近畿大学(近大)【22卒向け】の就職、偏差値と関関同立に追い付くための課題

1. 近畿大学(近大)とは?何故「近大」が注目されるのか?

①近畿大学(近大)とは?

近大(きんだい)の呼び名で知られる近畿大学は、関西では著名な大学であり、知らない人はいないであろう。

他方、関関同立も同様であるが、関西の著名な大学でも、首都圏においてはあまり知られていない傾向があると思われる。

近畿大学は、日本でも有数のマンモス大学であり、学部生の総数は3万3千人を超え、日本でもトップ3に入る生徒数を誇る。

内容的にも、文系学部から、医学部、薬学部を含む理系学部まで広範に亘り、卒業生総数も多い。

学校群としては、関関同立に続く、龍甲産近の中のトップ校的な位置づけであり、首都圏でいう日本大学と似たポジションニングにあるとも言える。

②何故、近大が注目されるのか?

もっとも、近大関係者からすると、関西における日大的な位置づけと言われると、大いに不満であろう。

何故なら、近年、就職、偏差値、注目度が上昇しており、上位の学校群である関関同立に追い付くような勢いがあるからである。

実際、関関同立と近大との差は、偏差値や人気度においてかなり縮まってきている。東京では、アメフトのタックル事件の影響もあり、MARCHと日大との差は拡大していると思われるので、この点は大きな違いである。

これには、大学側がかなりユニークで熱心な諸施策を採り続けていることが背景にある。
例えば、完全な養殖化に成功した近大マグロで成果を出しているし、最近の「早慶近」という新聞広告が注目されるなど、捻ったPR活動も注目されている。
https://www.advertimes.com/20171102/article260034/

もちろん、学生視点でのサービスも強化しており、メインキャンパス内における図書館、食堂・カフェ、イベントホールという施設面は素晴らしいものがある。
https://www.kindai.ac.jp/about-kindai/campus-guide/higashi-osaka/

そして、もっとも注目されるものが、総志願者数ランキングが全国ナンバー1ということである。大学入試制度を整備し、多様な制度を用意し、PRに奏功したため、大学の人気度・知名度を図る上での重要指標である、総志願者数ランキングのトップの座を取ることができたのだ。
https://dot.asahi.com/wa/2019022700037.html

3. 近畿大学(近大)の就職状況について

①全体的な就職力を測る上では、大企業への就職率がわかりやすい

就職力と言っても、業種が異なる企業について個別にスコアリングをすることは難しいので、大学の大雑把な就職力を測る上では、毎年東洋経済社が公表している有名企業就職率ランキングがわかりやすいと思われる。
https://toyokeizai.net/articles/-/301227

この指標で見ると、近畿大学は9.6%で全国116位にランクされている。
関西の著名な私立大学学校群である、龍甲産近でみると、
京都産業大学が9.8%、甲南大学が9.4%、龍谷大学が8.9%となっており、
龍甲産近の括りの中では、どこも同じような数字なっている。

他方、偏差値的に相対的に上位に位置する学校群である関関同立と比べて見ると、
同志社が31.6%、関西学院が26.2%、立命館が23.9%、関西大学が19.6%、
と学校群における開きはかなりあるが、20~30%の水準になっており、近畿大学とはかなりの開きがあると言わざるを得ない。

②近畿大学の手厚い就職支援体制:キャリアセンターについて

近畿大学の人気が上昇を続けている背景としては、手厚い就職支援体制の存在を指摘できるであろう。近畿大学はキャリアセンターという組織を有しており、様々な角度から学生の就職活動等のキャリアに関する支援活動を広く実施している。

https://www.kindai.ac.jp/career/

まず、キャリアセンターは1年生から利用できるのが特色である。いわゆる経団連の就活ルールが廃止となり、就活の早期開始が見込まれているので、学生としてはこれを有効活用し、早くから就活の準備をしたいところだ。

また、「TSUNAGU プロジェクト」という、早期からのアプローチが必要と思われる学生に絞って、個別のサポート活動も実施している。このうち、「リスタートサポート制度」というのは、就職活動がうまく進まずに不安を抱えている学生に呼びかけ、これまでの就活を振り返り、個別的なアドバイスを実施する制度である。

さらに、「キャリアアシスタント制度」というものは、最終学年の秋時点で進路未決定の学生を対象に、若手職員が学生一人ひとりの身近な理解者として、進路に関わる相談を行うものである。

