日本大学の就職と就活生の対応法【23卒向け】MARCHと比較するとどうか?

1. 何故日本大学の就職が気になるのか?

①私大の難化

就活について、東大、早慶、MARCH、関関同立の就職先に関するデータは週刊誌、経済誌、Web系の就活コンテンツで良く目にするのであるが、日東駒専の就職となると、急激に情報量が減少するように思われる。

MARCHと関関同立のあたりで、いわゆる学歴フィルターが存在するという話もあり、日東駒専、龍甲産近或いはそれ未満の学校群になると就職力が一気に低下するのか気になるところでもある。

そういった状況下、何故日本大学の就職力が気になるのかというと、私大の難化である。

定員の厳格化、付属・推薦・AO枠の増大に伴う一般入試枠の減少等によって、ここ数年、東京と関西の有名私立大学が著しく難化したと言われている。

早慶に十分合格できる可能性があるレベルの学生(合格可能性B以上)でも、滑り止めであるはずのMARCHを全落ちして、まさかの日東駒専になってしまったという話も珍しくはない。

さらに2021年の大学入試改革によって、センター試験が変容し、国公立大学を受験するのは今以上に面倒になりそうである。そうなると、特に首都圏在住の受験生はますます私立大学に集中することとなる。

パスナビの偏差値を見ると、法・経・商学部の場合、日本大学だと偏差値50代前半に対して、法政大学は偏差値60前後となっており、2ノッチ位の差はあるものの、実感としてはその差はもっと少ないかも知れない。

<日本大学と偏差値>

https://passnavi.evidus.com/search_univ/2930/campus.html

<法政大学と偏差値>

https://passnavi.evidus.com/search_univ/3050/campus.html

すると、本来MARCHには十分合格できそうな優秀な学生であっても、MARCH全落ちの結果、日本大学になるケースが生じるであろう。

②経団連の就活ルールの廃止と新卒採用の多様化

私大の難化や入試改革と並行するタイミングで、大学生の出口である就活制度も大きく変容する。いわゆる経団連の就活ルールが2020/3卒業生をもって廃止され、就活の早期化がますます促進されると予想されている。また、終身雇用廃止の話とも相俟って、新卒採用の多様化も進展し、くら寿司の初任給1000万円が話題になるなど、就活についても大きく変わっていくのではないか。

<くら寿司と初任給1000万円について>

https://career21.jp/2019-06-03-094906/

そうなると、同じ大学であっても学生間の格差がますます拡大し、大学名だけでは希望のところに就職できる保証は無く、反対に、大学入試で失敗した者にとっては就活で挽回できるチャンスが増大することも期待できる。

したがって、大学入試では失敗して日本大学になったものの、就活を頑張ればMARCHを逆転できる学生も出て来るだろう。

2. 日本大学の就職の概要

日本大学の総学生数(学部のみ)は6.7万人と日本最大であり、第2位の早稲田大学が3.95万人なので、ダントツトップのがくせいすうを抱えている。一般にマンモス大学とされる法政大学の総学生数(学部のみ)2.9万人と比較すると、その大きさがうかがえる。

<各大学の在籍学生数:2019年5月1日時点>

https://tanuki-no-suji.at.webry.info/201910/article_1.html

従って、就職先上位企業を見ても、それはほんの一部の学生に過ぎないのであるが、イメージを掴むための参考程度にはなるだろう。

そして、MARCHの比較ということから、ご参考までに隣に法政大学の上位就職先を並べてみた。なお、大学のHPの開示の違いにより、日本大学は上位30、法政大学は上位20までである。

卒業生の主な就職先
〇日本大学(全学部、平成30年度) 〇法政大学(全学部、2019/3卒対象)
順位 企業・団体名 就職者数 企業・団体名 就職者数
1 JR東日本 74 りそなグループ 30
2 警視庁 60 オリックスグループ 27
3 大和ハウス工業 48 JTBグループ 25
4 東京都教育委員会 43 富士ソフト 23
5 日本郵便 41 三井不動産リアルティ 23
6 横浜市 34 野村證券 22
7 千葉県 30 千葉銀行 21
7 三菱自動車工業 30 三菱UFJ銀行 21
9 アウトソーシングテクノロジー 28 みずほFG 19
10 JR東海 27 JR東日本 19
10 フジタ 27 富士通 19
12 神奈川県教育委員会 26 全日空 18
12 埼玉県教育委員会 26 大和ハウス工業 18
12 積水ハウス 26 三井住友銀行 18
15 関電工 25 横浜市 17
15 五洋建設 25 ソフトバンク 16
15 大成建設 25 みずほ証券 16
15 富士ソフト 25 リクルートグループ 15
19 大塚商会 24 東京都 15
19 三井不動産リアルティ 24 日本年金機構 15
21 鉄建建設 23
21 明治安田生命 23
23 スズキ 22
23 防衛省 陸上自衛隊 22
23 山崎製パン 22
26 本田技研工業 21
26 メイテック 21
28 ウエルシア薬局 20
28 テクノプロ 20
28 東京都 20

