1. 芝浦工業大学とは?
芝浦工業大学は、昭和2年設立の東京高等工商学校が前身で、昭和24年に芝浦工業大学として設立された、理系に特化した大学である。
総じて、理系に特化した〇〇工業大学というのは地味目な印象があるのであるが、芝浦工業大学の場合、1学年の生徒数は2,000人弱であり、同じ理系特化の私立大学である東京理科大学(1学年4,000人弱)と比べると小規模であるが、東京工業大学(1学年(学部)1,000人程度)と比較すると、それなりの規模であることがうかがえる。
また、メインキャンパスが豊洲にあり、理系メインの大学でありながら、都心立地という特色がある。
2. 有名企業への就職率が高い
それでは、芝浦工業大学の特徴、売りは何かというと、何といっても就職の良さだろう。
就職の良さを定量評価するのは難しいのであるが、比較的参考になる指標としては、「有名企業400社への就職率」が参考になるだろう。
https://toyokeizai.net/articles/-/237539
こちらのデータによると、芝浦工業大学の有名企業400社への実就職率は31.7%と高く、このランキングにおいて17位にランクされている。
ちなみに、同じく東京の理系特化型の私立大学の代表格である東京理科大学の場合、こちらの数値は36.8%(7位)となっている。
<東京理科大学の就職先と課題について>
https://career21.jp/2019-09-13-181000
芝浦工業大学の入試難易度については、パスナビによると、偏差値は50~60位のレンジであり、類似の学科で比べると、だいたいMARCHの若干下位の位置付けである。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/2450/campus.html
しかし、就職力に関していうと、MARCHの「有名企業への就職率」は、21.8~30.9%となっており、芝浦工業大学は就職に着眼するとお買い得な大学であると評価できるのではないだろうか?
3. 芝浦工業大学の就職先企業について
芝浦工業大学の就職状況に関する情報開示は比較的良好であり、主要就職先トップ50社について具体的な社名と就職者数について開示をしてくれている。
https://www.shibaura-it.ac.jp/career_support/data/2018/ranking.html
ここから、ご参考までに、上位20社を紹介すると以下の様になっている。
これを見ると、ある程度就職の状況をイメージできるのではないかと思われる。
なお、こちらは2019年3月卒業生を対象としたもので、学部卒業生1,632人のうち、474名が大学院に進学している。約3割が大学院に進学するということであり、残りの約7割が就職をすることとなる。
<2019年3月卒業生の主要就職先上位20社>
順位 | 社名 | 人数 |
1 | JR東日本 | 29 |
2 | 本田技研工業 | 26 |
3 | JR東海 | 24 |
4 | 大和ハウス工業 | 15 |
5 | キャノン | 10 |
5 | 清水建設 | 10 |
5 | 戸田建設 | 10 |
5 | アズビル | 10 |
9 | トヨタ | 9 |
9 | 竹中工務店 | 9 |
9 | 東京都特別区 | 9 |
12 | 三菱自動車工業 | 8 |
12 | ファナック | 8 |
12 | セイコーエプソン | 8 |
12 | オリンパス | 8 |
12 | 東京都 | 8 |
18 | 日本電気 | 7 |
18 | 積水ハウス | 7 |
18 | 株式会社SUBARU | 7 |
18 | 大成建設 | 7 |
18 | 凸版印刷 | 7 |
18 | 日本電産 | 7 |
18 | 長谷工コーポレーション | 7 |
18 | LIXIL | 7 |
18 | ボッシュ | 7 |
(出所:芝浦工業大学公式HPより抜粋)
4. 芝浦工業大学の就職力に関する評価
上記の通り、芝浦工業大学の就職状況は大手のメーカーを中心に非常に良好だと思われる。
大学入学時における偏差値に関しては、建築系の難易度が相対的に高いということもあるのか、最大手のゼネコンや住宅メーカーが上位にランクされているのが特徴である。
理系特化の工学系の大学は、大企業への就職に強いようで、ランキングの上位に数多く見られるが、芝浦工業大学も例外ではなく、都心にありながら就職力も高く、授業料も工学系にしてはそれほど高額ではないように思われるので、この点は魅力であると思われる。
5. 芝浦工業大学の就職における課題について
課題があるとすれば、メーカーとか建設・住宅系と比較すると、IT系やベンチャー系での存在感が若干劣る点であろう。
伊藤忠テクノソリューション(27位)、富士ソフト、TIS(いずれも38位)、NTTデータ(49位)等の実績はあるものの、もう少しIT系への就職者数が多くてもいいのではないだろうか?
また、東京理科大学と比較すると、工学的なスキルを活かせそうなサービス業への展開が弱いようにも感じられる。
例えば、アクセンチュアとかベイカレントのような総合系コンサルティング・ファーム、金融機関に対しても、デジタル・トランスフォーメーションという流れを考えると、この分野への就職者がもう少し増えてもいいのではないだろうか?
それから、理系特化の大学であるので、ベンチャー起業に対する存在感も欲しい。
芝浦工業大学出身の起業家というのが見当たらないように思われるので、このあたりへの人材供給も望まれるところだ。
また、自らベンチャー起業をしなくても、楽天、ヤフー、サイバーエージェントといった大手ベンチャー系への就職でもいいので、今後の、IT、ネットビジネスの動向を踏まえると、このあたりは強化した方がいいのではないだろうか?
最後に
芝浦工業大学は、同じ位の偏差値レンジのMARCHの工学部系と比べると地味なイメージがあり、その分、若干難易度が低くなっているのかも知れない。
しかし、卒業後に重要になるのは、学歴よりも断然職歴であり、良い企業、行きたい企業に就職するということは極めて重要である。
この点、キャンパス立地が都心にあり、授業料も比較的リーズナブルである芝浦工業大学は、この就職力の高さを考えると、もう少し人気が上がってもおかしくはないのではないか?
このあたりは、大学側の課題かも知れないが、首都圏在住の理系の受験生としては、志望校の1つとして検討してみる価値があるかも知れない。