近畿大学は全国でも有数のマンモス校でもあるのだが、こういったきめ細かいキャリアセンターを通じたサポートを強みとしているのである。

③近畿大学の就職に関する全体的な傾向

近畿大学の就職先の全体的なイメージを掴むためには、大学の公式HPが詳細に開示をしてくれている。

https://www.kindai.ac.jp/career/data/

これによると、業種別の内訳については、以下の様になっている。

関関同立では金融・保険業の比率が高いが、近畿大学の場合は小売業と製造業の割合が高いのが特徴である。また、建設業が8.61%と比較的高い割合となっている。

<近畿大学の就職先の業種別分類>
業種 (%)
棚卸・小売業 18.52
製造業 18.14
サービス業 13.32
建設業 8.61
情報通信業 8.27
金融・保険業 8.17
公務員 4.43
医療・教育 2.65
不動産業 1.89
教員 1.62

(出所:近畿大学HP 「全学部就職データ 業種内訳」より外資系金融キャリア研究所が抜粋)

規模別では、「従業員500人以上の大企業へ62.2%が就職」ということを大学はアピールしている。もっとも、多くの就活生が希望する、従業員が3000人以上の巨大企業については21.3%なので、このあたりはまだ改善の余地があるのではないだろうか?

就職先企業に関して地域別で見ると、求人企業については関東が38.0%、中部が17.0%、近畿が30.0%であるのに対して、就職者の割合で見ると、関東が38.1%、中部が5.8%、近畿が46.1%と、地元の近畿の比率が高くなっている。この点は、学生の地元志向が比較的強いということだろうか。

④具体的な就職先はどうか?

近畿大学の具体的な就職先企業については、上で引用した公式HPにおいて紹介されている。
このうち、4名以上の就職先企業・団体を抜粋すると、以下の様になる。

<近畿大学の主な就職先(4名以上)
順位 就職先 就職者数
1 大和ハウス工業 39
2 大阪府警 35
3 日本郵便 29
3 一条工務店 29
5 関西みらい銀行 21
6 紀陽銀行 18
7 山崎製パン 17
8 池田泉州銀行 16
9 大阪府教育委員会 12
9 JR東海 12
11 九電工 11
11 JR西日本 11
13 日本電産 10
13 積水ハウス 10
15 富士ソフト 9
15 ダイハツ工業 9
15 きんでん 9
15 伊藤園 9
15 住友林業 9
15 京都銀行 9
15 グローリー 9
22 関西電力 8
22 JFEスチール 8
22 近畿日本鉄道 8
22 南都銀行 8
22 大鉄工業 8
22 UCC上島珈琲 8
28 日本郵政 7
28 トラスコ中山 7
28 因幡電機産業 7
31 日本通運 6
31 りそな銀行 6
31 五洋建設 6
31 Sky 6
31 アイリスオーヤマ 6
31 立花エレテック 6
37 全日本空輸 5
37 日本航空 5
37 熊谷組 5
37 大阪シティ信用金庫 5
41 富士通 4
41 野村證券 4
41 ジェイテクト 4
41 凸版印刷 4
41 住友電装 4
41 ニトリ 4
41 THK 4
41 阪急電鉄 4
41 三井住友建設 4
41 東急建設 4
41 エフピコ 4

(出所:近畿大学公式HPから外資系金融キャリア研究所が抜粋)

こちらも、関関同立の一角でおそらく近畿大学がライバル視しているであろう、関西大学と比較すると、もう少し就職力に関するイメージが掴めるかも知れない。

<関西大学の就職の概要について>
https://career21.jp/2019-05-28-092931

上位に公務員、日本郵便、地銀がランクインしているところや、関西系の大手メーカーが見られるところは共通しているが、若干、関西大学の方が全体的に企業の規模感が大きいような気がしないだろうか?

有名企業への就職率では関西大学に2倍以上の大差を付けられているので、それと比較するとそこまで違いは無いようにも見えるが、トータルで見ると、まだまだ関関同立の一角である関西大学の方が就職力はあるように思われる。

4. 近畿大学が関関同立に追い付くための課題

①キャンパス立地の問題

近畿大学のメインキャンパスにおける教室、図書館、ホール、食堂・カフェといった設備は日本でも有数のゴージャス差であろう。ハード面においては、関関同立を上回るレベルであろう。

ただ、問題はキャンパスの立地である。
近畿大学のメインキャンパスは、東大阪市にあり、これはJR大阪駅・阪急梅田駅という大阪の中心部から40~50分位かかり、決して近くはない。