(出所:日本大学、法政大学公式HP)

3. MARCHとの就職力に関する比較

①全体的な収益力を測るには、有名企業400社への就職率がわかりやすい?

異なる業界の企業をスコアリングするのは難しいので、大雑把な大学の全体的な就職力を測るには、有名企業400社への就職率が便利かも知れない。

MARCHと日東駒専との間に学歴フィルターがあると言われているので、この2つの学校群の差が気になるところである。

有名企業400社への就職率
明治 28.4% 日本大学 8.9%
青山学院 30.9% 東洋大学 9.8%
立教 25.8% 駒澤大学 9.0%
中央 23.2% 専修大学 9.1%
法政 21.8%

(出所:東洋経済オンラインの2018年9月14日の記事(井沢秀 大学通信情報調査部部長著より抜粋)

この結果から2つの点が確認できる。
1点目は、MARCHと日東駒専との間には大きな差があること。
2点目は、MARCH、日東駒専それぞれの学校群の中では大差が無いことである。

この原因を学歴フィルターの存在というかどうかは別として、大学入試難易度以上に、MARCHと日東駒専とでは、就職力に大きな差がついてしまうと言えるのではないだろうか?

②業種で見ると、特に大手金融機関への就職者数に顕著な差がある。

MARCHは一般的に就職は良好だと言われる。
その根拠として、大手金融機関への就職者数が非常に多いということが指摘できる。

そこで、大手金融機関への就職者数の違いについて確認するために、以下、メガバンク3行、損保最大の東京海上日動、生保最大の日本生命、証券最大の野村證券の6社をサンプルとして整理してみた。

MARCH、日東駒専からの大手金融機関への就職状況
三菱UFJ 三井住友 みずほ 東京海上日動 日本生命 野村證券
明治 26 12 35 12 20 26
青山学院 29 19 23 11 16 22
立教 30 16 15 13 18 8
中央 28 18 23 6 16 18
法政 21 18 19 7 13 22
日本大学 7 4 17 2 19 15
東洋大学 0 6 6 2 8 2
駒沢大学 2 2 3 0 5 1
専修大学 6 0 2 1 3 0

こちらも、有名企業400社ランキングと同様に、MARCHと日東駒専との間では就職者数に顕著な差があるようだ。もっとも、各学校群の中では微妙な差があるようだが、日東駒専の中では日本大学の就職者が他よりも明らかに多い。(出所:AERA 2019年8月5日号。大学通信が協力の下、各大学のHP等を基にAERA編集部が集計したデータより抜粋)

③総合商社は厳しい

なお、人気の総合商社については、日東駒専は非常に厳しい状況にある。
5大商社については、日東駒専全部合わせて、丸紅1名だけである。

もっとも、総合商社については、MARCHからでも1社に付き、大学全体で一般職を含めて数人程度であるので、ある意味、大手金融機関と比べると差は大きくないとも言える。

4. 日本大学が強い業種、実績のある一流企業等

①日本大学が強い業種、企業等

これまでは日本大学、或いは日東駒専が、MARCHと比べて、大企業や大手金融機関等の就職において不利であるといったネガティブな情報ばかりであった。

しかし、日本大学の場合は伝統的に、特に強い業種も存在しているので、そういった業種に興味がある学生からすると十分にチャンスはある。

その典型が、住宅建設業界だ。積水ハウス、大和ハウス、セキスイハイムグループについては、何と全て日本大学が最多の採用者を輩出しているのだ。
もともと伝統的に、住宅メーカーやゼネコン関係の就職には日本大学OBが多いことで知られ、今後も引き続き良好な就職が期待できるだろう。

次に、日本大学が強いのは鉄道だ。人気のJR東日本とJR東海においても、日本大学が最多の採用実績を誇っている。
空運では相対的な就職者数では劣るものの、こちらも人気の全日空に7人、日本航空に15人の就職者がいる。

また、食品業界においてはピンポイントで日本大学が特に強い企業が見られる。
山崎製パンに22人、伊藤園に16名就職しており、これらはいずれも日本大学がナンバー1の就職者数となっている。

