1. 一橋大学社会科学部とは?
一橋大学社会学部は、定員235名の学部であり、商学部・経済学部(定員275名)より、
1回り小さく、法学部(170名)よりは若干人数が多い学部である。
一橋大学社会学部の特徴は、法学部に所属することが多い、政治学科を包含している点である。名称は「社会科学部」であるが、研究領域は哲学・思想から歴史・人類学まで幅広くカバーし、私立大学における社会科学部よりも広い守備範囲となっている。
また、女子学生の比率が45%と、他学部(20~30%)と比べて高くなっている点が特色である。
難易度的には、他学部と比べて偏差値的にはほとんど変わらないのであるが、就職は若干弱いのではないかと考えられている。
そこで、一橋大学社会科学部の具体的な就職状況について検討したい。
なお、一橋大学の他学部の就職状況については、以下の過去記事をご参照下さい。
<一橋大学経済学部の就職と課題>
https://career21.jp/2019-08-19-081836
<一橋大学法学部の就職と課題(但し、2018/3卒業生対象)>
https://career21.jp/2018-12-18-070107
<一橋大学商学部の就職と課題(但し、2018年3月卒業生対象)>
https://career21.jp/2018-12-31-002951
2. 一橋大学社会科学部の進路の概要
一橋大学の進路については学部によって情報開示が異なる。
大学公式HPはデータが更新されていないが、社会科学部の場合、例年20人位が大学院に進学する。
このため、就職者数は210人程度であるが、このうち10人位が公務員になるので(公務員になる者の比率は低い)、例年約200名が民間企業に就職している。
業種別で見ると、金融機関への就職者数が20人程度であり、就職者の1割程度である。
経済学部や商学部の場合、就職者の約3割位が金融機関に就職するので、社会科学部における金融シェアは圧倒的に低い。
他方、製造業には70人位、比率でいうと約3割が就職し、他学部と比べて最も製造業への就職者比率が高い学部となっている。
一橋大学社会科学部の特徴は、金融機関の比率が低く、製造業の比率が高い。
これが他学部と比べた、社会科学部の特徴である。
3. 一橋大学社会科学部の就職先について
一橋大学の場合、大手金融機関(除く専門職採用)や大手メーカーの場合、ほぼフリーパスで内定をもらうことができる。
この点は、東大や早慶と基本的に同様であり、一橋大学社会科学部が他学部と比べて、就職が悪いということはない。
他方、外銀、外コン、キー局、マスコミ、デベロッパーあたりについては、内定をもらうことは難しい。この点も、他の難関大学と同様である。
従って、一橋大学社会科学部について、その特徴的な業界や企業への就職状況について検討してみる。
①マスコミへの就職状況について
一橋大学社会科学部の場合、他学部と比べて、マスコミへの就職希望者が多いと言われている。実際、毎年20人、比率でいうと1割程度がマスコミに就職している。
(他学部は10人未満)
2019/3卒業生についての就職状況を見ると、以下の様なマスコミに就職している。
共同通信、読売新聞(3名)、KADOKAWA、講談社、NHK(4名)、日経新聞、ADK、博報堂、地方紙、地方テレビ局他
電通やキー局への就職者が見られず、他学部と比較して、マスコミへの就職が特段強いというわけでは無さそうである。
②総合商社への就職状況について
一橋大学社会科学部から総合商社への就職者数は、例年十数人程度であり、経済学部や商学部と比較すると、若干低くなっている。
2019/3卒業生の場合、三菱商事(3名)、三井物産、住友商事等、他学部同様に総合商社に就職しているので、総合商社への就職力が弱いということは無さそうである。
③外銀、外コンその他
一橋大学社会科学部の2019/3卒業生に関して、外銀への就職者は見当たらない。
コンサルについては、PwCコンサルティング、アビームコンサルティング、ベイカレントコンサルティングといった総合系ファームへの実績はあるが、いわゆるMBBは見当たらない。
この点、経済学部や商学部と比較すると、就職力が若干弱いとされる原因かも知れない。
4. 一橋大学社会科学部の就職における課題について
やはり、トップ就活生における最難関企業である、外銀・外コンへの就職者がいないというのが寂しいところであろう。
もちろん、これは学生の価値観によるので、そちらに挑戦するように誘導することはできないし、金融を志望するのであれば、最初から経済学部や商学部を選択していたということもできる。
とは言え、この点は何とかしたいところである。
また、社会科学部の特徴として、マスコミ志望者が多く、実際マスコミに就職する者の割合が他学部よりも高いという傾向はあるようだ。
しかし、そうであれば、電通・博報堂、キー局への就職者数をもっと増やしてもいいだろう。金融やコンサルが少ないというのは学部の特色上仕方が無いかも知れないが、マスコミが多いのが特色であれば、そこをもう少し強化したいところだ。
以上より、一橋大学社会科学部の就職力が他学部と比べて特に弱いということは無いと思われるが、比較すると、若干ではあるが、経済学部や商学部の方が良いのではないだろうか。