また、関西学院のメインキャンパスのある、西宮市甲東園のような洒落た高級住宅地的な雰囲気ではない。

関西大学のメインキャンパスの千里山も近くは無いが、雰囲気的には良好である。
もちろん、同志社は京都のど真ん中にキャンパスがある。

このように考えると、近畿大学のキャンパス立地は関関同立と比べると、もう一工夫欲しいところだ。
例えば、梅田とか難波のど真ん中あたりに、サテライトオフィスのようなものを設置できれば、更に魅力が高まり、関関同立追撃態勢が整うように思われる。
もっとも、予算が要るので、OB会等に頑張ってもらう必要はあるが。

②偏差値、入試難易度における課題

一連の諸施策が奏功し、近畿大学の知名度、受験生からの人気、世間的な評価はかなり向上した。

中には、関西大学を難易度・偏差値で追い抜いたという意見もあるが、冷静に偏差値を比べて見ると、まだ関関同立には届かない位置にある。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/4270/campus.html

医学部や薬学部を除くと、偏差値は、50~57.5位のレンジにあり、同じ学部で関西大学と比較すると、1~2ノッチ位は近畿大学の方が低い。

この点、全体的に偏差値を関西大学に近づけるのは厳しいので、メリハリをつけて、重点強化学部を決めて、そこにフォーカスするのが効率的であろう。

MARCHから抜け出すために、立教大学が経営学部にフォーカスしている戦略が、参考になるのではないだろうか?

英語、プログラミング、会計等の教育に重点を置き、意図的に経営学部の就職力や評価を高め、偏差値をもう少しあげることができると、関西大学の商学部あたりは射程圏に入ってくるだろう。

法学部は新司法試験、予備試験、法科大学院への進学といったファクターが絡んできて対応が難しそうなので、経営学部或いは経済学部といった経済/ビジネス系の学部の強化がわかりやすくて面白いのではないだろうか?

③就職力の向上

首都圏におけるMARCHと日東駒専との就職格差が大きいのと同様に、
関西圏でも関関同立と龍甲産近との就職格差はまだまだ小さくはない。

有名企業の就職率で見ると、関関同立の中でもっとも低い関西大学とも2倍以上の開きがある。

ここはもう少し、改善したいところである。
目標とする指標を何にするのかにもよるが、人気業の就職率を高まることをKPI化して、諸策を講じていることが求められる。

一気に全学部改善させることは難しいので、偏差値対応と同様、対策が立てやすい経済/経営系の学部にフォーカスする等して、数値を改善していく必要があるだろう。

また、関関同立があまり強くない業種を攻めるという手も有効だと思う。
関関同立は、大手金融機関への就職率が高いのが特徴であるが、ここで競争しても余り勝ち目は無いだろう。また、大手金融機関は長期的に見て衰退していくセクターであろうから、ここにフォーカスするのも戦略的ではない。

そうすると、関関同立が手薄な、IT・ネット系企業を攻めてみるのも面白い。
なお、ここでいうIT・ネット系というのは独立・起業ではなく、ヤフー、楽天、サイバーエージェント、GMOといった既存の大手ベンチャー系企業である。

こういったところはコンサバティブでは無いし、学歴主義でも無いので、学生を鍛えると内定率を高めることは可能であろう。学生サイドとしても、ベンチャー企業でインターンをしたり、採用面接に応募することによって、大手企業の就活に向けた良いトレーニングとなる。最近では、キャリコネ、Meets Company、キミスカといった様々なサービスがあるので、こういったところに登録して活動するのも良いだろう。

登録はこちら(Meets Companyの公式サイト)

もちろん、ベンチャー起業をサポートする仕組みも有用なので、積極的な対応が期待されるところである。

さらに、今までは近畿大学から就職実績が無いような超難関企業、例えば、総合商社、外資系人気企業、電通、博報堂というところに初の就職者を出せば、注目度も上がるだろう。大学内部に選抜コミュニティ的な組織を設置し、特に優秀と思われる学生に対しては、超難関企業の就活支援を手取り足取り行えば、可能性はあるかも知れない。

最後に:まだまだ厚い、関関同立の壁

ここまで近大も頑張って来ているのだが、やはり、歴史のある関関同立との格差を埋めることは難しい。

近畿大学は、人気度、難易度、就職力において上げ基調にあるので、将来関西大学あたりを捉える可能性はあるが、何といってもそれには時間がかかる。

また、入口、入試における偏差値・難易度においても、まだまだ関関同立に分がある。

就職と偏差値は相互に影響を与え合うものなので、近畿大学としては、両者の改善を同時に進めていく必要があるだろう。

固定的な大学の評価を逆転するのは難しいが、近畿大学には可能性があるので、今後も注視していきたいところだ。

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