が見込めるのであれば、「年収〇〇円」という言い方をすればいいのであって、月収という言い方をすると、お笑い芸人のように、毎月の収入が不安定であるかのような印象だ。

いずれにせよ、フリーランスの場合は大企業のサラリーマンと比べると、収入の継続性についてはリスクの高さを意識した方が良いので、将来に備えてある程度の蓄えをしておきたいところだ。

④将来成功した場合の事業展開やEXITのために有用

時価総額ランキングをやると、どの国でも上位に金融機関がランクインしているように、金融というのは、衰退産業かも知れないが、巨大産業であることは間違いない。

また、まだまだ日本では起ち上がって来ていないが、フィンテックというのはネット系ベンチャーの主要テーマであり、今後もまだまだ長期間チャンスがある分野である。

さらに、視点を金融機関ではなく、ユーザーである個人の方に目を向けても、金融庁の2000万円不足問題で世の中が大いに揺れたように、日本では全体的に金融リテラシーが低いので、個人向けの情報提供においても多くの切り口がある。

他方、金融というのは、英語やプログラミングと同様で、苦手な人はサッパリであるし、規制産業なので一定の基礎知識が無いと失敗したり騙されたりする。
しかし、それは、金融ビジネスを得意とすると一気にビジネスチャンスが拡がる可能性を示唆している。

このため、若手で成功できそうなフリーランス及びその志望者は、金融リテラシーを高めておいて損はない。

また、将来成功した暁には、サイト売却とか企業売却を行う機会も来るであろうから、その際の資産売却で失敗しないように、ファイナンスの基礎知識を付けておくのは有用である。

2. フリーランスになってしまうと金融リテラシーを学べる機会が無い?

上記のように、金融リテラシーというのは、会社が助けてくれないフリーランスこそ磨いておく必要があるのだが、フリーランスになればなかなか金融リテラシーを学ぶ機会に恵まれない。

企業のHP、経済誌、個人メディアなど、金融とか資産運用に関する情報は溢れているものの、その真偽はわからないし、いきなり証券会社に飛び込んでいくのも結構敷居が高い。

3. とりあえず、フリーランスが考えておくべき金融リテラシー

現実的には、金融知識が無いフリーランスが、運用の手法とか年金とか学習することは難しい。そこで、とりあえず、以下の様な最低レベルのことを意識し、ある程度の貯金の習慣が身に付いたり、そこそこの貯金を作ることが先決である。

運用の手法とかを考えるのは、それらができてからで十分である。

①フリーランスの家計:まずは毎月一定額の貯金を作ること

ある意味、成功していそうなフリーランスの人達は、年齢が若いということもあるのか、収入が多くても、入ってきた分は全部使ってしまいそうである。

<参考:StockSunの若手のホープ、山本さんの場合>
https://career21.jp/2019-09-23-155937

もちろん、ケチケチする必要は無いが、浪費癖が習慣化してしまうことは危険である。
将来、経営者の視点で考えるようになることが求められるエリート・フリーランスとしては、ある程度自分自身の生活においても、規律、ガバナンスの観点が求められるのである。

若い時は浪費が武勇伝のようになることもあるのかも知れないが、年を取って来ると、信頼されなくなってくる。

それでは、毎月一定額の貯金はしましょうということであるが、いったいどの程度の貯金を目標とすればいいのだろうか?

わかりやすい目標は、年収の1割を目標にすることだ。
フリーランスの場合には、ボーナスが無いので、月収の1割を目標にするだけなので簡単な話である。

本来、FP(ファイナンシャル・プランナー)的な視点からだと、年収の2割位を貯金に回すことが理想とされるのであるが、若い時はいろいろと使いたいであろうから、取りあえず1割程度を目標にしようということである。

なお、ここでの1割とは「手取り」ではなく「額面月収」(変動する場合には平均的な月収)
である点に留意が必要である。何故、額面かというと、年収が増えるにつれて税負担が高くなっていくので、その点を認識することが必要だからである。

収入が増えれば、貯金位一気にできるとは安易に考えるべきでないことを理解することが重要なのである。

月収の1割の捻出法については、家計に関する本やコンテンツは簡単に探し出せるであろう。多くの場合は、外食代(飲み代)、携帯電話関係、服飾費、保険代を見直せということが書いてあるだろう。とにかく、何でもいいので1割を貯金に回したい。

月収の1割については、運用などを考える必要は無い。
積立定期預金のように、銀行でできてしまうサービスで十分である。
1%の利回りですら実現するのが難しい超低金利の時代なので、少額であれば尚更、運用益など考える必要は無い。

②貯金(資産額)の目標額を考える

年収に応じて、どれくらいの貯金(資産額)があればいいのだろうか?
この点に関して、論理的に導かれるものではないが、FP的に目安となる数値がある。

それは、「年収の2倍」位の貯金(資産額:除く不動産・車等)が望ましいということである。しかし、これは結構ハードルが高いということがわかる。
例えば、年収1000万円の人が年収の1割である100万円を貯金していった場合、年収の2倍、即ち、2000万円の貯金を作るには、何と20年もかかってしまう計算になる。

年収が増えれば税金が増えるので、年収が増えても、一気に貯金額を増やすことは難しい。従って、コツコツと継続していく他は無い。

「年収の2倍」というのは結構ハードルが高いので、とりあえず、わかりやすい「年収と同額」の貯金を目指せばいいだろう。

もっとも、月々1割の貯金であれば、これでも10年間は掛かってしまうことになる。

年収と同額の貯金を作ることは大変であるが、それが達成できれば、それなりの満足度があるだろう。実際、年収1000万円というと世間的にはそれなりであるが、貯金が1000万円も持っていない人も少なくないだろう(もちろん年齢によるが…)。

とりあえず、この時点まで到達できると、ある程度貯金が習慣化されているということなので、後は年収の増加に応じて資産は増えて行くことが期待できる。

③月収の1割、年収と同額の貯金を目指す

以上をまとめると、とりあえず、月収の1割、年収と同額の貯金を目指したい。
資産運用を考えるのはそこからでも遅くないはずだ。

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