それから、人気の旅行・レジャー関連にも強く、エイチ・アイ・エスには15人が就職しており、こちらも日本大学がトップだ。また、JTBには9人、近畿日本ツーリストに4人、オリエンタルランドに5人と、総じてこのセクターは強いと言えるだろう。

他に、小売業界においても全般的に日本大学は善戦しているようだが、セブン・イレブン・ジャパンについては13名が就職しており、こちらも日本大学が最多である。
他には、日本郵政グループに47人と、こちらは早稲田と並んで最多の就職者数となっている。

以上のように、日本大学は幅広い業種或いは企業において得意なところを持っているので、こういうところは狙い目であろう。

②就職実績のある優良企業

他大学と比較した相対的な順位や、就職「率」で見ると厳しいかも知れないが、人気企業、将来性のある企業においても、日本大学が就職実績のある企業がある。

例えば、日本IBMに5名、そしてあのキーエンスに4名の就職実績がある。
自動車ではホンダに11名、トヨタにも4名の就職者がいる。
アパレルの雄、ファーストリテイリンググループには13名、マスコミだとNHKに5名の就職実績がある。また、人気のコンサル関係だと、アクセンチュアにも4名就職している。

将来も有望なITネット関連企業でも、日本大学は幅広く就職者を出している。
例えば、楽天には6名、サイバーエージェントに1名、ヤフーに2名、リクルートグループに8名、DeNAに2名といったところである。

以上のように、「率」で考えると少ないかも知れないが、一定数は採用してもらい得る優良企業があるので、総合商社とは異なり、上記のようなところにはチャンスがあるわけである。

5. 日本大学の就活生が採るべき対応法

①就活は団体戦ではなく、個人戦であることを意識すること

最初は精神論的であるが、就活は大学対抗の団体戦ではなく、自分さえ希望のところに入社できればOKの個人戦であることを意識する必要がある。

東大や早慶でも、金融専門職、コンサル、商社には内定をもらえない者の方が多い。
有名企業400社への就職率だと、日本大学はMARCHの1/3程度であるが、MARCHの有名企業400社就職率は20~30%程度なので入れない者の方が多いわけである。

大学全体で就職力を見ると嫌になるかも知れないが、就職実績のある企業については、日本大学の中で上位に入ればいいわけで、MARCHや早慶を意識する必要は無い。

自分が志望の企業に入れたら良いので、この点を意識してモチベーションを上げて行く必要がある。

②メリハリを付けた現実的な業種選びをする

就活開始時期の更なる早期化が見込まれる中、「何をやりたいかまだ決まらない」といった悠長なことを言っていると、無い内定まっしぐらである。

早い段階で志望する業種を絞り込んで、効率的、計画的な就職活動を展開しないと、ますます不利になる。

従って、例えば、入れる見込みが無さそうな総合商社とか大手金融(特にIBDとかグローバル・マーケッツ)、大手デベロッパー、マスコミ等は切り捨てるというのも手である。
別に就活で諦めても、中途採用で入れる余地はあるわけだから、勝てる可能性のある業種や職種の中で最善のところを狙う戦略というだけのことである。

③ベンチャー、中小企業等で優良な企業を探す

就活における人気企業は、昭和の時代から、特定の大手企業に集中している。しかし、学生が行きたがる企業というのは、B to Cのイメージ、待遇が良い企業にかなり限定されているので、特定の企業にのみ集中する。

他方、B to B系の企業においては競争力があり待遇も悪くない企業もあるが、知名度が高く無いという理由だけで比較的穴場の企業も存在する。特に、非上場の中堅企業で、トップシェアの製造業とかの場合には、中途半端な大手企業よりも魅力的な就職先もあるだろう。そういった穴場的な企業を上手く見つけて就職をするというのも1つの日大生が取り得る打ち手である。

もっとも、非上場の中堅企業とかベンチャー企業になると、上場企業と開示情報が不十分なために穴場的な優良企業を探し出すのは容易ではない。そういった場合に活用できるのが、最近少しずつ広がりつつある、スカウト型の逆求人サイトである。

OfferBoxとかキミスカあたりが有名どころである。もちろん、中小企業にのみ絞り込む必要は無いが、こういったサイトに登録して、大手企業と共に、中堅企業も並行して研究する価値はあるだろう。

