セルサイド(証券会社、外銀)からのヘッジファンドへの転職の可能性について

1. 外銀の将来に不安?近年時々聞かれる、転職に関する質問

ドイツ銀行の投資銀行部門の大規模なリストラが報道されるなど、外銀の将来性に不安を持つ人が増えたのか、最近職種を問わず、ヘッジファンドを含むバイサイドへの転職の可能性について質問を受けることがある。

ヘッジファンドの善し悪しは規模(AUM)で決まるわけでは全くなく、運用成果が全ての世界なので、全く聞いたことが無いが良好なヘッジファンドは多数存在する。

小規模なヘッジファンドであれば、数人位で起ち上げることができるので、転職エージェントを介さずにコネ採用に頼るケースもある。

比較的大規模なところでも、東京での従業員数は数十人規模であるので、セルサイドとは違ってどこにどういったポジションがあるのかを把握するのは不可能に近い、ミステリアスな世界である。

<ヘッジファンドの年収とキャリアについて>
https://career21.jp/2018-11-12-132108

2. セルサイド(証券会社、外銀)の(プロップ)トレーダーの転職

一般的に、セルサイドとバイサイドとでは似通っているようで、カルチャーとか業務内容は結構異なるので、見た目ほどは転職しやすいわけではない。

もっとも、セルサイドからであれば、トレーダーは比較的ヘッジファンドに転職しやすい位置にあると言える。

また、転職しなくても、セルサイドのトレーダーとして成功を収めた場合には、自らヘッジファンドを起ち上げるケースもある。

セルサイドのトレーダーとして成功出来れば、年収数億円レベルを継続して稼げた訳なのでそれだけで十分なのであるが、ヘッジファンドを起ち上げると報酬は青天井なので何とも羨ましい話である。

<セルサイドのトレーダーからヘッジファンドで成功したケース>
https://career21.jp/2018-12-10-065047

3. セルサイド(証券会社、外銀)のリサーチからのヘッジファンドへの転職

ヘッジファンドの場合、運用成果に責任を負うPM(ポートフォリオ・マネージャー)がいて、その下に、PMの運用のお手伝いをするアナリスト(平社員という意味ではなくリサーチアナリストという意味)というポジションがある。

ヘッジファンドの場合、単なるリサーチアナリストはPMの補助的な位置づけであるので、運用成果を享受できるポジションには無く、ボスであるPMから評価されると(ジュニア)PMになることができる。

それまでの間は、青天井の運用成果に連動した高額報酬はもらえないものの、固定で年収6000万円位の報酬をもらえることも珍しくない。

そのポジションに就くには、セルサイドのリサーチからでも可能性はあるが、あまり向いていないかも知れない。

というのは、セルサイドのリサーチの役割は機関投資家に対するサービス、人気が評価基準なので、斬新なリサーチアイデアを発案したり、きめ細やかなバイサイド向けのサービス提供が評価の対象となる。

このため、必ずしも運用成果が全ての環境で揉まれているわけではないので、バイサイドのファンドマネージャー職にある者の方が適性はあると考えられるからである。

また、既にバイサイドでファンドマネージャーの職にある者は、何らかのトラックレコード(自らの運用成績に関する履歴)を持っているので、アピールし易いという強みもある。

もっとも、ヘッジファンドのPMのサポート的なリサーチポジションは、高給であってもクビになるリスクが結構高いので、要注意である。

<外銀のリサーチ職の年収、キャリアについて>
https://career21.jp/2019-02-07-185048

4. セルサイド(証券会社、外銀)の営業職からのヘッジファンドへの転職について

ヘッジファンドというと、運用成果が全ての世界であるものの、ずっと投資で勝ち続けるということは非常に難しい。

このため、ある程度は運用報酬以外の運用規模(AUM:Asset Under Management)からの固定報酬にも頼ろうとするヘッジファンドも少なくない。

そうなると、運用規模(AUM)拡大のためには、機関投資家(年金基金、学校法人、金法等)を回って、自社の運用サービスを売り込む必要があるので、営業マンが必要になってくる。

このため、ヘッジファンドにおいても、優秀な営業マンに対するニーズは恒常的に存在すので、セルサイドの営業職にある者もヘッジファンドに転職するチャンスは十分にあると言える。

但し、当然であるが、同じ機関投資家対象の営業職であったとしても、セルサイドの業務内容とバイサイドの業務内容は異なるわけで、フィット感としてはバイサイドの営業に劣後することにはなる。

また、給与水準については、一般的に、セルサイド>バイサイド、であるので報酬的にそれほど魅力があるとは限らないという点には留意が必要である。

<ヘッジファンドも営業は重要>
https://career21.jp/2019-08-07-100718

5. その他、セルサイド(証券会社、外銀)からのヘッジファンドへの転職について

ヘッジファンドはピンキリであり、当然年収水準もピンキリである。
とは言え、ある程度成功を収めたヘッジファンドには莫大な資産(オーナーがほとんどを持っている場合が多いが)があり、結構太っ腹なところも多い。

従って、バックオフィス(経理・総務、法務・コンプライアンス、IT)についても、一般的なバイサイドを遥かに上回る報酬をもらえる場合も結構ある。

従って、バックオフィスの職にある者が勝ち組のヘッジファンドに行くと、3000~5000万円位の年収を実現できることもある。

セルサイドのバックオフィスは、安定性に欠けるし仕事が大変な割には報酬は大したことが無い場合も多いので、ヘッジファンドを含めたバイサイドに転身するという選択肢は念頭に置いておいた方がいいだろう。

もっとも、バックオフィスの場合も、業務内容はセルサイドとバイサイドとでは異なるので、フィット感としては現職のバイサイドのバックオフィスの方がフィット感が高い。
このため、一生懸命転職活動を行う必要があるだろう。

<ヘッジファンドのバックオフィス>
https://career21.jp/2018-12-14-080905

最後に:ヘッジファンドへの転職の成否は転職活動の熱心さに比例する?

冒頭で述べたように、少人数でも勝ち組ヘッジファンドを生み出すことは可能であり、東京においても非常に多くのヘッジファンドが存在する。

転職エージェントも分散するので、数多くの転職エージェントと接して根気よくポジションを探さなければ、いい案件にはなかなか辿り着かない。

また、海外の勝ち組ヘッジファンドが日本に拠点を作る際には、ラッセル・レイノルズとかハイドリック&ストラグルといったエグゼクティブ・サーチ・ファームを使うことも多いので、登録をしていない者にはお声が掛からない。

従って、ヘッジファンドへの転職を考える際には、とにかく網を広げた方が良いので、マメな転職活動をしなければならない。