1. 改めて感じる、理系大の就職率の高さ
東京電機大学というと、その名の通り、東京にキャンパスのある電機を中心とした理工系特化の私立大学という想像は付くだろう。
ただ、具体的な大学の内容等を知っている人は、首都圏在住の人でもそれほど多くは無いだろう。
しかし、特筆すべきは、何といっても、その就職力である。
東京電機大学の有名企業400社への実就職率は、53位・17.2%と上位であり、首都圏の有力国立大学である筑波大学(51位・18.5%)や千葉大学(57位・16.4%)と同水準にある。
https://toyokeizai.net/articles/-/301227
また、日東駒専の同就職率が7%~9%であるので、比較すると、東京電機大学の方が遥かに上位にある。
東京電機大学の偏差値がだいたい40代後半から50ちょっとのレンジにあり、ほぼ日東駒専の理系学部と同じくらいであることを考えると、就職力的にはかなりの魅力があると言えるだろう。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/2850/campus.html
総じて、理系大の就職は良好と言われているが、東京電機大学のデータを見ると、改めて理系大の就職の強さを感じることができる。
(なお、東京理科大学と芝浦工業大学の就職と課題については、こちら)
<東京理科大学の就職先と課題について>
https://career21.jp/2019-09-13-181000
<芝浦工業大学の就職先と課題について>
https://career21.jp/2019-09-16-131747
2. そもそも、東京電機大学とは?
東京電機大学とは、1907年に創設された電機学校を起源とし、電機工業専門学校が前身となって開学した大学である。
新入生の総数は2145人、学生総数は8,500人程度であり、単科大学としてはそれなりの規模感である。
キャンパスは元々は東京の神田にあったのだが、2012年にメインキャンパスは現在の北千住駅前に移転している。
卒業生には、有名人も結構多い。
経済界においては、カシオの創業者の樫尾俊雄氏、元ケーズホールディング会長兼CEOの加藤修一氏、手島透スタンレー電気社長、富士ソフトの創業者の野澤宏氏、コーエーテクモゲームス社長の鯉沼久史氏等が有名である。
また、文芸界では、直木賞作家の新田次郎氏、ゴジラとウルトラマンの特撮で有名な円谷英二氏も卒業生である。
3. 東京電機大学の就職先について
東京電機大学は就職力の強さを認識しており、受験生向けにも積極的にPRをしている。
就職に強い理由としては、
「実学尊重の姿勢」
「確かな基礎学力」
「科学技術者としての素養」を身につけるための教育、
約21万人の卒業生との連携、
を掲げている。
https://www.dendai.ac.jp/about/career/job.html
具体的な就職先については、上位20社(就職者5名以上)について大学の公式HPで開示をしている。これだけだと、卒業生の1部の状況しかわからないが、何となく就職先のイメージを把握することはできるであろう。
<東京電機大学の2018年3月卒業生の就職実績>
順位 | 企業名 | 就職者数 |
1 | 三菱電機 | 15 |
2 | JR東日本 | 12 |
3 | 日本電気 | 11 |
3 | スズキ | 11 |
5 | 大和ハウス工業 | 10 |
6 | 富士電機 | 8 |
6 | ケーヒン | 8 |
8 | 関電工 | 6 |
8 | パイオニア | 6 |
8 | NECフィールディング | 6 |
8 | 東急コミュニティー | 6 |
8 | アルファシステムズ | 6 |
8 | クレスコ | 6 |
8 | ラック | 6 |
8 | ジャトコ | 6 |
8 | システナ | 6 |
8 | DTS | 6 |
18 | トヨタ自動車 | 5 |
18 | 富士通 | 5 |
18 | 凸版印刷 | 5 |
18 | 東京メトロ | 5 |
18 | 積水ハウス | 5 |
18 | マクニカ | 5 |
18 | NECフィールディングプラットフォームズ | 5 |
18 | 沖電気工業 | 5 |
18 | 日本精機 | 5 |
18 | 不二ラテックス | 5 |
18 | 日本ケミコン | 5 |
(出所:東京電機大学公式HPより作成)
こちらのランキングを見ると、その名の通り、三菱電機、日本電気、富士電機、富士通、沖電気といった電機系のメーカーがランクインしている。
それ以外は、スズキ、ケーヒン、ジャトコ、トヨタといった自動車・自動車部品メーカーも見られる。
4. 東京電機大学の就職における課題について
東京電機大学の場合、就職力の強さを自負しており、これを武器として受験生を確保しようという狙いがうかがえる。
現時点でも、上位400社への就職率は高いので、こういった数値をベンチマークとして更なる就職力を全体的に高めることが、受験生とか、採用側企業に対する良いアピールとなるだろう。
また、受験生向けのPRとしては、人工知能、暗号理論、AR/VR、機械学習、IoTといったIT・プログラミング系のキーワードを多く使用しているが、インターネット系企業とか通信系キャリアへの就職の強さが良くわからない。
このあたりの分野に対する就職力の強化は今後の課題になるのではないだろうか?
それから、理科系特化型の私立大学全般にあてはまるのだが、知名度の低さや地味目なイメージもある程度は払拭したいところだ。
学校のPRをしていくことが求められるのだが、これには予算上の制約もあるだろう。
このあたりは、OB会とタイアップする等、粘り強い対応が期待される。
最後に
「大学は就職予備校ではない」という意見もあるかも知れないが、学生からすると、もっとも重要なのは、やはり就職力では無いだろうか?
学生生活自体は、総合大学の方が華やかさがあるし、知名度もある。
このあたり、学校選びにおいては迷うところかも知れないが、就職力に重点を置くと、東京電機大学の様な就職力のある理科系単科大学も捨てがたいと思われる。