<キミスカ>

https://kimisuka.com/

<OfferBox>

https://offerbox.jp/

また、最近では転職エージェントの様な個別的な求人情報とアドバイスを提供するキャリコネとか、内定に直結しやすい就活イベントを手掛けるMeets Company等の多様なサービスが存在する。こういったところは、ベンチャー企業や中小企業の情報が豊富にあるので、上記と併用してみるのも良いだろう。登録はこちら(Meets Companyの公式サイト)

 

④日本大学の強みを活かす

日本大学の強みは何といっても、卒業生の多さである。
就職実績のある優良企業については、積極的にOB訪問をして情報収集と積極性をアピールすべきだ。

OBの数に比して、就活生の数が多すぎるというところはあるかも知れないが、そういった場合は、部長や役員クラスへのコンタクトを図るのもおススメである。

何故なら、年を取ってステイタスのある人ほど若手(後輩)を応援してあげようという気持ちや余裕があるからである。

⑤視座を高めたり、刺激を受けるために東大、早慶の優秀な学生と交流を持つ

上記①とも関連するところであるが、就活は個人戦であるので周りに引きずられてはいけない。東大や早慶においても、学生間の就職力格差は拡がっていると言われている。
日本大学の場合も同様であろう。

従って、人気度の高い業種や企業を志望するには、優秀な就活生と交流をして、情報収集をするとともに、刺激を受けることが望ましい。

⑥何か1つコアな強みを持つ

大学受験で失敗した場合、何かと自信を失いがちであるが、自信が無いというのは概して就活においてはネガティブに響く。

そこで、自信を付けるために、何らかのコアスキルを磨いておく必要がある。
典型的なところだと、英語、会計、プログラミングといったところである。

プログラミングスクールは、かなり多くのサービスがあるし、文系で非エンジニア志望であっても、ある程度知っておくと有利である。

自分が興味が持てるものを見つけて、ある程度のスキルを身に付けておきたい。

⑦アルバイト等を通じてネット系ベンチャーを攻める

将来有望があって、学歴フィルター関係なく内定をもらえる可能性がある業種というと、何といってもネット系ベンチャーである。

こういうところで長期アルバイトをすると、非常に得られるものは多いだろうし、そこが良ければそのまま就職するという選択肢もある。

パッションナビ等で面白そうなところを見つけて、挑戦してみることをお勧めする。
https://www.passion-navi.com/

最後に

私大の難化と大学入試改革に伴う国立離れや、一般入試枠の継続的な減少ということから、今後もMARCH、場合によっては、早慶に合格できる実力がありながら、大学入試で失敗して日東駒専になるケースは増えて行くだろう。

しかし、新卒採用の多様化・自由化が進捗する中、就活で逆転することは十分に可能である。
そのためには、早期からの準備と適切な戦略が重要になって来るので、大変であろうが頑張りどころである。

なお、2020年初頭にコロナウイルスの問題が発生し、世界経済に極めて重大な影響を与えている。2021年にはワクチンが浸透し始め、コロナの収束も期待されたものの、日本では2021年8月時点ではデルタ株の影響もあり、むしろ感染者数は増え続けとても何時収束するかは全く読めない状況にある。

21卒、22卒については就活市場が特別厳しくなったわけではないが、かといって、良くなったわけではない。コロナの影響を特に受けたセクターは新卒採用を凍結していたりもするし、人気のある業界には過度に就活生が集中しているようにも思われる。23卒以降については採用枠数が削減されるリスクも否定できない。この事態に対応するためには、なるべく早い段階から就職活動に向けての準備をしていくことが、より重要となるだろう。

また、就活時点でキャリアが終了する訳ではない。約3割が新卒で入社した会社を3年以内に辞めているので、転職も含めてキャリア形成をしていく必要がある。また、私費で海外の有力MBAコースに留学して、大幅なキャリアアップを図る途もあるし、早稲田、慶應、一橋の様な国内MBAに進学して再度実質的な就活をするという戦略もある。

さらに、副業・兼業が緩和の方向にある。これは、経団連が終身雇用終結宣言をしたことの絡みで、自分自身で頑張って稼いでくれということなので必ずしもサラリーマンにとって良い話ではない。また、社内ルール上副業が解禁されたといっても、実際にこの制度を利用して稼ぐことができる社員はまだまだ少数だろう。しかし、現在はブログやSNSを活用して集客することも可能だし、クラウドソーシングのサイトから動画編集やライティングなどの作業によって月に数万円程度稼ぐことができる環境にある。また、副業として自分の事業を小さくスタートすれば、いきなり会社を辞めるというリスクを回避することもできる。

以上の様に、就活に加え、留学や副業、そして転職までを見据えたキャリアプランを意識することが今後は重要になろう。

 

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